黒猫と異世界転移を楽しもう!

かめきち

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第1章 異世界転移と旅立ち

第22話 魔道具作成

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 あれから約2時間、銀に硬化の付与をかけてみるが、

   銀 
   ランク C
   硬度  C
   レア度 B
   属性 なし
   特殊 付与:硬化(弱)
   素材 銀
    精錬された銀に硬化の付与がかかっている。精錬銀より硬度は増すが加工はしにくい性質を持つ。

 イメージが足りないのか魔力の量が足りないのか、硬化(弱)しか付与出来ず、硬度もCのままだ。 魔力も消費するので休憩しながら何が足りないのかをアリスに聞く。

 《なあアリス、何が足りないんだろう?》

 (そうですね、魔力は大丈夫だと思いますから、イメージでしょうか。 どんな魔法でも付与でもイメージが重要と聞きますからね。)

 《イメージか・・ ダイアモンド並みの硬さをイメージしているんだがそれでも足りないのかな。》

 (それが逆にいけないのではないですか? 銀の硬度はダイアモンドの硬度にはなり得ないでしょう。 銀の内蔵魔力を大きく上回るイメージではなく、銀としての限界までをイメージすればいいのではないでしょうか。)

 《なるほどな、やってみよう。》

 今度はダイアモンド並みのイメージではなく、銀のままで硬くなるようにイメージをして、硬化を付与する。先ほどまでと違った感触があり、確認して見ると、

   銀 
   ランク B
   硬度  C
   レア度 B
   属性 なし
   特殊 付与:硬化
   素材 銀
    精錬された銀に硬化の付与がかかっている。精錬銀より硬度は増すが加工はしにくい性質を持つ。

 《アリス出来た!! イメージが違いすぎたからいけなかったんだな。》

 スキップでもしそうな勢いでラーレのところに持っていく。

 「おめでとうございます。 上手く付与出来たようですね。」

 ラーレが笑顔で出迎えてくた。

 「はい、イメージが強すぎてなかなか上手くは出来ませんでしたが、成功しました。」

 「良かったです。 イメージは伝えにくいですし、私とヤストさんのイメージは違いますから、感覚を教えようとすればするほど失敗してしまうのですよ。 この感覚は自分で理解しないと付与は出来ないのですからね。」

 《スパルタではなく、理由があったみたいだな。》

 アリスに話していると、

 「それではその調子を保ちつつ、同じ硬化の付与が付いた銀を10個連続で出来れば知らせてください。 たまたま出来たでは困りますからね。」

 ラーレさんはやはりスパルタでした・・・

 2~3個ならまだしも、10個連続はなかなか難しく、その日は終了しまた明日に練習させてもらうこととなった。
 宿に帰り夕食を食べ終わってから、アリスと話をする。

 《2週間で鍛冶の大体は覚えれたよな、魔道具はどれくらいかかるんだろう? やはり2週間くらいかな?》

 (2週間で鍛冶をある程度でも覚えるのは十分早いですよ。 ただし魔道具は始めからスキルがあるのでそれよりも早いと思いますが。)

 《そうだよな。 焦ってもしょうがないし、ぼちぼちいこうか。》

 (それが良いかもですね。 鍛冶と魔道具スキルを覚えた後はどうされますか?)

 《ん~、まずは鍛冶と魔道具を作るのもだけど、冒険者ギルドでクエストをこなしていきたいな。》

 (そうですね。 冒険者ランクもFのままではなめられてしまいますので、せめてDランクまで上げるのを目標にすればいいのではないですか? 幸い人に恵まれていることですし。 大きな街やダンジョンにはゆっくりでも良いかと思います。)

 《Dランクが一般冒険者だったな。 まずはそれを目標にいこうか。 ってこの世界はダンジョンもあるのか?》

 (ありますよ。)

 アリスの説明によると、

 ・ダンジョンはこのアルナイルには無数にある。
 ・ダンジョンには国や街が管理しているダンジョンと、自然に出来ているノラダンジョンがある。
 ・ダンジョンは基本的に下へと降りていくダンジョンで、今までに発見されているダンジョンで最高は地下100階。
 ・10階層毎にダンジョンボスがいる。
 ・宝箱も多く、ダンジョン産の武器防具や魔道具は貴重品が多い。
 ・ダンジョンのモンスターは倒すと魔石とドロップアイテムを落とす。
 ・人間がダンジョンで死亡すれば、ダンジョンに吸収され装備品等のアイテムだけが残る。

 だいたいこんな感じで、異世界のダンジョンと同じようなものらしい。
 自分達の死体が残らないのは恐ろしいが・・・

 《まぁ、ダンジョンは置いといて、まずは明日から魔道具作成だな。》

 (そうですね。私は魔道具作成の知識を教えることは出来ますが、作成自体が出来るわけではないのでがんばってくださいね。 私はずっと側にいますから。)

 優しい言葉をかけられながら、今日も一緒に丸まって眠りに就いた。


 翌日にはもう10日間連泊することを宿に告げて、ラーレの店で付与の練習をする。

 10個連続が出来れば、次は筋力UPの付与、次に魔力UP、耐久UP・敏捷UP・運UPと続いていく・・・

 ラーレは怒鳴ったりはしないが、笑顔で課題をどんどん与えていく、アントンの怒鳴り声が懐かしい・・・

 その後は多重付与(硬化と筋力UP等)をしていく・・・
 その後は銀から、魔石への付与も行った・・・
 疲れた体の時に魔道具に関する知識を教えてもらう。(眠らないように必死だ!!) 

 そんな静かなスパルタ教育を受けて、1週間が立ちスキルレベルが3に上がった頃ラーレから飛びっきりの笑顔をいただいた。

 「魔道具作成と付与の基本は全てお教えしました、あとは自分で練習ですね。 今までお疲れ様でした。」 
 
 「ありがとうございます。 とても良い勉強をさせて頂きました。 またこちらに来させていただいて魔道具作成や付与を行なわさせていただいてよろしいですか?」

 「ええ、大丈夫ですよ。 私もヤストさんの魔道具作成に関する姿勢を見ていて、アントンさんが気に入られたのも分かります。 これからも一緒にがんばりましょうね。」

 笑顔でそう言われて、すごく嬉しかった。
 アントンに報告に行くと、自分が出来たかの様に喜んでくれた。


 宿に帰り寝る前に、ラーレの店で買った白の皮ひもと銀のリングを取りだし、リングにありったけの魔力で付与をする。
 確認してみると、

   銀のリング
   ランク S
   硬度  S
   レア度 S
   属性 なし
   特殊 付与:時間停止、敏捷性(+3)、運(+2)
   素材 銀
    精錬された銀に時間停止・敏捷UP・運UPの付与がかかっている。時間停止の付与を解除するか、同じ時間停止の付与のかかった物でないと破壊不可能、敏捷性・運に補正がかかる。

 効果を確認し、アリスの首にかける。

 (ヤスト、これは?)

 《いつもお世話になっているアリスへのプレゼントだよ。 初めてのちゃんとした作品だからアリスにもらって欲しくてね。 いつもありがとう。》

 (・・・とても嬉しいです・・・ 私こそいつもありがとう。 これからもよろしくお願いします。)

 《あぁ、これからもよろしくな。》

 今日も1人と1匹でベットに横になったが、いつもと違うのは前足でリングに触れながら寝るアリスの姿を見かけた事だった。 
 
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