当て馬役推しの私は、彼の幸せを切に願っています……が、この状況はどういうことでしょうか!?

しあ

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推しはやっぱり素敵な人だ…!


そう再確認していると、思ってもみない質問が飛んでくる。


「アンタは、学校で気になる人とか居ないの?」
「え、わたし…ですか?いませんよ?」


彼はあくまで推しなので恋愛感情とかは別にないし、周りにいる人も……特に。
というか、そもそも中身はアラサーで恋愛経験もない私が、10歳近く離れた男子達に恋愛感情なんて起こらないよね。


「ふーん。そ」


ものすごくどうでもよさそうな返事だな。
けど、私に好きな人がいようといまいと、彼には関係の無いことだもんね。


「じゃあ、これは俺がもらっていい?」
「どうぞ。私には必要のないものなので、ルバーム様が持っていてください」
「ありがとう」
「いえ」

 
素直に受け取って貰えたのはいいけど・・・・・・沈黙が、辛い。


前世からのコミュ障でこちらから話を振ったり広げたりするのが大の苦手で何を言えばいいのか分からない!


「あ、あ~そういえば花火、終わりましたね」
「ああ、あんたの頭に落ちてきたのが最後みたいだったね」


頭に衝撃が起きたから気付いてなかったけど、まさかあれが最後だったんだ。


周りを見渡せばゾロゾロと人がいなくなっていくし、私達も帰らないと。


「もう遅いですし、帰りましょうか」
「そうだね」


そう言って彼はパチンと指を鳴らす。
その瞬間、私達の周りで微かにパリンと何かが割れる音がした。


「あの、もしかして私達の周りにシールドを張ってくれていたんですか」


光の玉が私の所へ落ちてきたのに誰も駆け寄ってこなかったのは、このおかげだったのかと納得する。


「知らない奴に当たられたくないからね」


私だって彼からすれば知らない奴になるだろうに、私までシールドに入れてくれるなんて、やっぱり私の推しは最高に優しい!
それに、軽々とシールドなんか張っているけど、この魔法自体習得するのがとても難しい上に、人間を包み込めるほどの大きさにして維持するのもかなり難易度が高い。
それを顔色一つ変えずに軽く使っちゃうんだから、本当にハイスペックチートキャラだわ。


「ありがとうございました」
「別に、一緒にいたからついで。ほら、帰るよ」
「あ、はい」


さっさと歩き出してしまう彼の後ろを慌てて追いかける。


だけど、もう花火も終わったんだし一緒に帰る必要はないのでは?という事に思い至る。
確か彼は寮ではなく家から学校に通っていたはず。
私は寮に住んでいるから、一緒に帰ると彼に遠回りをさせてしまうかもしれない。


「あの、私は寮なので、こっちから帰りますね」
「ああ、寮ならそっちの道の方が近いか」
「はい。ですので、ここで失礼します」


今日はありがとうございました。と言ってもいいのかな。
何かの気まぐれで一緒に見ようと誘ってくれただけの彼に、一緒に花火を見てくれたことに感謝をするのは変?


ううん…。
でも、シールドを張ってくれていたから、その事に関しては感謝してもおかしくないよね?


「ねぇ、何考え込んでるの?もう遅いんだし早く行くよ」
「え、えっと…そっちは寮の方ですけど…もしかして、御自宅は寮のお近くですか?」
「いや、全くの逆方向」
「それなら、わざわざ寮の方向に行く必要はありませんよね?」
「あのさ、こんな夜遅いのに女の子1人で帰らせられるわけがないだろ。ほら、もう遅いんだし早く行くよ」


そう言って私の手首を掴んで彼が歩き出す。


え?え?え???
これは夢??推しが私の手首を掴んでいるんですが???
というか、こんな私でも女の子扱いしてくれるんですか??


ああ、そういえばこの方、ヒロインと会うまでは来る者拒まず、去るもの追わずの女たらしだったわ。
なるほどねぇ、こんな風に優しくされれば大半の女の子が落ちるのも無理ないわ。しかも超絶イケメンだしね!


あと、今は何処か淡々としてるけど、ヒロイン会う前は誰に対しても優しい笑顔だったから、自分に好意があるのでは!?って、勘違いする子が出てきてもおかしくないよね。


って、違う!


「あの!寮までは10分くらいで着きますし、わざわざ送っていただく必要はありませんよ!」
「今日は花火で浮かれてるバカが多いから気を付けた方がいいよ」
「大丈夫ですよ。私、お金なんて持ってないですし、私を誘拐して身代金を奪おうとしても、家にもそんなお金なんてありませんし」


一応私も貴族の端くれだけど、貴族は貴族でも貧乏貴族。
多分、商売で稼いでいる平民の方が裕福な暮らしをしてると思うな。


「お金じゃなくて……。あんた、本当に女なの?」


え、それは一体どういう意味?
もしかして、彼には私が男に見えるの!?


「夜に女の子が1人で歩いていたら、襲われても文句は言えないんだからな」


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