シニカル ショート ストーリーズ

魔界転生英雄が美少女を救う感動物語 〜勇者ソロのスピンオフ愛の劇場〜

ここは魔界。勇者ソロは、魔王を倒し、魔界からの脱出に成功した。


そして人間界では、王女が無事、出産を終えて安堵していた。

しかし、赤ん坊の額には、油性ペンで「ソロ」と書かれている。
悪いジョーダンだと、直ちに産婆の首がはねられたが、いくらシンナーで拭いてみても文字は消えなかった。

これは、ひょっとして、あの有名な伝説の魔界に堕ちた勇者ソロなのでは？
王様は大変喜んだ。因みに、王様はオ・ウ・サマであり、オ・オ・サマでは無い。今、10回位、変換を繰り返しながら学んだので、特別にここに書き記す。

まぁ、央様にとって、「あの有名な」と勢いで言ってはみたものの「勇者ソロ」という名前は、昔、教育番組で見た事があると思い込んでいただけで、サッパリ誰の事かわからないことに気が付いた。

それに、おでこには「ソロ」と書かれているだけで、必ずしも勇者とは限らない。ソロバンのソロという可能性の方が、実用的にも高いと思われた。

大様はなんとなく悩んだフリをしてみたが、答えはヤッパリ見つからなかった。

とりあえず、仮に勇者だということにして、何か桃太郎のように冒険をさせるとお宝をゲット出来るかもと、小尾様はヨコシマな考えを思いついて、ソロが10歳になった時、お城からホッポリ出された。

ソロは小さい頃から、「お前は勇者であってソロバンではない。」と強欲なお収まから言って聞かされて育った。ただ、ソロバンは計算で使うが、勇者とはどういう意味なのかは一切教えられることは無かった。


旅立ってすぐに、向こうから美少女が歩いてきた。ソロは転生する前の勇者としての記憶が蘇ったのか、単にエロい思いなのか、反射的に美少女を助けようとしたが、美少女は、誰からも襲われている様子はなかった。

悩んだフリをした末、仕方がないので木陰に隠れて、拾った石を美少女めがけて投げつけて気絶させてから助けようとしたが、腫れ上がったその顔はもはや美少女ではなかった。

哀しみに打ちひしがれたソロは、お城に帰って多様に事の顛末を語って聞かせた。

「お宝は無いのか？どうやら、お前はソロバンのほうだったらしいな。」

ソロは、お城の会計責任者として財産運用に才能を発揮し、お城に莫大なお宝をもたらしたということだ。