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フランス2
52話 祥子の葛藤
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マリがフランスに留学してから2週間たった美波高校では、松田祥子がぽっかりと穴のあいた気分でどんよりとした空の雲を眺めていた。あれだけ、嫌いだったマリやユウキがいなくなって、すっきりするはずの心がなぜかさみしさと、置いていかれたような劣等感でいっぱいになっていた。
「祥子、なんか元気ないわね。どうしたの具合でも悪いの?」
「う~ん、別に大丈夫よ。でも、なんか最近、気が抜けちゃって、どうも、調子がでないのよ」
「そりゃあ、よく、いがみ合っていた、マリやユウキくんがいなくなっちゃったものね。あんな人達は中々、人生、生きていても、そう会えないものね」
「ふ~」
とため息を祥子はついた。以前、マリに頼まれた、しづこの問題は、解決して、しづこと母親は東京に住まいを決めて、母親は仕事、しづこは転校と問題なくサポートすることができた。最初はマリに頼まれて、びっくりしたが、真剣に友達から、自分のことを信頼、頼ってくれたことが、すごくうれしかったことや、人助けをした時の充実感や自分が今まで、大変な思いで、頑張ってきた武術や社会教養などが、すごく役に立ったことが信じられないくらいの喜びだった。相変わらず、マリのことは好きにはなれていないが、自分を信頼してくれたことがとてもうれしくて、祥子はいつもマリのことを考えてしまっていた。しかも、マリとユウキは今も世界の危機を救うために邁進しているのに、自分はこの学校で平和な生活をしていることにむなしさや、悔しい思いがこみ上げてきて、どうにも、この気持ちを抑えられなくなってきていた。
「はあ~、マリがいないとさみしいな。僕も父さんのいるフランスにマリを追いかけて、転校しようかな」
と飯沢が祥子に話しかけてきた。
「あなた、まだこの学校に入ったばかりじゃない」
飯沢隆は祥子とはしづこの件、依頼、事あるごとに話し合える仲になっていた。
「そうなんだけど、なんて言うのかな。マリはさ、僕の直感なんだけど、これから、ぼくの人生の中で、あれだけのオ~ラというか、すごい雰囲気を持った女性には会えないような気がするんだ。彼女と一緒にいることで、何か、人生を生きていく意味を見つけられそうな気がするんだ」
祥子はいつも自分が思っていることを飯沢に言われて、その言葉が胸に突きささった。
「そうだ、今日の放課後、マリにネットで連絡して久しぶりにマリの様子を聞いてみようかな、
あ、祥子はあんまりマリと仲良くないみたいだから、別に話すことなんかないよね」
祥子はドキっとして、
「飯沢くんがどうしても話してくれと言うなら、一緒にいてあげてもいいわよ」
飯沢は笑いながら
「祥子はあまり素直じゃないね。顔にどうしても話がしたいって書いてあるよ」
祥子は顔を赤くして飯沢をにらんだ。
そして、放課後になった。今日は水曜日なので、少し早めに授業が終わり、時計では14時になっていた。
「祥子、じゃあ、マリに連絡するよ。フランスは日本時間の7時間遅れだから、え~と今は朝の7時か、忙しい時間だから、出てくれるかな?」
「大丈夫よ、マリは朝はすごく早くおきて稽古してるくらいだから」
「ぷるるる・・ ぷるるる・・・」
連絡をしたが、なかなか出なかったがしばらくして
「はい」
マリが電話にでた。
「マリ~、久しぶり~元気?」
「あ~飯沢くん、おはよう!こんな朝早くどうしたの?」
「どうしたのはないでしょ。あれ?マリなんか髪型が変わったね。さらに大人っぽくなったね」
「なんかフランスのお水のせいか、髪がいつもごわごわしちゃうんだよね」
「そうかあ、フランスは日本と生活水の成分が違うからね。学校の女の子に色々と聞いてみたら」
「うん、仲良くなったら聞いてみる」
