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94、気まずいのですが…
泣きながら頭を下げるメリーに、リアムが嬉しそうに笑ってメリーの手を掴む。
「これからも一緒にいれるね、メリー」
「はい…。ですが、本当に良いのでしょうか…」
「もしこの罰も受けないと言うのなら、君の望み通りにしてやろう。だが、それは君の家族を鉱山に送るという条件付きでな」
「そんな…」
伝えられた罰を受けていいのか悩むメリーに、ルミリオ様は冷たい口調で逃げ道を塞ぐ。
「それが嫌ならすぐにでも働けるように体調を整えることだな」
「メリー、父上も早く元気になってって言ってるから、いっぱいご飯食べて元気になろ?」
ルミリオ様の言葉をニコニコと笑って正しく伝えるリアムに、メリーはゆっくりと頭を下げる。
「はい……少しでも早く、リアム様のお役に立てるよう努めます…。こんな私を許してくださり、本当に…ありがとうございます」
「じゃあ、僕の木の実も食べてくれる?」
「はい、有難く頂きます」
リアムが差し出した木の実を、今度こそメリーは口に運んだ。その姿を見て、嬉しそうにリアムが笑う。
「おいしい?」
「はい、今まで食べた中で、1番美味しいです」
そう言って涙を流しながら笑うメリーの顔は、今までとは違う柔らかいものだった。
今までは無表情を貫いていたけど、きっとこれが彼女の本来の表情なんだろうな。包み込むような柔らかい表情はどこか幼く見えるけど、こっちの方が前よりも断然いい。
罪の意識で鬱に近い状態になっていたけど、リアムに会えたことと、ルミリオ様の言葉で目に生気が戻ってよかった。
リアムとメリーの様子を微笑ましく見ていると、ふとルミリオ様と視線がかち合う。
「………」
メリーの事で忘れそうになっていたけど……。
昨日の今日でルミリオ様と顔を合わせるのは気まずい以外の何物でもないんですけど…。
もちろん、ルミリオ様が来てくれたおかげでメリーがリアムと一緒に居れるようになった事は感謝している。だけど、それとこれとは話は別だ。
私はルミリオ様の気持ちに応えることは出来ないし、かと言って拒否できるかと言われれば…自分でも不思議だけど、それは出来そうにない。だから、出来るだけ会いたくはなかったんだけどな。
メリーの事はとりあえず解決したし、一旦アイリの様子を見る為にも部屋に戻るって伝えて出ていこうかな…。
「リアム、この者がしっかりと食事を摂るか見ておいてくれ」
「うん、任せて!」
「ああ。私はルビアと少し散歩をしてくるから、その間頼んだぞ」
え、聞いてないんですけど!
ルミリオ様と二人っきりとか勘弁して欲しい。せめてリアムか誰がいてほしいんだけど!
「そっか!じゃあ、お母様も父上もいってらしゃい!」
少しは引き止めてくれることを期待したけど、ものすごくいい笑顔で手を振られてしまえば、私もここにいるなんて言えないじゃない…。
という事はーーー。
「そんなに警戒しないでくれ。ただ貴女と共にすごしたいだけなんだ」
ルミリオ様と一緒に散歩をする流れですよね…。
「貴女と共に居たいと思うことすら嫌なのか?」
「嫌ではありません…」
ただ、どうしていいか分からなくなるだけ。
ルミリオ様から気持ちを伝えられて、まだ気持ちの整理が出来ていないのに会いに来られるのは困ってしまう。それに、私が会おうとした時はあんなにも避けていたのに、そんなことは無かったかのように会いに来るし。
「そうか、それなら今後は食事も共にするのはどうだ?もちろん、リアムとアイリと一緒に」
「そういう事でしたら……リアムも喜ぶと思うので.良いですよ」
私は食が進みそうにないけど、リアムは家族と過ごす事を望んでいるし、アイリも家族が一緒に過ごす方がいいと思う。なので、食事については拒否する気はない。
だけど、二人っきりで散歩やお茶をするのは勘弁して欲しい…。
「どうした?好きな菓子がなかったか?なら、別のを用意させよう」
「いえ!今はあまりお腹が空いていないだけなので大丈夫です!」
「そうか。ルビアがそう言うのなら、そういう事にしておこう」
そう言いながら優しく微笑むルミリオ様の視線に居心地の悪さを感じる。
食事を一緒に摂ることは了承したけど、毎日二人っきりで散歩したりお茶をする事は聞いてないんですけど!
毎日突然現れては散歩やお茶に誘われて気持ちが休まらない…。
断ろうにも、リアムやマーガレット達に逃げ道を塞がれて結局ルミリオ様と共に過ごす事になるし。ルミリオ様の態度は日に日に好意を全面に出して来て、今も熱い視線を注がれて、顔を上げればその瞳をまともに見てしまうので俯くことしか出来ない。
本当に、どうしてこうなったの…。
私はただ、アイリとリアムと一緒に過ごせればそれで十分なのに。
「ルビア」
お願いだから、そんなに愛おしそうに私の名前を呼ばないでほしい。
私はーーー。
私は……貴女を愛していたルビアでは無いのだから。
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