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フラグをたてるために、俺の屍を越えて行け
パラメーターEとリア充の祭~前夜2~
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朝礼から始まり、4限のHRが始まるまでの授業内容は俺の頭の中には全く入らなかった。俺の心の中は、『いかにしてコンテスト関連で神埼とお近づきになるか』で埋め尽くされていたからな。
そして、HR開始間際になると、クラス委員長兼Eクラスの顔面偏差値をめっきり上げているリア充小鳥遊翔と地味な書記が教壇に立つ。ざわざわとしていた生徒たちもそれぞれの会話を中断して、小鳥遊に視線を集める。『カースト上位のお話には、全員が一丸となって耳を傾けねばならないってか、ペッ、耳ふさがせてもらおう』とか普段は思っている俺。だが、今回ばかしは耳を大にして、かつメモ帳を準備、そして背筋をピンとして小鳥遊をガン見していた。彼がコンテストの詳細を語ると、俺の第六感が教えてくれていたからだ。
クラスが静かになると、小鳥遊は爽やか笑顔で頷いて喋り始めた。
「ホームルームをはじめます!もう噂になっているから知っている人もいるかもだけど、アテネ祭の開催が決定しました」
この発言に対する、クラスメイトの反応は大きく三つに分かれた。一つは、黄色い声を上げるビッチ及び騒がしく口笛で調子づく野次馬ども。一つは、イケメン小鳥遊及びコンテストの存在に水面下で敵意を燃やす反乱軍。一つは、コンテストにも興味がなく自分の好きなことをやっている自由人。
普段の俺は言わずもがな反乱軍に所属しているが、今回は第4グループ、真面目にコンテスト概要を聞く生徒になっていた。
お祭り騒ぎ状態になったクラスメイトの話し声が一段落すると、小鳥遊は言葉を続ける。
「今回のアテネ祭メインイベントのコンテストは、いつもと違って特設ステージで開かれることになったんだ。ただ、今年は来場者数が非常に多く予想されることから、入場制限がかかることになったらしい」
「ええーマジ?困るんですけどー」
「コンテストってそんなに人気あったっけ?」
「なんでも、Aクラスの神崎が出るからって噂らしいぜ」
「じゃあ、俺も今年はコンテスト見に行かないとな。Aクラスの女子なんてお目にかかるチャンスそうないし」
「男子自重しろー」
主にリア充どもが口々に喋り出す。だが、小鳥遊が話し始めようとした瞬間、ピタリと話し声が止まる。これがカリスマってやつか。一周回ってすげえな。
「それで入場制限をクリアする一つの条件が、コンテストに参加の意志を表明することなんだよね。それに加えて、コンテスト参加者にのみ投票する権利が与えられることになったんだ。なんでも、『人を評価するのなら、自分も同じ土俵に立て』ということみたいで」
「コンテストに出てる人を直接応援したいってなら、自分もコンテストに出ないといけないみたいな感じ?」
小鳥遊の取り巻きの一人が尋ねると、爽やかイケメンは軽く頷く。それに反応して、キャーと女子の声が聞こえる。やかましいわ。
「でも、それだと、コンテストを見られる人ってめっちゃ限られちゃうんじゃね?」
「そこは安心してもらって大丈夫。確かに特設会場に入れる人は限られちゃうけど、ちゃんと中継が入るから、コンテストを映像越しに見ることは可能だよ」
そんなこんなで、アテネ祭に関しての概要の紹介と質問タイムが終わると、いよいよ本題を切り出すイケメン。
「で、今日中に一つ決めておかないといけないことがあって、コンテストに参加できる人っているかな?勿論、立候補でもいいし、推薦でも構わないよ」
「それなら、私たち小鳥遊君を推薦します!」
「うんうん、Eクラスのイケメンって言ったら、小鳥遊君だもんね」
「小鳥遊君頑張ってぇぇぇ!」
女子どもの熱い推薦に苦笑した小鳥遊。書記が、黒板のコンテスト出場者の欄に『小鳥遊翔』と書く。
「翔に参加してもらうからには、やっぱり優勝してもらいたいし。誰でもいいから男子参加しなよ」
高圧的なビッチの一声により、小鳥遊の取り巻きの男子たちが2人ほど手を上げる。その後も、推薦やらで、ぽつぽつ参加が決まっていく。書記はフルネームで参加者の名前を板書していく。
「他に参加したい人はいるかな?」
