12 / 36
フラグをたてるために、俺の屍を越えて行け
パラメーターEとリア充の祭~前夜~
しおりを挟む
どうにか弥生の機嫌をとることに成功した俺は、弥生と別れて自分の教室に向かっていた。いつもより廊下を通り過ぎる生徒が騒がしい気がする。なんかあったのかな?とか思いながら、去年の今の時期何が起きていたのかを思い出す。そして、思い当たった行事にどんより気分が重くなる。何とも言えない気分になりながら、建付けの悪い教室の扉を開けると、眼鏡をかけた青年が開口一番に叫んできた。
「ついにアテネ祭が開催決定だってよ」
「ふーん」
この眼鏡をかけた青年は、本名田中といい、ニックネームは魔法使い。クラスに一人はいる女の子大好き青年だ。綿密な調査を行った後に女子のデータとかをつけることに青春を捧げている。そのため、男子からは魔法のように特定の女子のデータを生み出すその姿に対する尊敬の念を込めて、女子からは『あいつキモすぎ。30歳になっても童貞じゃない?魔法使い確実だよね(笑)』という軽蔑の言葉とともに付け足られたニックネーム。そんな背景を知ってか知らずか、本人は気に入っているようなのでなにより。
「おいおい、そんな気のない返事するなよな。まあお互いランキング外の仲間だから、お前の気持ちは分からんでもない。だがな、そんなことよりも大事なことがあるだろう」
「そんなもんあったか?」
「ばか野郎!普段お近づきになることさえ難しい他クラスの美人な女子を堂々と拝める最高の機会じゃないか!」
魔法使いは教室の入口で叫ぶ。それと同時に、複数の女子の舌打ちが聞こえる。こえー。こいつと喋っている俺にもとばっちり来ないか心配になるわ。
少し声を潜めて、窓際の一番後ろにある自分の席に腰をかけると、前の席に魔法使いが座る。
「落ち着けって」
「こんな熱いイベントの前に落ち着いていられるか!そりゃ、お前みたいに朝から美少女と登校しているやつにゃ分からないだろう。ってかどうして、お前には宮崎さんのような幼馴染がいるのだ?羨ましすぎる。この男子の敵め!」
さっきの仲間意識どこ行ったよ?胸倉を掴んで、前後に揺らしてくるのが軽くうざったい。まあいつものことなので、さらっと受け流して、脱線した話題を元に戻す。
「そんで、魔法使いがアテネ祭を楽しみにしてるのは分かったけどよ、やけに今年はテンション高くね?」
「よくぞ聞いてくれました。流石俺の親友!」
魔法使いの言いたいことを的確についたようで、眼鏡の青年はたっぷりと間を作ってから話し始める。
「なんと、今回はAクラスの女神神崎藍の参加が決定したのだ!」
マジか?!あの神崎藍が?俺の表情の変化を感じ取って、満足そうな魔法使いが続ける。
「ようやくことの重大さが分かったか、ピリオドよ。そう、昨年は出場しなかったこの学校のマドンナが満を持して出場するのだ。さらに、俺はとある情報筋から耳よりなことを得たのだ。知りたいか?」
俺は前のめりになる。
「詳しく」
「おうよ。なんでも今回のアテネ祭は例年と違うらしい」
「違う?」
「ああ、いつものアテネ祭っていうと、全校生徒にアンケート用紙を配布した上で、エントリーした人達から選ぶだろ?」
俺は去年のアテネ祭を思い出しながら、相槌を打つ。アテネ祭なんて大層な名前ついているが、要は大学のミスコン、ミスターコンみたいなものである。大学と違い、学校関係者以外は入場もできないけど。
「だがな、今年は学校のマドンナが出場するということで、運営もコンテストの会場に入場制限をかけざるを得ないみたいでな。入場できない生徒は、生の神崎を見れないのだ」
やっぱり神崎って人気あるのか。なんか嬉しい気持ちと壁を感じて悲しい複雑な心境だわ。俺の心境を当然魔法使いが知るはずもなく、熱気を帯びた口調で後を継ぐ。
「そして、その入場制限を突破する一つの条件が、投票する生徒もエントリーするというものだ。無論エントリーだけして突如辞退ってことはご法度で、即退学に追い込まれるとのこと。人を評価するのなら、自分も同じ土俵に立てということにしたらしい」
「なるほど」
「コンテストに参加するとなれば、放課後の練習とかミーティングやらなんとやらで他クラスの可憐な女性と触れ合う機会も多くなる。だが、その反面、俺たちモブキャラは自分の社会的プライドを犠牲にしなければいけない。どちらをお前は選ぶのだ?ピリオドよ?」
さらっと、俺もモブキャラ扱いされたのは釈然としないが、俺の中にボワーとやる気が湧いてくるのを感じた。神崎に近づくチャンスを増やすのと、自分のプライドを守るのどっちが大事かだって?そんなの決まっているじゃないか。
「俺はエントリーする」
「だよなー。ピリオドならエントリーしないと思ってた。だから、エントリーしないで、会場に入場でできる条件の方をお前に・・・・え?今何て?」
もう魔法使いの言葉は俺の耳に入ってこない。戸惑った表情を見せる魔法使いに、宣言が聞こえなかったのかな?と思った俺は、再度宣言する。
「だから、エントリーするって」
「正気か?お前のようなモブキャラ、リア充のイケメン共の前にはなす術のなく散っていくのは、回避されない真実だぞ?」
その後も、魔法使いは俺に何かと話しかけていたようだったが、そんなことはもう気にならなかった。
こうしてパラメーターEの俺は、リア充によるリア充のためのコンテストへの参加を表明した。
『俺はこのチャンスに、神崎とお近づきになってやる!』
「ついにアテネ祭が開催決定だってよ」
「ふーん」
この眼鏡をかけた青年は、本名田中といい、ニックネームは魔法使い。クラスに一人はいる女の子大好き青年だ。綿密な調査を行った後に女子のデータとかをつけることに青春を捧げている。そのため、男子からは魔法のように特定の女子のデータを生み出すその姿に対する尊敬の念を込めて、女子からは『あいつキモすぎ。30歳になっても童貞じゃない?魔法使い確実だよね(笑)』という軽蔑の言葉とともに付け足られたニックネーム。そんな背景を知ってか知らずか、本人は気に入っているようなのでなにより。