「そっちの生活はどう?慣れた?」
「うん、日本とはだいぶ違うことが多いけど、生活は慣れてきたよ。でも学校ではぜんぜんダメ、友達もまだできないし、ちょっと私、学校ではまだなじめないよ」
「そりゃあ、すぐには無理だよ。でもマリなら大丈夫。絶対、友達はできるよ。あ、でも彼氏はだめだよ。僕がいるんだから」
「友達も作れないんだから、彼氏なんかできるわけないよ。でも飯沢くんと付き合っているわけではないけどね」
「そんなさみしいこと言わないでよ。あ、そうだ!祥子もどうしてもマリと話したいと言っているからちょっと変わるね」
祥子はそんなこと言ってないでしょと言いながら
「マリ、おはよう」
「おはよう祥子」
しばらく沈黙があり
「マリ、この間のしづこの件、無事に解決したから、しづこは今、東京で違う学校に通い始めたから」
「本当!良かった~、やっぱり、祥子に頼んで正解だった。祥子、本当にありがとう!」
無邪気な声でほめてくれて、祥子はめちゃくちゃ、うれしかった。
「べつにマリに頼まれたからじゃなく、私がしづこを助けたくてしたことなんだから、別にありがとうなんて、言わなくていいのよ」
マリは笑いながら
「祥子は相変わらずだね」
「ふん、いいでしょ別に、そうだ、マリ、フランスでのあの件はどうなの?進んでる?」
「あの件?」
その時、イブが部屋に入ってきた。
「マリ~、そろそろ朝ご飯食べないと学校に遅れちゃうよ」
金髪の美人女性が急にスマホ画面に入ってきて、祥子と飯沢は驚いた。
「マリ、その人は誰なの?」
「え~とね。同じ学校に通っているイブって子なんだけど、同じ部屋の同級生みたいなものかな」
「な~にやってるの?誰この人たち?」
「日本の友達よ、イブ、向こうに行っててあとでいくから」
「ふ~ん、あれ、葉子とそっくりだね。この子」
「いいから、あっちで待ってて」
「マリ、もしかして姉さんもそっちに行っているの?」
「え、聞こえちゃった・・・」
「聞こえたわよ」
「そうそう、葉子さんもいるよ。はあ~葉子さんに祥子には絶対に言わないでって、
言われてたのにな~困ったな~」
「ずるいわよ。おばあさまだって、そんな話、私には何にも教えてくれなくて、
私がフランスに行くことをお願いしたって、あんたが行っても2人の邪魔になるだけだからと
言われて、そっちに行けないのに」
祥子はふくれ顔になって悔しがった。
「祥子でもね。あの件は、もう無事に解決したから、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。
だから、こっちに来ないで、日本での学校生活を楽しんで」
祥子は自分だけ、のけものにされたような気分になり、
「でも、これから、なにがあるかわからないんだから、今日の夜、もう1回、おばあさまに
頼んでフランスに行けるようにお願いしてみるから」
「ありがとう、でも無理しなくて大丈夫だよ」
「別にマリのことが心配で行くんじゃないわよ。私は私のやりたい使命を果たしたいからいくんだから」
「祥子って、意外と難しい性格なんだね」
マリは笑って、そう言い返した。祥子は照れた顔でマリを見た。
「でも、マリはやっぱりめちゃくちゃ強かったんだね。最初はなんで、こんなかわいい女性が武道の特待生でフランスに行くのか不思議だったけど、あんな大きくて強そうな軍人を次から次へとぶっ飛ばしちゃんだから、あれはぜ~ったいマリだと僕は分かっているから」
祥子はあまりSNSやテレビなど見ないため、なんのことかわからずにいた。
「あれね。見てたのかあ~、飯沢くん、このことはあまり人には言わないでほしんだけど」
「わかってるって、この学校でそのことを知っているのはパソコンオタクの僕ぐらいさ」
「はあ~、よかった~」
「とにかく僕も、人生でこの人と決めたマリがいないと寂しいから、そっち行けるように動いてみるよ」
「だから、二人とも無理しなくて、大丈夫だからね」
