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5.御当主様side 1
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【御当主様サイド】
私はサイファン家当主、グレア・ヒューオ・サイファン。
両親は馬車の事故で、数年前に亡くなった。
両親が亡くなった時、私は学生3年生で誕生日を迎える前だったのでギリギリ14歳。この国は15歳が成人で、両親はわたしが誕生日を数日後に控えたその時に事故で亡くなってしまった。
幸い、数日後には成人。
数日間のみお爺様が、代理をしてくださり誕生日を迎えると同時に当主の座を明け渡された。お爺様は1年付きっきりで仕事を教えるから、両親の残した領地や領民の事を思うならばこの1年を死に物狂いで過ごせと仰った。
「なーに。若いから無理したって大丈夫だ!何よりお前には強い気持ちがあるんだろう?身体に流れを叩き込み、正しい知識と判断力を養え。さすれば休む時間など後からついてくる。今は余計な事は考えず必死に頑張りなさい。私が助けるから!」と仰った。
最初は、両親が亡くなった悲しみの中でも若いから寝なくても大丈夫だ!みたいな事言われて、これが血の繋がった祖父なのか?悲しむ時間さえくれず仕事仕事仕事...。
血は通ってるのか?、クソジジイ。とか思ったのは...許して欲しい。
本当に最初は書類の見方さえ分からず処理を覚えてきても判断に迷う事も多く、お爺様に教えを乞う事も数多あった。そんなある日、考え過ぎて眠りに中々付けずに夜風にでもあたろうと部屋のバルコニーに出ようとした。
そしたら誰かが、泣いてるではないか。耳を澄ませば、お爺様が「何で親より先に逝っちまうんだ馬鹿野郎が...。うっうっ...グレアを残して...うっうっ...」その後も何やらボソボソ言っているのが聴こえてきたが、私は葬儀の際にも涙を見せなかったお爺様が泣いてる事にショックを受けた。両親を無くしたばかりなのに悲しむ時間もくれず、仕事を無理してでもやれとか鬼かなにかか。と思っていたけど...最初に言われたじゃないか。
『両親の残した領地や領民の事を思うならば死に物狂いでやれ』って。
大事な両親が、大事にしていた領民達。うちの両親は公爵家であるに関わらず、貴族主義とはかけ離れた考えを持って領地運営をしていて、領民や商人達の心証も良かったらしく領地はいつも人で溢れていた。そんな両親の親であるお爺様が何で鬼だとか思ってしまったんだろう。
実際、仕事について僅かづつではあるが理解が深まってくると悲しむ時間さえ惜しいのが良く分かった。しかし葬儀でも涙さえ見せない祖父をあの時確かに私は軽蔑したのだ。
仕事だって、こんなジジイにやれて俺に出来ないなんてあるか!と必死に食らいつきながら寝る間を惜しみ毎日をすごした。だが実際どうだ。子を失い悲しまない親なんているのだろうか。一緒に泣き、悲しみに暮れる事も出来たかもしれない。でも時間はみんな平等に過ぎて行く。待ってくれない。両親がしていた2人分を1人で効率よく裁いていかなければならない。時には、実際に報告書の整合性を取る為に現地に馬を走らせる事もある。泣いてる暇があれば、早く仕事を覚えて2人を安心させなければいけないのではないのか。
お爺様は、私に気付かれないようにこの様に泣いておられたのか。
私にはそんな素振りを一切見せずに。
気がつくと視界がボヤけて床に座り込み、膝の上で握りしめた掌の甲に涙がボタボタと落ち続けていた。
そしてそのまま倒れ込むように床で寝てしまっていたらしい私は、定時になっても部屋から出てこない事を心配したお爺様や執事達により発見されたらしい。
顔を真っ赤にさせ、明らかに熱を出して泣いていたからか瞼がパンパンに腫れており、昨夜私が泣き明かした事など誰も知らない為、何か変な病気になったのでは?!とお爺様がパニックになり、孫まで連れて行かないでくれ!と、大変だったらしい。...執事が、お爺様には内緒ですよってこっそり教えてくれた。
すんなり信用できたのは、昔から仕えてくれている執事だからと言うだけではない。実際、ベッドに伏せっている私の手を握ったお爺が、椅子に座りながら私のベッドに頭を落とし泣き疲れて寝ていたのだ。乾く間もなく涙の跡が残る顔を見ていると、ストンと何かが腑に落ちた。
色々私は周りが見えていなかった。
こんなにも思ってくれるお爺様が、いてくれるじゃないか。
こんなにも暖かく見守ってくれる家臣達に囲まれていたじゃないか。と。
その瞬間、柄にもなく大きな声で泣いた。
泣き声にびっくりしたお爺様が目を覚まし、執事を筆頭に使用人達が部屋に溢れ...私は何も見えていなかったんだな。1人じゃない。こんなにも温かいみんながいるじゃないか。
この温かな場所を守りたい。
この地を守る当主として、できる限りの事をしたい!
