ゴミ箱の男の話

kappa

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由美子の話

24話 懐かしい声

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非番の日で、匠も家におらず、子供達を幼稚園に預けて暇している時だった。

誠也「久しぶりやな、由美子。」
その声は懐かしい声。

最初は、無理矢理だった。

大嫌いだったその声でさえも少し懐かしく感じていた。

由美子「誠也さん……!」

その声は明らかに震えを含んでいた。

誠也に電話が掛かってくるなんて思わない。

あの事件から初めてかもしれない。

声を聞いただけで、私の身体は反応してしまっているのだ。

私の身体は、疼いていた。

会いたくて……会いたくて……。

心では望んでいないのに身体がどうしてもそれを否定しようとしてくれない。

水無月さんのことがあり、会うのが怖くて触れられなかった。

怖かったのだ。

私も美優と同じ様になりなくなかった。

いや、正確にはなっていたから……離れた。

でも身体は……忘れたつもりでいたが、覚えていたのだ。

声を聞けたことが、こんなにもとても嬉しかったのだ。

身体が震えて喜んでしまう事を受け入れられなかった。
由美子は身体をくねらせて座り込む。

忘れていない…誠也さんの大きな手でまた身体の奥まで満たされたかった事……。

由美子の脳は忘れていないのに身体は何も覚えていないとでも言う。

早く……会って欲しい。ずっと触れてもらってなかった身体は、誠也の事を求めていたのだった。

私の下半身は、信じられない程に濡れてしまっているのがわかる。

誠也「由美子、お前今何してるんや?休職して復帰したと幸田から聞いて、心配になってな。」

由美子「あ……うん。私は……元気だよ。仕事に復帰したの……うん。」

と、何とか言い返すのが精一杯だった。

誠也「由美子……お前今暇か?水無月の事は悪かった。一回、会って話さんか?会いたいんや。」と、言ってきた。

水無月さんの事があって、誠也に会わなかったのは、私が避けていただけだ。

でも会いたい。

とても会いたいのだ。

由美子「誠也……さん。会いたい……。」

それは、絞り出すかのように振り絞られた由美子の声だった。

誠也「車……。家の前に止めてる。」

誠也は、車でそのまま由美子の家の前まで迎えに来たという。

あの出来事以降、誠也が何かをしてくるなんて事はなかったし身体に触れたりなどの接触も無かったのだ。

無意識に由美子は立ち上がり、電話も気にせずに歩き出す。

ドアノブに手をかけて開けて外に出る。

玄関のドアを開けた向こうに誠也が車を止めて、待っていた。

由美子の姿を視界に捉える。
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