シニカル ショート ストーリーズ

直木俊

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こぼした、パンくずは、ほうっておくべきではない!

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夫と子供の、3人家族の鏡子は、美人だが、世間の常識を重んじる、モラリストだ。

このような、女性の結婚の場合、夫は、亭主関白の場合が多い。鏡子は、いつも忙しく、家族の為に働いているが、感謝されたことがない。まるで、人格のない家事ロボットのように、思われている。

「いつも、お疲れ様だね!今日も、頑張って!」

ある日、どこからか、鏡子の耳に、優しい声が聴こえるようになった。普段、誰からも、褒めてもらえない鏡子には、うれしい言葉である。

最初は、励ましの言葉ばかりだったが、徐々に内容が変わっていった。
「めんどうな家事など、しなくて良い。」とか「傲慢な、旦那の言う事など、無視をしろ。」などだ。鏡子は、これを神のお告げだと思い、忠実に実行するようになった。

家の中は、荒れ果ててしまった。
元々、心無い夫のせいで、殺伐とした家庭だったが、より居心地の悪い家庭になった。


しかし、鏡子は、指示に従い行動し続け、次第に、人間らしさを失っていった。なぜなら、鏡子が聞いていた言葉は、彼女の心が、暗く沈んでいた為、その波長に同調した、悪霊の戯言であって、神のお告げなどではなかったのだ。

「ママ!最近言っている事が、無茶苦茶だよ。前の優しいママに戻ってよ!」
泣きながら息子が懇願した。

鏡子は、我に帰って思った。
「私には、頼りにしてくれる、息子がいたんだ。これからは、また家族の為にがんばろう!」

しかし、一度、この世との接点を持った悪霊は、簡単に、鏡子を自由にはさせない。
やがて、鏡子の体は、悪霊の巣窟と化し、鏡子の人格は消えてしまった。

このように、悪霊は、人の心のスキに付け入って、乗っ取ろうとする。特に、メンヘラの方は、気をつけた方が良い。まずは自分で、自分を好きになって、認めてあげることが大切だ。

あなたは、自分は、大丈夫だと思っていないだろうか?

誰にでもある、星占いなど、人のアドバイスに、振り回される事は、危険な予兆なのだ。



そして、家族は、家事を手伝わなければならない。



。。。とオチを付けたい所だが、そもそも「手伝う」という発想が間違っている。
家事は、家族全員の、共同作業であるべきなのだ!!(自慢げ)



と、書き終えた所で、さっき床にこぼした、パンくずの件で、妻の怒鳴り声が聞こえた。
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