シニカル ショート ストーリーズ

直木俊

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アリとミツバチと暗黒物質

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キノコを栽培する農業アリがいたり、ミツバチは飛び方で会話が出来たり、一体誰に教えて貰ったのか、進化論では到底説明が付かない。

生物学者は、「生命の神秘」の一言で済ませて、呑気に構えていないだろうか。

自然の生き物の不思議を紹介する、テレビ番組でやっているような、美しすぎる自然の造形や行動は、進化の偶然としてはあまりにも巧妙すぎるのだ。

哲学が最も発達した古代ギリシャでは、全ての生物には違う世界に型 (設計図)があって、それを具象化したものが、今いる生物だと言う考えがあった。

すべての物質と生命には、目に見えない共通性がある。すべての物質は、原子と電子から成り立っており、核の周りを電子がブンブン飛んでいる。無機質の物質も人間も同じ組成から成り立っているのだ。

石の様な無機物でさえも、ミクロの世界ではダイナミックな運動が行われているのだ。原子の組成は陽子で、陽子の組成は素粒子だが、ミクロになるほど、運動は活発になっていく。

この活発な活動を利用した技術が「原子力」の強力なエネルギーとなる。アインシュタインを魅了した、この素晴らしい技術は悪用されると悪魔の恐ろしい技術にもなる。

ビッグバン直後の初期宇宙の1センチほどの大きさから、今の138億光年の広さになるまで、世界を形作っている素粒子の量は変わっていない。今はスキマだらけのスカスカの世界と言う事だ。

ほとんど「無」といっても差し支えない位にスカスカだ。その証拠に、地下巨大水槽に入れた、たっぷりの水の分子に、宇宙をまっすぐ走りまくっているニュートリノという素粒子が衝突してできる光を、高感度カメラで見張っていても、38年でたった一回観測されたのみだ。

この、スカスカの世界を埋めるかの如く存在しているのが、暗黒物質だ。実際には発見されていないが理論上は無くてはならない物質で、存在は確実視されているものの、現在の物質と反応しないので観測は難しいと言われているが、実に世界の物質の9割を占めるという。この暗黒物質こそが、古代ギリシャ人のいう、設計図がある世界ではないだろうかと、私はにらんでいる。

この世は、すべての物質のたった一割も映し出せない不鮮明な鏡のようだ。世界のことわりが詰まった、暗黒物質の世界が解明された時に初めて、アリとミツバチの能力の不思議などの説明も付くと思う。遠い未来、暗黒物質対応眼鏡で世界を覗いたら、どんな素晴らしい世界が見えるのだろうか?

アリとミツバチの背中には、妖精が乗って運転していると私は見ている。
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