婚約解消をしたら、隣国で素敵な出会いがありました。

しあ

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何故貴方がここに

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「キャ!」
「アリアここに居たのか!探したぞ!」
「エーリッヒ様!?どうしてここへ?」


 もう話すことは無いだろうと思っていたエーリッヒ様の登場で驚きが隠せない。


「なんの御用ですか」
「なんの、だと?君を迎えに来たに決まっているじゃないか」
「どうして私がエーリッヒ様に迎えに来て頂く必要があるのか全く分からないのですが」
「照れ隠しもそのくらいにしておけ。さ、帰るぞ」
「嫌です!」


 もし帰るとしても、エーリッヒ様と一緒になんて絶対に嫌だ。せっかく婚約破棄もされて自由になったのに、またこの人に振り回されるなんてありえない。
 しかし、エーリッヒ様に掴まれている手を振りほどきたいのに、男女の力の差で全然離れない。


「離してください!」
「断る」
「、失礼します」
「っ、なんだお前は!私が誰か分かっての狼藉か!」


気づけば、私を掴んでいたエーリッヒ様の手を、シャル様が後ろ手に締め上げていた。


「ブリックル王国の第1王子、エーリッヒ様と存じ上げております。しかし、女性の手を無理やり掴むのは目に余るので手を出させていただきました」
「なんだと!アリアは私の婚約者なんだ!邪魔をするな!」
「既に婚約解消されたとアリア嬢からお聞きしましたよ」
「なっ!アリア!どういうことだ!どうしてこいつがそんなことを知っているんだ!それにこいつは誰だ!」


 シャル様に締めあげられながらも怒鳴り続けるエーリッヒ様の声で、段々と周りに人が集まってくる。


「エーリッヒ様、人の目がありますので、どこか別の場所でお話しをしましょう」
「人の目より、まずこの男が誰か説明しろ!私のアリアの名前を呼ぶなんて、どこのどいつだ!」


 ダメだ、エーリッヒ様は頭に血が上っているのか、全く聞く耳を持ってくれない。とりあえず、シャル様の事を説明して大人しくしてもらおう。


「この方は…」
「僕は、アリアさんの婚約者です」
「な、なんだと!?どういうことだ!」


 私もどういうことか分からない。
 だけど、エーリッヒ様が今にもシャル様に飛びかかろうとするが、シャル様はにこやかに返した。


「昨夜、アリアさんからエーリッヒ様と婚約解消をされたとお聞きしましたので、婚約を申し入れたのです」
「う、嘘に決まっている!そんなすぐに婚約なんて出来るわけがないだろ!そもそも、婚約には両者の親の同意が必要なんだ!」
「それでしたら、昨夜の内に頂いております。ね、アリアさん」


 そういうことか、シャル様はエーリッヒ様から私を助けるために婚約したと嘘を付いているんだ。
 それなら、ちゃんと合わせないと。


「はい、そうです。もう私はエーリッヒ様の婚約者ではなく、シャル様の婚約者ですので、無闇に私に触らないでください」
「そんな…!いや、これはきっと嘘に決まっている!アリアの両親に確認すれば分かることだ!」


 今にでも私の両親に確かめに行こうとするエーリッヒ様に、少しだけ冷や汗が出る。
 お父様達に尋ねられれば嘘だと言うことがバレてしまう。そして王族に嘘をついたということになったら、罰を与えられてもおかしくはない。


「さぁ、今すぐ確かめに行ってやろうじゃないか!」


 どうしよう…。
 と、思ったその時、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてくる。


「おや、それでしたら来て頂く必要はありませんよ。アリアと彼の婚約は、確かに私達が承認致しましたから。そうですよね、陛下」
「ああ、そうだ」
「お父様?それに、トルーア国王様まで…!」


 なぜ国王陛下までいらっしゃるのかは分からないけど、お父様達が話に乗ってくれたので一安心だ。
 お父様達から婚約が嘘ではないと言われれば、エーリッヒ様も信じるしかない。


「そんな…私達はあんなにも愛し合っていたのに…こんな、こんなことって…」


 ボソボソとエーリッヒ様がまだ何か言っているけど、これだけはハッキリと伝えておきたい。


「エーリッヒ様」
「なんだアリア。やっぱり君も本当は私のことを愛して…」
「先日も申し上げましたが、エーリッヒ様を、今まで、1度も、お慕いしたことは、ございません。むしろ、人として、好きではありません」


 キッパリとそう伝えれば、今度こそエーリッヒ様は俯いて何も言わずにどこかへ去っていった。

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