さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

4月SS 7

　なんとか力を振り絞り起き上がるのを正宗が支えてくれる。畳の上に座って

「おはよう、正宗。起こしてくれてありがとう」
「礼はキスでいいぞ」
「…今しちゃうと…時間に遅れそうだから夜ね」

　そう言い彼の頬にチュッと音を立てると鏡の前で髪を整える。後ろから正宗が私のお腹に腕を回し鏡の中で目を合わせて言う。

「夜は大人のキスを楽しみにしている」
「…キスだけでいいの？」
「そのあとは俺に任せろ。行くぞ」

　彼に腰を抱かれるように部屋を出ると、部屋の前に潤、駿、伊東さん、小笹さんがいた。

「今日は貸し切りだから、この中で付いてなくていいんじゃないの？」
「綸さん、同じ部屋に行くのでこれでいいんすっよ」
「社員ですが、組員以外という8名が合流しましたから」

　小笹さん伊東さんと答えてくれて不思議に思い5人に聞く。

「組員さんと社員さんの違いはわかる…所属とか雇用の違いがあるんだろうけど警戒対象なの？」
「高須組の会社と理解している者だけを採用しているから問題はないよ」
「俺たちの行動はクセだよ。一応とか、その程度。気にしないで」

　今度は潤と駿が答えてくれると、すでに全員が揃う宴会場に到着した。私たちが入ると

「「「「「お疲れ様です」」」」」

　と本家と変わらない声が聞こえて頬が緩む。

　本家の皆も食事の頃かな…今晩はお肉かな…お魚かな…すっかり馴染んだ食堂の様子を脳裏に浮かべながら席についた。