俺は待っていましたとばかりに、手をピンと伸ばして参加の意志を伝える。
「うん、山田健太君だね」
司会が俺の名前を告げたと同時に、クラスに沈黙が訪れる。普段なら耐えられない重圧であったが、無敵の俺には関係のない。前の座席に座っている魔法使いが振り返って必死に首を横に振っているが、俺はそれをスルーした。そして、小鳥遊の目を正面から見据えて参加への情熱を伝えた。俺には神崎と仲良くなるっていう崇高な目標があるんだ。小鳥遊はその情熱をくんでくれたのだろう、頷いてホームルームを締めようとする。だが、先ほどの高圧ビッチの嘲笑がその流れを破った。
「いやいや、ピリオドはないでしょ。流石に誰でもってアタシ言ったけどさ、身のほどは弁えてって感じ」
それを引き金に、何人かが、だよねー、とスクールカースト上位に賛同の意を表する。そんな時、
『バン』
と大きな音がする。勿論、俺が机をたたいたわけではない。麗しの神崎へと続く道の前には、ビッチどもの嘲笑なんて朝飯前だからな。まあ、ビッチに直接喧嘩売るなんて俺にできるわけないしな。じゃあ、その音の主は誰かっていうと、小鳥遊だった。教壇を両手で叩いたようだ。
「大きな音を出してごめん、でも、勇気をもって自ら参加の意志を表明した人にとって、それを馬鹿にする権利は誰にもないと思う。俺はそうゆうの嫌いだ」
真剣な表情を見せる小鳥遊に、先ほどまでの嘲笑はぱったり止んだ。こいつの発言力ってヤバいな。すぐにかたい表情を崩して爽やかな笑顔に戻したイケメンは続ける。
「同じクラスメイトなんだからさ、みんなで参加者を応援してこうぜ」
爽やか青年の発言に対してクラスの反応は言わずもがな。
「そうだよな。翔の言う通りだわ。俺たち同じクラスだしな」
「小鳥遊君優しいー!」
「もう翔が優勝でいいんじゃないかな?」
「私Eクラスでほんと良かった!」
熱い賛同を示す第一グループ。反乱軍であるはずなのにも関わらず、拍手を送る第二グループ。感嘆の表情を浮かべる第三グループ。小鳥遊は若干照れくさそうにしながら、ありがとう、と告げてホームルームを終えた。俺でさえ、ちょいと小鳥遊に対する評価を改めねばと思ってしまった。
でも、いくら小鳥遊のすごさに俺が霞んでしまったとはいえ、俺の名前を『・』で省略するのはどうよ?それに気づいた魔法使いは、無言で俺の肩をポンポンと優しく叩いてきた。友情の優しさがつらい今日この頃です。
そして、HR開始間際になると、クラス委員長兼Eクラスの顔面偏差値をめっきり上げているリア充小鳥遊翔と地味な書記が教壇に立つ。ざわざわとしていた生徒たちもそれぞれの会話を中断して、小鳥遊に視線を集める。『カースト上位のお話には、全員が一丸となって耳を傾けねばならないってか、ペッ、耳ふさがせてもらおう』とか普段は思っている俺。だが、今回ばかしは耳を大にして、かつメモ帳を準備、そして背筋をピンとして小鳥遊をガン見していた。彼がコンテストの詳細を語ると、俺の第六感が教えてくれていたからだ。
クラスが静かになると、小鳥遊は爽やか笑顔で頷いて喋り始めた。
「ホームルームをはじめます!もう噂になっているから知っている人もいるかもだけど、アテネ祭の開催が決定しました」
この発言に対する、クラスメイトの反応は大きく三つに分かれた。一つは、黄色い声を上げるビッチ及び騒がしく口笛で調子づく野次馬ども。一つは、イケメン小鳥遊及びコンテストの存在に水面下で敵意を燃やす反乱軍。一つは、コンテストにも興味がなく自分の好きなことをやっている自由人。
普段の俺は言わずもがな反乱軍に所属しているが、今回は第4グループ、真面目にコンテスト概要を聞く生徒になっていた。
お祭り騒ぎ状態になったクラスメイトの話し声が一段落すると、小鳥遊は言葉を続ける。
「今回のアテネ祭メインイベントのコンテストは、いつもと違って特設ステージで開かれることになったんだ。ただ、今年は来場者数が非常に多く予想されることから、入場制限がかかることになったらしい」
「ええーマジ?困るんですけどー」
「コンテストってそんなに人気あったっけ?」
「なんでも、Aクラスの神崎が出るからって噂らしいぜ」
「じゃあ、俺も今年はコンテスト見に行かないとな。Aクラスの女子なんてお目にかかるチャンスそうないし」
「男子自重しろー」
主にリア充どもが口々に喋り出す。だが、小鳥遊が話し始めようとした瞬間、ピタリと話し声が止まる。これがカリスマってやつか。一周回ってすげえな。
