シニカル ショート ストーリーズ

直木俊

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二つの真実

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真実とは、一つであろうか?

世界のすべては二つで成り立っているという考えがある。陰と陽、天国と地獄などである。光があるから影ができるように、物事は一つでは成り立たない。

という事は、真実は二つある事になる。

私が考えるのは、一つ完璧な理論があるとする。しかし、一つだけでは不完全で、その理論を完璧に否定できる反論があって、初めてその理論が完全なものになるという理論だ。

例えば、「正直である事は正しい。」の反対は、「正直である事は間違い。」となる。

反論としては、「常に正直でいる事ほど、残酷なものは無い。余命、一週間の子供に正直に余命を宣告できるであろうか?」といったものになる。

これで初めて、正しい事を証明できるという事だ。理論が正しければ正しいほど、反論も容易になる。

真実が一つであるという考え方は危険で、戦争の一番の原因になる。資本主義と共産主義が、どちらかが正しいかなどというのはナンセンスだ。イデオロギーとは、人の生活を良くする為のシステムであって、そのせいで命が失われるような事はあってはならない。


一つのイデオロギーを主張するのであれば、自ら完璧な反論で主張を否定しなければならないと思う。そうすることで、盲目的な考えが無くなり、逆の価値観を持つ、反対側の人を攻撃することも無くなるのではないだろうか。




めでたく結論が出た所で、実践しようと自分を完全否定している途中で、私のプライドがズタズタになり、心が折れたので、これから自殺をしようと考えている。
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