「ごめん、もう学校いく準備しなくちゃいけないから、切るね、二人とも連絡してくれてありがとう」
マリがそう言って、電話が切れた。飯沢と祥子は必ず、マリのいるフランスへ行くことを
この時、強く思った。
「祥子、なんか元気ないわね。どうしたの具合でも悪いの?」
「う~ん、別に大丈夫よ。でも、なんか最近、気が抜けちゃって、どうも、調子がでないのよ」
「そりゃあ、よく、いがみ合っていた、マリやユウキくんがいなくなっちゃったものね。あんな人達は中々、人生、生きていても、そう会えないものね」
「ふ~」
とため息を祥子はついた。以前、マリに頼まれた、しづこの問題は、解決して、しづこと母親は東京に住まいを決めて、母親は仕事、しづこは転校と問題なくサポートすることができた。最初はマリに頼まれて、びっくりしたが、真剣に友達から、自分のことを信頼、頼ってくれたことが、すごくうれしかったことや、人助けをした時の充実感や自分が今まで、大変な思いで、頑張ってきた武術や社会教養などが、すごく役に立ったことが信じられないくらいの喜びだった。相変わらず、マリのことは好きにはなれていないが、自分を信頼してくれたことがとてもうれしくて、祥子はいつもマリのことを考えてしまっていた。しかも、マリとユウキは今も世界の危機を救うために邁進しているのに、自分はこの学校で平和な生活をしていることにむなしさや、悔しい思いがこみ上げてきて、どうにも、この気持ちを抑えられなくなってきていた。
「はあ~、マリがいないとさみしいな。僕も父さんのいるフランスにマリを追いかけて、転校しようかな」
と飯沢が祥子に話しかけてきた。
「あなた、まだこの学校に入ったばかりじゃない」
飯沢隆は祥子とはしづこの件、依頼、事あるごとに話し合える仲になっていた。
「そうなんだけど、なんて言うのかな。マリはさ、僕の直感なんだけど、これから、ぼくの人生の中で、あれだけのオ~ラというか、すごい雰囲気を持った女性には会えないような気がするんだ。彼女と一緒にいることで、何か、人生を生きていく意味を見つけられそうな気がするんだ」
祥子はいつも自分が思っていることを飯沢に言われて、その言葉が胸に突きささった。
「そうだ、今日の放課後、マリにネットで連絡して久しぶりにマリの様子を聞いてみようかな、
あ、祥子はあんまりマリと仲良くないみたいだから、別に話すことなんかないよね」
祥子はドキっとして、
「飯沢くんがどうしても話してくれと言うなら、一緒にいてあげてもいいわよ」
飯沢は笑いながら
「祥子はあまり素直じゃないね。顔にどうしても話がしたいって書いてあるよ」
祥子は顔を赤くして飯沢をにらんだ。
そして、放課後になった。今日は水曜日なので、少し早めに授業が終わり、時計では14時になっていた。
「祥子、じゃあ、マリに連絡するよ。フランスは日本時間の7時間遅れだから、え~と今は朝の7時か、忙しい時間だから、出てくれるかな?」
「大丈夫よ、マリは朝はすごく早くおきて稽古してるくらいだから」
「ぷるるる・・ ぷるるる・・・」
連絡をしたが、なかなか出なかったがしばらくして
「はい」
マリが電話にでた。
「マリ~、久しぶり~元気?」
「あ~飯沢くん、おはよう!こんな朝早くどうしたの?」
「どうしたのはないでしょ。あれ?マリなんか髪型が変わったね。さらに大人っぽくなったね」
「なんかフランスのお水のせいか、髪がいつもごわごわしちゃうんだよね」
「そうかあ、フランスは日本と生活水の成分が違うからね。学校の女の子に色々と聞いてみたら」
「うん、仲良くなったら聞いてみる」
「そっちの生活はどう?慣れた?」
「うん、日本とはだいぶ違うことが多いけど、生活は慣れてきたよ。でも学校ではぜんぜんダメ、友達もまだできないし、ちょっと私、学校ではまだなじめないよ」
「そりゃあ、すぐには無理だよ。でもマリなら大丈夫。絶対、友達はできるよ。あ、でも彼氏はだめだよ。僕がいるんだから」
