シニカル ショート ストーリーズ

直木俊

文字の大きさ
64 / 99

マニュキュア殺人事件〜事件は現場で起こった〜

しおりを挟む
仕事が終わり、翔太が家のマンションに帰宅したのは、ちょうど7時すぎだった。

鍵を開けると、玄関に妻の明美が血を流して倒れていた。

すぐに警察を呼び、現場検証が行われた。ベランダの窓は内側から鍵がかけられており、密室の完全犯罪だった。死亡推定時刻は6時前後。翔太の仕事が終わった頃だ。

迷宮入りしそうな事件の為、佐々木小五郎探偵が現場に呼ばれた。彼は、どんな難事件もたちどころに解決する名探偵なのだ。彼は、長年の勘ですぐに現場の違和感を指摘した。

「ガイシャの指先を見てみなさい。」

現場の巡査が答えた。
「はっ!きれいなマニュキュアですね。」

「そうではない。何か感じないかね?」

実は、小五郎探偵は、いつも思い付きで適当な指摘をして、人に何か答えさして、たまたま偶然で解決していく、超テキトウな探偵だったのだ。今回も、そうそう、うまくいくのであろうか?

「ナイフで刺される際、抵抗していないという事でありますか?」

「そりゃ。ありきたりの推理だな。もっと良く見てみろ!」

「はっ!これは、もしや。。。」チャカチャーン!!(心の効果音)
巡査も刑事ドラマの見過ぎで、ついつい、それっぽいセリフをいう癖があるのだ。

「そうだ!その、もしかだ!早速、取り掛かれ!」

巡査は、何をして良いか分からず、気が動転してめまいがひどい。倒れそうになり、たまたま前にいた夫の翔太の手首を、思わずつかんでしまった。

「すいません!!こんなに早くばれるとは思いませんでした!」

小五郎探偵も巡査も、何が何だか訳が分からないが、結果オーライ! 自白が何よりも大事な世界なのだ。

「今回の事件は、私には少々やさしすぎたようだな!」

小五郎探偵は、またもや難事件を解決した。だが、きれいなマニュキュアと殺人がどう関係するのか、彼にはサッパリ分からない。

「今晩も、悪の闇が俺を眠らせてくれそうにないな。」

渋い表情で一言いい残し、トレンチコートのエリを立てながら、哀愁のある背中は漆黒の寒空へ消えていった。




その晩、焼酎片手に柿ピーを食べながら、お笑い番組を見て馬鹿笑いをしている小五郎を、お礼に訪れた巡査が目撃した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

不思議なショートストーリーたち

フジーニー
ミステリー
さくっと読める短編集 電車内の暇つぶしに、寝る前のお供に、毎日の楽しみに。

【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)
ミステリー
もう限界だ。 「離婚してください」 丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。 丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。 丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。 広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。 出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。 平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。 信じていた家族の形が崩れていく。 倒されたのは誰のせい? 倒れた達磨は再び起き上がる。 丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。 丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。 丸田 京香…66歳。半年前に退職した。 丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。 丸田 鈴奈…33歳。 丸田 勇太…3歳。 丸田 文…82歳。専業主婦。 麗奈…広一が定期的に会っている女。 ※7月13日初回完結 ※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。 ※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。 2026年1月ジャンルを大衆文学→ミステリーに変更しています。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...