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ルシオ視点 3
しおりを挟むマジか…。
連絡先もブロックされるし、どこいっても会えないし、そんなに俺と会いたくない?めちゃくちゃ傷付くわ。
けどもう会いたくないとは思えないのが厄介なんだよな。
ああ、会いたい。
会って顔が見たい。
声が聞きたい。
どこで何してんだよ…。
居ないだろうと思っていても足繁く通っている食堂から次の授業に移動する途中、ふと窓の外を見てると、ここ最近ずっと探し求めていた人物が視界の端に映った。
向こうは1階の中庭にいて、俺は2階にいたのでバレることなくリディアの後ろ姿を眺めた。
後ろ姿しか見えないのに、何故か異様に可愛く見えてリディアの周りだけ輝いて見えた。見ているだけなのに心が満たされる。これが恋なのか…。
今から走っていけばリディアに会って話が出来るだろうか。今から1階に向かえば確実に授業を遅刻することになるだろうけど、そんなのどうでもいい。
会って話しがしたい。
まずはあの日待ち合わせに遅れたことを謝りたい。謝って、今まで通りの関係でいて欲しいと伝えたい。もし渋られたとしても、賭けの期間が延長になったとか言って了承してもらおう。
それから今までよりうんと優しくして…。
なんて考えながら足を動かそうとすると、突然リディアが走り出した。走った先には、リディアに手を振る同級生と見られる男子生徒。
こちらからは背中しか見えないのでリディアの表情は見えないが、男子生徒はとても嬉しそうな笑みを浮かべている。その頬は少し赤みを帯びているように見える。
あの男、リディアのなんなんだよ。
言いようのない怒りが込み上げてくる中、リディアは男子生徒に近付いて笑いかける。そうすれば男子生徒はますます頬を赤らめる。
離れろよ!近過ぎんだろ!それにあんな可愛い笑顔をあんな男に向けんなよ!
リディアの笑顔が見たいとは思っていたけど、別の男に向けられるところなんて見たくなかった。
今すぐ風魔法で飛んでってあの男を殴り飛ばしてやりたい。リディアの隣に立つことも、笑顔を向けられることにも腹立たしくて仕方ない。
初めて感じるどす黒い感情に、これが嫉妬というものなのかと頭のどこかで冷静に思う。
なんでそんな男に笑ってんだよ。
俺のことはメッセージ1つで切って散々避ける癖に。
マジでなんなの?そりゃ賭けとかで付き合った俺が悪いし、ドタキャン繰り返してた俺が100%悪いよ。けどさ、そんなあっさり俺から離れて行こうとするなよ。他の男の前で可愛く笑うなよ。
頼むから、俺を見てよ。
見てくれないなら、無理やりその目に映すよ。
男子生徒と笑いながら歩いていくリディアの背中を見送った後、嫉妬に駆られた俺は次の休み時間にリディアとよく一緒にいるリアちゃんを捕まえてリディアと会えるようにセッティングしてもらった。
まぁ、頼みを聞いてもらうまでに時間はかかったけど、それはリアちゃんがリディアの事を心配して俺を警戒していたのが原因なので俺に対する怒りは甘んじて受けた。
だけど俺もリディアに会うために必死だった。会わせてくれと必死に頼み込む俺の姿は傍目から見ればすごくダサかったと思う。だけどそんなのどうでもよかった。
ただただリディアに会いたい、合わせてくれと頼み込む俺に、最後はリアちゃんが折れてくれてリディアに連絡を入れてくれた。
リディアとのやり取りが終わったあとに「今度リディアを傷付けたら、一生許しませんから!」とリアちゃんは俺を睨みつけた。
そんなリアちゃんに「もう絶対に傷付けないと誓うよ」と返せば、ふっと表情を緩めて悪戯っぽく笑いながら「万が一にでも本当に付き合うことになったらお祝いくらいはしてあげてもいいですよ」と言った。
だから俺はそんな彼女に余裕たっぷりの笑みを浮かべて言った。
「なら、リディアのブーケトスを受け取る準備しててね」
そんな俺の言葉にリアちゃんは一瞬固まって、次の瞬間吹き出して笑った。
「あはは、どこから来るんですかその自信!」
「ん~自信なんてないけど、絶対に逃がすつもりないから。どんな事してでも惚れさせてみせるって思ってるからね」
「………うわぁ、思った以上に感情クソ重過ぎて引くわ…。協力するの早まったかもしれない」
自分でも重いとは思うからリアちゃんの言葉は否定出来ないし、俺がリアちゃんの立場だったら絶対引いてるから何も言い返せない。
言い返せない代わりにニコッといつもの笑顔を張りつける。
「んじゃ、協力ありがとう。部活頑張ってね」
「リディアに変な事したらたたじゃ置きませんからね!」
「もちろん。リディアが嫌がることを無理強いする気はないよ」
無理強いして嫌われたくなんてないから。そう思って内心で苦笑する。
今まで誰かに嫌われたくないなんて思ったこともないし、嫌われない様に相手に配慮しようなんてことも思ったこともなかったのにな。ホント、リディアの事になると自分が自分じゃないみたいだ。だけど、そんな変化も嫌だなんて思えないから不思議だ。
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