「友達も作れないんだから、彼氏なんかできるわけないよ。でも飯沢くんと付き合っているわけではないけどね」
「そんなさみしいこと言わないでよ。あ、そうだ!祥子もどうしてもマリと話したいと言っているからちょっと変わるね」
祥子はそんなこと言ってないでしょと言いながら
「マリ、おはよう」
「おはよう祥子」
しばらく沈黙があり
「マリ、この間のしづこの件、無事に解決したから、しづこは今、東京で違う学校に通い始めたから」
「本当!良かった~、やっぱり、祥子に頼んで正解だった。祥子、本当にありがとう!」
無邪気な声でほめてくれて、祥子はめちゃくちゃ、うれしかった。
「べつにマリに頼まれたからじゃなく、私がしづこを助けたくてしたことなんだから、別にありがとうなんて、言わなくていいのよ」
マリは笑いながら
「祥子は相変わらずだね」
「ふん、いいでしょ別に、そうだ、マリ、フランスでのあの件はどうなの?進んでる?」
「あの件?」
その時、イブが部屋に入ってきた。
「マリ~、そろそろ朝ご飯食べないと学校に遅れちゃうよ」
金髪の美人女性が急にスマホ画面に入ってきて、祥子と飯沢は驚いた。
「マリ、その人は誰なの?」
「え~とね。同じ学校に通っているイブって子なんだけど、同じ部屋の同級生みたいなものかな」
「な~にやってるの?誰この人たち?」
「日本の友達よ、イブ、向こうに行っててあとでいくから」
「ふ~ん、あれ、葉子とそっくりだね。この子」
「いいから、あっちで待ってて」
「マリ、もしかして姉さんもそっちに行っているの?」
「え、聞こえちゃった・・・」
「聞こえたわよ」
「そうそう、葉子さんもいるよ。はあ~葉子さんに祥子には絶対に言わないでって、
言われてたのにな~困ったな~」
「ずるいわよ。おばあさまだって、そんな話、私には何にも教えてくれなくて、
私がフランスに行くことをお願いしたって、あんたが行っても2人の邪魔になるだけだからと
言われて、そっちに行けないのに」
祥子はふくれ顔になって悔しがった。
「祥子でもね。あの件は、もう無事に解決したから、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。
だから、こっちに来ないで、日本での学校生活を楽しんで」
祥子は自分だけ、のけものにされたような気分になり、
「でも、これから、なにがあるかわからないんだから、今日の夜、もう1回、おばあさまに
頼んでフランスに行けるようにお願いしてみるから」
「ありがとう、でも無理しなくて大丈夫だよ」
「別にマリのことが心配で行くんじゃないわよ。私は私のやりたい使命を果たしたいからいくんだから」
「祥子って、意外と難しい性格なんだね」
マリは笑って、そう言い返した。祥子は照れた顔でマリを見た。
「でも、マリはやっぱりめちゃくちゃ強かったんだね。最初はなんで、こんなかわいい女性が武道の特待生でフランスに行くのか不思議だったけど、あんな大きくて強そうな軍人を次から次へとぶっ飛ばしちゃんだから、あれはぜ~ったいマリだと僕は分かっているから」
祥子はあまりSNSやテレビなど見ないため、なんのことかわからずにいた。
「あれね。見てたのかあ~、飯沢くん、このことはあまり人には言わないでほしんだけど」
「わかってるって、この学校でそのことを知っているのはパソコンオタクの僕ぐらいさ」
「はあ~、よかった~」
「とにかく僕も、人生でこの人と決めたマリがいないと寂しいから、そっち行けるように動いてみるよ」
「だから、二人とも無理しなくて、大丈夫だからね」
「ごめん、もう学校いく準備しなくちゃいけないから、切るね、二人とも連絡してくれてありがとう」
マリがそう言って、電話が切れた。飯沢と祥子は必ず、マリのいるフランスへ行くことを
この時、強く思った。
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