「それで入場制限をクリアする一つの条件が、コンテストに参加の意志を表明することなんだよね。それに加えて、コンテスト参加者にのみ投票する権利が与えられることになったんだ。なんでも、『人を評価するのなら、自分も同じ土俵に立て』ということみたいで」
「コンテストに出てる人を直接応援したいってなら、自分もコンテストに出ないといけないみたいな感じ?」
小鳥遊の取り巻きの一人が尋ねると、爽やかイケメンは軽く頷く。それに反応して、キャーと女子の声が聞こえる。やかましいわ。
「でも、それだと、コンテストを見られる人ってめっちゃ限られちゃうんじゃね?」
「そこは安心してもらって大丈夫。確かに特設会場に入れる人は限られちゃうけど、ちゃんと中継が入るから、コンテストを映像越しに見ることは可能だよ」
そんなこんなで、アテネ祭に関しての概要の紹介と質問タイムが終わると、いよいよ本題を切り出すイケメン。
「で、今日中に一つ決めておかないといけないことがあって、コンテストに参加できる人っているかな?勿論、立候補でもいいし、推薦でも構わないよ」
「それなら、私たち小鳥遊君を推薦します!」
「うんうん、Eクラスのイケメンって言ったら、小鳥遊君だもんね」
「小鳥遊君頑張ってぇぇぇ!」
女子どもの熱い推薦に苦笑した小鳥遊。書記が、黒板のコンテスト出場者の欄に『小鳥遊翔』と書く。
「翔に参加してもらうからには、やっぱり優勝してもらいたいし。誰でもいいから男子参加しなよ」
高圧的なビッチの一声により、小鳥遊の取り巻きの男子たちが2人ほど手を上げる。その後も、推薦やらで、ぽつぽつ参加が決まっていく。書記はフルネームで参加者の名前を板書していく。
「他に参加したい人はいるかな?」
俺は待っていましたとばかりに、手をピンと伸ばして参加の意志を伝える。
「うん、山田健太君だね」
司会が俺の名前を告げたと同時に、クラスに沈黙が訪れる。普段なら耐えられない重圧であったが、無敵の俺には関係のない。前の座席に座っている魔法使いが振り返って必死に首を横に振っているが、俺はそれをスルーした。そして、小鳥遊の目を正面から見据えて参加への情熱を伝えた。俺には神崎と仲良くなるっていう崇高な目標があるんだ。小鳥遊はその情熱をくんでくれたのだろう、頷いてホームルームを締めようとする。だが、先ほどの高圧ビッチの嘲笑がその流れを破った。
「いやいや、ピリオドはないでしょ。流石に誰でもってアタシ言ったけどさ、身のほどは弁えてって感じ」
それを引き金に、何人かが、だよねー、とスクールカースト上位に賛同の意を表する。そんな時、
『バン』
と大きな音がする。勿論、俺が机をたたいたわけではない。麗しの神崎へと続く道の前には、ビッチどもの嘲笑なんて朝飯前だからな。まあ、ビッチに直接喧嘩売るなんて俺にできるわけないしな。じゃあ、その音の主は誰かっていうと、小鳥遊だった。教壇を両手で叩いたようだ。
「大きな音を出してごめん、でも、勇気をもって自ら参加の意志を表明した人にとって、それを馬鹿にする権利は誰にもないと思う。俺はそうゆうの嫌いだ」
真剣な表情を見せる小鳥遊に、先ほどまでの嘲笑はぱったり止んだ。こいつの発言力ってヤバいな。すぐにかたい表情を崩して爽やかな笑顔に戻したイケメンは続ける。
「同じクラスメイトなんだからさ、みんなで参加者を応援してこうぜ」
爽やか青年の発言に対してクラスの反応は言わずもがな。
「そうだよな。翔の言う通りだわ。俺たち同じクラスだしな」
「小鳥遊君優しいー!」
「もう翔が優勝でいいんじゃないかな?」
「私Eクラスでほんと良かった!」
熱い賛同を示す第一グループ。反乱軍であるはずなのにも関わらず、拍手を送る第二グループ。感嘆の表情を浮かべる第三グループ。小鳥遊は若干照れくさそうにしながら、ありがとう、と告げてホームルームを終えた。俺でさえ、ちょいと小鳥遊に対する評価を改めねばと思ってしまった。
でも、いくら小鳥遊のすごさに俺が霞んでしまったとはいえ、俺の名前を『・』で省略するのはどうよ?それに気づいた魔法使いは、無言で俺の肩をポンポンと優しく叩いてきた。友情の優しさがつらい今日この頃です。
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