嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ

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40、お披露目パーティ




イザベラ様と会話して以降も、リアム様には会うことが出来ず、気付けばアイリのお披露目パーティ当日になっていた。


リアム様と一緒に決めたドレスに身を包むアイリは、形容し難いほど可愛い。だけど、ずっと会うことが出来ていないリアム様の事が心配で仕方ない。


あの後も、何度かミリアナ達にリアム様の様子を聞きに行ってもらったけど、まだ会うことが出来ないと言われるだけだった。


「ルビア様、皇帝陛下がお見えです」
「あ、うん、今行きます」


ドアの外では、正装に身を包んだ皇帝が立っていた。


「迎えに来て下さり、ありがとうございます」
「いえ…。それより、そのドレスは…」
「変でしょうか…?」


皇帝から贈ってくれたドレスを着たのだけれど、何故かすごく複雑そうな顔をされてしまう。


「いえ…似合っています。それより、参りましょうか」
「はい、よろしくお願い致します」


何か物言いたげな顔をしたまま、皇帝がエスコートをしてくれる。


一体、どうしたのだろう。皇帝から初めて贈られたドレスを着てみたけど、変だったのかな。そうだったとしても、今更着替えることは出来ないし、このままパーティに出席するしかない。


「ルミリオ皇帝陛下、並びにルビア皇后陛下、アイリ皇女殿下のご入場です」


開けられたドアから、皇帝にエスコートされながら会場に入る。席に着けば、遅れてイザベラ様が入場してくる。


その表情は、数日前に見た時よりもかなりやつれているように見えた。一体どうしたのだろう。リアム様が外に出られなくなってから、イザベラ様が付きっきりで看病している。もしかして、リアム様に何かあったのかな。


イザベラ様にリアム様の事を聞きたいけど、今はパーティなので、聞ける状態ではないのがもどかしい。


パーティが始まる前に、皇帝がリアム様の欠席を告げると、会場中がざわついた。そして、何故だか私に対する視線が冷たいものになった気がする。


貴族達の間でも私の悪評は知れ渡っている様だし、リアム様に私が危害を加えたとでも思われているのかもしれない。そう思われても仕方ない事をしてきたのかもしれないけど、本当にルビアが悪かったのかが分からないので複雑な気持ちになる。


それに、私だってリアム様の事を心配してるのに…。


「皇后、気にする必要はありませんよ」
「皇帝陛下…?」
「貴方がリアムに対して危害を加えていないことは、私が1番知っていますので」


皇帝の言葉に、心が少し軽くなる。今まで、私がこの人にしてきた言動は、アイリが産まれてから以降も褒められた物では無いのに、どうしてこの人はこんなにも優しくしてくれるのだろう。


「……ありがとう、ございます。皇帝陛下」
「いえ…。それより、せっかくのアイリのパーティですので、しっかりと見てもらいましょう」
「はい、そうですね」


そうだ、今日はアイリの為のパーティなんだから、私が周りからどう見られているかなんて気にしている場合じゃない。


「皇女殿下の御誕生、お慶び申し上げます」


アイリを祝うために、順番に色んな人が挨拶をしに来てくれる。けど、大半の人が、リアム様に挨拶が出来なくて残念だと言い残して去っていった。


やっぱり、皇帝になる可能性がほとんどないアイリよりも、次期皇帝候補のリアム様との繋がりが欲しいに決まってるよね。


娘の誕生を純粋な気持ちで祝ってもらえないのは少し残念だけど、これが現実なんだろうな。貴族社会でパーティと言えば、繋がりを持つ為の手段なのだろうし。


挨拶に来る人達に笑顔を浮かべながら、早く終わってほしいな。と思っていると、次に挨拶に来た男性が、挨拶もそこそこに、私を完璧に無視して突然イザベラ様に話しかけて来た。


「さっき、そこのメイドが話しているのを聞いてしまったのですが、リアム皇子が皇后陛下に毒を盛られて寝込まれていると言うのは本当ですか!?」


会場中に聞こえるように大きな声で話す男性の言葉に耳を疑う。


私がリアム様に毒を盛った!?そんな事実はありませんけど!一体どうなってるの!


「それはどういうことだ。詳しく話せ」


驚き過ぎて呆然とする私と違って、皇帝が冷静に男性に質問をする。


「それが、先日皇后陛下が体調が元々悪かったリアム皇子の元へ訪れた際に、見舞い品として渡された食べ物に毒が盛られていて、食べたリアム皇子が体調を崩され寝込んでいらっしゃると。メイド達が話しているのが聞こえてきたのです」
「なんだと?…だが、リアムが毒を盛られたという話は聞いていない。おそらく、それは何かの聞き間違いだろう」


皇帝が一蹴してくれるが、先日渡したおにぎりが傷んでたのではないかと不安になる。一応、作る前には手を洗ったり、お皿とかは煮沸消毒したし、ここは、日本と違って湿気も少なくてカラッとした涼しい気候なので傷みにくいはずだ。だけど、万が一傷んでいたら、弱り目に祟り目だ。


そもそも体調が優れないのに、傷んだものを食べてしまえば、更に体調を壊してしまう可能性は十分にある。渡した時に、直ぐに食べれないようなら捨てて下さい、と一言言えばよかった。そもそも、おにぎりなんて渡さなければ良かったと後悔する。


後悔する私の横で、イザベラ様が遠慮がちに皇帝に話しかける。


「恐れながら、ルミリオ陛下。ルビア様かどうかは分かりませんが、リアムが毒を盛られた事は事実です」
「なんだと…?ならば、何故すぐに私にその事を…!いや、この話は後で詳しく話そう」


周りから突き刺さるように注がれる視線に気付いて、皇帝が毒についての話を止めさせる。そして、周りに声を掛ける。


「今聞いた事は、こちらで詳しく調査をし、事実を確認してから然るべきものに罰を与える。なので、今は気にせずパーティの続きを楽しんでくれ」


そう皇帝に言われてしまえば、周りからは何も言うことができなくなってしまう。おかげで嫌な視線が減ったけど。


聞いた内容が内容なので、皇帝に聞こえないところでは、私の話題で持ち切りになっていった。


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