「おいおい、そんな気のない返事するなよな。まあお互いランキング外の仲間だから、お前の気持ちは分からんでもない。だがな、そんなことよりも大事なことがあるだろう」
「そんなもんあったか?」
「ばか野郎!普段お近づきになることさえ難しい他クラスの美人な女子を堂々と拝める最高の機会じゃないか!」
魔法使いは教室の入口で叫ぶ。それと同時に、複数の女子の舌打ちが聞こえる。こえー。こいつと喋っている俺にもとばっちり来ないか心配になるわ。
少し声を潜めて、窓際の一番後ろにある自分の席に腰をかけると、前の席に魔法使いが座る。
「落ち着けって」
「こんな熱いイベントの前に落ち着いていられるか!そりゃ、お前みたいに朝から美少女と登校しているやつにゃ分からないだろう。ってかどうして、お前には宮崎さんのような幼馴染がいるのだ?羨ましすぎる。この男子の敵め!」
さっきの仲間意識どこ行ったよ?胸倉を掴んで、前後に揺らしてくるのが軽くうざったい。まあいつものことなので、さらっと受け流して、脱線した話題を元に戻す。
「そんで、魔法使いがアテネ祭を楽しみにしてるのは分かったけどよ、やけに今年はテンション高くね?」
「よくぞ聞いてくれました。流石俺の親友!」
魔法使いの言いたいことを的確についたようで、眼鏡の青年はたっぷりと間を作ってから話し始める。
「なんと、今回はAクラスの女神神崎藍の参加が決定したのだ!」
マジか?!あの神崎藍が?俺の表情の変化を感じ取って、満足そうな魔法使いが続ける。
「ようやくことの重大さが分かったか、ピリオドよ。そう、昨年は出場しなかったこの学校のマドンナが満を持して出場するのだ。さらに、俺はとある情報筋から耳よりなことを得たのだ。知りたいか?」
俺は前のめりになる。
「詳しく」
「おうよ。なんでも今回のアテネ祭は例年と違うらしい」
「違う?」
「ああ、いつものアテネ祭っていうと、全校生徒にアンケート用紙を配布した上で、エントリーした人達から選ぶだろ?」
俺は去年のアテネ祭を思い出しながら、相槌を打つ。アテネ祭なんて大層な名前ついているが、要は大学のミスコン、ミスターコンみたいなものである。大学と違い、学校関係者以外は入場もできないけど。
「だがな、今年は学校のマドンナが出場するということで、運営もコンテストの会場に入場制限をかけざるを得ないみたいでな。入場できない生徒は、生の神崎を見れないのだ」
やっぱり神崎って人気あるのか。なんか嬉しい気持ちと壁を感じて悲しい複雑な心境だわ。俺の心境を当然魔法使いが知るはずもなく、熱気を帯びた口調で後を継ぐ。
「そして、その入場制限を突破する一つの条件が、投票する生徒もエントリーするというものだ。無論エントリーだけして突如辞退ってことはご法度で、即退学に追い込まれるとのこと。人を評価するのなら、自分も同じ土俵に立てということにしたらしい」
「なるほど」
「コンテストに参加するとなれば、放課後の練習とかミーティングやらなんとやらで他クラスの可憐な女性と触れ合う機会も多くなる。だが、その反面、俺たちモブキャラは自分の社会的プライドを犠牲にしなければいけない。どちらをお前は選ぶのだ?ピリオドよ?」
さらっと、俺もモブキャラ扱いされたのは釈然としないが、俺の中にボワーとやる気が湧いてくるのを感じた。神崎に近づくチャンスを増やすのと、自分のプライドを守るのどっちが大事かだって?そんなの決まっているじゃないか。
「俺はエントリーする」
「だよなー。ピリオドならエントリーしないと思ってた。だから、エントリーしないで、会場に入場でできる条件の方をお前に・・・・え?今何て?」
もう魔法使いの言葉は俺の耳に入ってこない。戸惑った表情を見せる魔法使いに、宣言が聞こえなかったのかな?と思った俺は、再度宣言する。
「だから、エントリーするって」
「正気か?お前のようなモブキャラ、リア充のイケメン共の前にはなす術のなく散っていくのは、回避されない真実だぞ?」
その後も、魔法使いは俺に何かと話しかけていたようだったが、そんなことはもう気にならなかった。
こうしてパラメーターEの俺は、リア充によるリア充のためのコンテストへの参加を表明した。
『俺はこのチャンスに、神崎とお近づきになってやる!』
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一条さん結婚したんですか⁉︎
あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎
嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡
((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜
⭐︎本編は完結しております⭐︎
⭐︎番外編更新中⭐︎
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!
タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。
姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。
しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──?
全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる