シニカル ショート ストーリーズ

直木俊

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星の王子さま

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人という字は「ノ」「ヽ」のふたりが支えあっている。と金八先生が言っていたが、今は、ソーシャルディスタンスで距離が近すぎると言われそうだ。距離を保つと数字の「11」となり意味は「転換期」という事らしい。


転換期といえば、色々な人が入り混じっている。マスクを外しながら、大声で喋りかけてくるおじさんもいれば、一人だけでエレベーターに乗ろうと、高橋名人も真っ青の、ボタン連打をするおばさんもいる。(世代がバレてしまった!)


世界的にも、人との距離感は問題になっている。体の距離は近すぎてはダメだが、心の距離は、どんなに近くても大丈夫だ。
星の王子さまとキツネのように、会う約束の前から、お互いの事を考え、わくわくするような事も大切だ。現在は、スマホでいつでもどこでも、すぐ連絡できてしまうから、味もそっけもない。

星の王子さまは、故郷の星に置いてきぼりにしてきた、か弱い一輪のバラとケンカして、遥か彼方の地球にある、たくさんのバラを見て、自分のバラのかけがえのなさに気付き心配になるが、スマホで「調子はどうなん?あの時はゴメンやで。」とか言っていたらすごくショックだ。

今後、世界は転換期を迎え、以前のような距離感ではダメになり遠くなるだろう。
遠い宇宙の果てに居ても、星の王子さまのような優しい思いやりを持ちたいものだ。

と物思いにふけっていると、箸が滑って、ミートボールが白いカーペットへコロコロ転がり落ちた。

テーブルの前に座っている妻が、至近距離で、こちらをすごい形相で睨みつけている。
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