目標も新たにお爺様と抱き締め合いながら泣いて泣いて泣いて。
そして、約束の1年が経とうとしたころ...。
アリーシャと言う、妹の存在を知ったのだ。
私はサイファン家当主、グレア・ヒューオ・サイファン。
両親は馬車の事故で、数年前に亡くなった。
両親が亡くなった時、私は学生3年生で誕生日を迎える前だったのでギリギリ14歳。この国は15歳が成人で、両親はわたしが誕生日を数日後に控えたその時に事故で亡くなってしまった。
幸い、数日後には成人。
数日間のみお爺様が、代理をしてくださり誕生日を迎えると同時に当主の座を明け渡された。お爺様は1年付きっきりで仕事を教えるから、両親の残した領地や領民の事を思うならばこの1年を死に物狂いで過ごせと仰った。
「なーに。若いから無理したって大丈夫だ!何よりお前には強い気持ちがあるんだろう?身体に流れを叩き込み、正しい知識と判断力を養え。さすれば休む時間など後からついてくる。今は余計な事は考えず必死に頑張りなさい。私が助けるから!」と仰った。
最初は、両親が亡くなった悲しみの中でも若いから寝なくても大丈夫だ!みたいな事言われて、これが血の繋がった祖父なのか?悲しむ時間さえくれず仕事仕事仕事...。
血は通ってるのか?、クソジジイ。とか思ったのは...許して欲しい。
本当に最初は書類の見方さえ分からず処理を覚えてきても判断に迷う事も多く、お爺様に教えを乞う事も数多あった。そんなある日、考え過ぎて眠りに中々付けずに夜風にでもあたろうと部屋のバルコニーに出ようとした。
そしたら誰かが、泣いてるではないか。耳を澄ませば、お爺様が「何で親より先に逝っちまうんだ馬鹿野郎が...。うっうっ...グレアを残して...うっうっ...」その後も何やらボソボソ言っているのが聴こえてきたが、私は葬儀の際にも涙を見せなかったお爺様が泣いてる事にショックを受けた。両親を無くしたばかりなのに悲しむ時間もくれず、仕事を無理してでもやれとか鬼かなにかか。と思っていたけど...最初に言われたじゃないか。
『両親の残した領地や領民の事を思うならば死に物狂いでやれ』って。
大事な両親が、大事にしていた領民達。うちの両親は公爵家であるに関わらず、貴族主義とはかけ離れた考えを持って領地運営をしていて、領民や商人達の心証も良かったらしく領地はいつも人で溢れていた。そんな両親の親であるお爺様が何で鬼だとか思ってしまったんだろう。
実際、仕事について僅かづつではあるが理解が深まってくると悲しむ時間さえ惜しいのが良く分かった。しかし葬儀でも涙さえ見せない祖父をあの時確かに私は軽蔑したのだ。
仕事だって、こんなジジイにやれて俺に出来ないなんてあるか!と必死に食らいつきながら寝る間を惜しみ毎日をすごした。だが実際どうだ。子を失い悲しまない親なんているのだろうか。一緒に泣き、悲しみに暮れる事も出来たかもしれない。でも時間はみんな平等に過ぎて行く。待ってくれない。両親がしていた2人分を1人で効率よく裁いていかなければならない。時には、実際に報告書の整合性を取る為に現地に馬を走らせる事もある。泣いてる暇があれば、早く仕事を覚えて2人を安心させなければいけないのではないのか。
お爺様は、私に気付かれないようにこの様に泣いておられたのか。
私にはそんな素振りを一切見せずに。
気がつくと視界がボヤけて床に座り込み、膝の上で握りしめた掌の甲に涙がボタボタと落ち続けていた。
そしてそのまま倒れ込むように床で寝てしまっていたらしい私は、定時になっても部屋から出てこない事を心配したお爺様や執事達により発見されたらしい。
顔を真っ赤にさせ、明らかに熱を出して泣いていたからか瞼がパンパンに腫れており、昨夜私が泣き明かした事など誰も知らない為、何か変な病気になったのでは?!とお爺様がパニックになり、孫まで連れて行かないでくれ!と、大変だったらしい。...執事が、お爺様には内緒ですよってこっそり教えてくれた。
すんなり信用できたのは、昔から仕えてくれている執事だからと言うだけではない。実際、ベッドに伏せっている私の手を握ったお爺が、椅子に座りながら私のベッドに頭を落とし泣き疲れて寝ていたのだ。乾く間もなく涙の跡が残る顔を見ていると、ストンと何かが腑に落ちた。
色々私は周りが見えていなかった。
こんなにも思ってくれるお爺様が、いてくれるじゃないか。
こんなにも暖かく見守ってくれる家臣達に囲まれていたじゃないか。と。
その瞬間、柄にもなく大きな声で泣いた。
泣き声にびっくりしたお爺様が目を覚まし、執事を筆頭に使用人達が部屋に溢れ...私は何も見えていなかったんだな。1人じゃない。こんなにも温かいみんながいるじゃないか。
この温かな場所を守りたい。
この地を守る当主として、できる限りの事をしたい!
目標も新たにお爺様と抱き締め合いながら泣いて泣いて泣いて。
そして、約束の1年が経とうとしたころ...。
アリーシャと言う、妹の存在を知ったのだ。
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