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ルーファス視点
最悪な結末。
しおりを挟む「はい?何を訳の分からないことを…」
「相手の令嬢は躾をするのが大変得意な方なのだそうだ」
「は?」
躾?それがどうしたというんだ。
「いつかどこかで己の過ちに気付くだろうと放っておいた私の責任ではあるが、お前は王子としての資質がまるでない」
「はい?お言葉ですが、俺ほど容姿に恵まれた王族はいないと思いますが?」
「見た目だけはな…。だが中身がまるで伴っていない。最後のチャンスとして騎士団にやったが、それ失敗に終わった。ならば、私が親として最後に出来ることは、これ以上お前を野放しにして周りに迷惑をかけない事だ」
最後?一体何を言っているんだ。
俺が周りに迷惑を掛けたことなど1度もなかっただろうが。
むしろ、俺の機嫌を損ねるようなやつばかりで俺の方が迷惑をかけられていたくらいなのに。
「式は隣国についてすぐに挙げる事になっている。くれぐれも向こうで迷惑をかけるなよ」
「本気ですか?」
「ああ。では、息災でな。今すぐルーファスを隣国へと連れて行け」
「お、おい、何をするんだ!」
父上の言葉で近くにいた兵達が俺の腕を掴んでどこかへと連れて行こうとする。
「父上!こいつらに俺を離すよう言ってください!」
「それは出来ん。はやく連れて行け」
「父上!父上ー!」
叫んでも父上からの返事が返ってくることはなかった。
俺は無理やり馬車に乗せられて隣国へと連れて行かれた。
俺を迎えた女は、美しい俺には全く釣り合わないデブでブサイクな女だった。
「お前が俺の結婚相手?お前より豚の方がまだ可愛げがあるぞ」
「あら、お話で聞いていた通り随分と生意気な方ですわね。ふふふ、いいですわよ。こういう方ほど躾がいがありますもの」
女は俺の嫌味にニヤニヤと笑いながら舌なめずりをしてくる。
なんだコイツは…。
なんであんなに楽しそうに笑っているんだよ。気色悪いヤツめ。
「さて、早く結婚式を終わらせて私の屋敷で楽しみましょうか、仔犬ちゃん」
「誰が犬だ!俺を犬呼ばわりして許されると思うなよ!」
「まぁ、キャンキャン吠えてお可愛らしい。この国で誰一人味方がいない貴方に一体何が出来るのかしらね?」
ぐっ、いきなり隣国に連れてこられたのだから、俺の言うことを聞く人間がいないのは当然だろう。
ここに送り届けに来た奴らも、俺をこの女の前に置いて直ぐに帰っていったしな!
くそぉ!なんで俺がこんな事になっているんだ!
この醜女と結婚?冗談じゃないぞ!
この女と結婚するくらいなら、まだエリーナと結婚した方がマシだ!
「誰がお前みたいな醜女と結婚するか!」
「あら、よろしいですの?私と結婚しなければ、貴方はこのままここでのたれ死ぬことになりますわよ?」
「王子である俺がそんなことになるはずがないだろ!」
「そう、ではお金は持ってらして?」
「……」
そういえば、金目のものは馬車の中で全て取り上げられた…。
くっ、父上め!何がなんでもこの女と俺を結婚させるつもりか!あのクソジジイめ!
勝手にエリーナど婚約解消したことを根に持ちすぎだろうが!
「それでは、式場へ参りましょうか、旦那様?」
あまり来たことも無い隣国で無一文は流石に不味いので醜女について行ったが…。
これが俺の人生最大の選択ミスだった。
「なぜ俺がこんな格好を!」
「あら、犬耳が似合っているではありませんか。ですが、犬なのですから人間の言葉を話すのはいけませんわ」
「誰がいぬ…!」
バシィン!
「ぐっ、」
抗議しようと声を上げれば、言い終わる前に醜女が持っていたムチで腕を打たれる。
「犬なら犬らしく ワン と言ってくださいね?聞き分けのない子犬ちゃんにはムチでお仕置が待っていますので、言葉にはお気をつけくださいね」
何故こんなことになってしまったんだ。
俺は今まで何も間違ったことをせず真っ当に生きてきたというのに、何故こんな醜女にムチを打たれなければいけないんだ!
くそぉ!これも全部エリーナのせいだ!
アイツと婚約したことがそもそもの始まりだ!
アイツさえ居なければこんな事にはならなかったのに!
「あら、お返事がないわね?ほら、ワンって言ってみなさい?」
こんな屈辱的なことを言われているのも、全部アイツのせいだ!ここから抜け出した時には必ず復讐してやる!
だが、その前にこの醜女を殺してやる!
そう心に誓って反撃の隙を伺っていたが、日に日に醜女に対して抵抗しようという気が失せてきた。
それどころか、あのムチの音を聞けば身体が硬直して言うを聞かなくなってしまう。
バシィン!
いやだ、もう打たれたくない…!
今度は何がダメだったんだ?
アイツの嫌がることはしていないはずなのに!
いやだ、いやだ、もうあの音を聞きたくもない!
頼むから助けてくれ!
頼むから…!
助けてくれ………エリーナ!
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