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時は経ち、1万と数千年という歳月の間に、人々に知恵も芽生えたことで、高度な魔力文明が栄えていった。この世界の政は、国家政府組織「ガーデン」が主となって『フルール・ミロワール』全域を飛び交い、世界の平和を守っていた。
そしてこの日も、「ガーデン」の一員たちが、忙しなく任務に駆り出されていた。
「こちらシェリー! 件の『魔珠』窃盗犯と思しき人物が、ロータスエリアへ向かって逃走中!」
「同じくこちらエレン。シェリーと共に容疑者を追跡中。コスモスエリアから北東の方角に、街中を移動しています」
『了解。追って増援を向かわせます。引き続き追跡をお願い。無茶はしないように!』
「「了解!」」
二人の女性が、「大花盤」と呼ばれるネオンに輝く円盤に乗って、一人の男を追いかける。途中、通信も交えてその速度を上げていった。しばらくすると、拓けた街の郊外へ飛び出した。
「エレン、私が前に出るわ。後方と右側をお願い!」
「オーケー、シェリーも気をつけて!」
「了ー解っ! いくわよ!」
威勢のいい号令により、赤桃色の髪の女性が、一気に男の前方へ躍り出る。行く手を遮られたことにより、男の足が止まり、すぐさま方向転換して再び逃走を試みるが、後ろには淡い金髪の女性がそれを阻止している。完全に男の動きが止まり、いよいよ身柄を確保できる、と思ったその時。男の手には、小刀ほどの鋭利な凶器が握られていた。
「…ある程度予想はしていたけど、随分と物騒なものを持ち歩いていたわね、あなた」
「そこをどけ! 早くこれを持って行かなきゃならないんだよ!!」
「へえ~? 一体どこに持って行くのかしら?」
「『魔珠』はそれぞれ、自らが決めた場所に自生していなければならないの。それはあなたも知っているでしょう?」
「うるせえ!!」
「っ! ダメだわ話にならない…! そちらがその気なら、相応の処罰を下します!」
説得を試みるも男は聞く耳持たず、行く手を阻む二人を排除しようと突撃してくる。二人は軽く息をつくと、応戦するために武器を構えた。しかし次の瞬間――。
「確保」
「!? なっ……何がっ」
「…アール!」
気付けば、容疑者の男は地に伏していた。そして、逃げられないよう後ろ手に拘束したうえで、男が所持していた凶器を弾き飛ばす人物。先程の通信で伝えられた増援が到着し、エレンとシェリーの間に立っている。涼しい顔で容疑者を押さえつけながら、「怪我は無いか?」と二人に訊く余裕を見せる黒髪の青年。これで、一件落着かと思いきや、男が拘束されながらも抵抗を見せ、再度逃走を謀った。
「…まだ動けたのか」
「離せぇっ!!」
「…司令官、容疑者が再び逃走。先程の抵抗の感じからして、おそらくブローカーと思われます…許可を」
『わかりました。容疑者の『意識遮断』を許可します。一度で仕留めて、速やかに連行してください』
「了解」
通信越しの号令と共に、青年は瞬発的に動いていた。目にも止まらぬ速度で一気に間合いを詰め、光で形作った剣で男の体を躊躇することなく貫いた。そのまま男は倒れたが、確実に剣で貫かれたにもかかわらず、その体には傷一つ付いていない。
そしてこの日も、「ガーデン」の一員たちが、忙しなく任務に駆り出されていた。
「こちらシェリー! 件の『魔珠』窃盗犯と思しき人物が、ロータスエリアへ向かって逃走中!」
「同じくこちらエレン。シェリーと共に容疑者を追跡中。コスモスエリアから北東の方角に、街中を移動しています」
『了解。追って増援を向かわせます。引き続き追跡をお願い。無茶はしないように!』
「「了解!」」
二人の女性が、「大花盤」と呼ばれるネオンに輝く円盤に乗って、一人の男を追いかける。途中、通信も交えてその速度を上げていった。しばらくすると、拓けた街の郊外へ飛び出した。
「エレン、私が前に出るわ。後方と右側をお願い!」
「オーケー、シェリーも気をつけて!」
「了ー解っ! いくわよ!」
威勢のいい号令により、赤桃色の髪の女性が、一気に男の前方へ躍り出る。行く手を遮られたことにより、男の足が止まり、すぐさま方向転換して再び逃走を試みるが、後ろには淡い金髪の女性がそれを阻止している。完全に男の動きが止まり、いよいよ身柄を確保できる、と思ったその時。男の手には、小刀ほどの鋭利な凶器が握られていた。
「…ある程度予想はしていたけど、随分と物騒なものを持ち歩いていたわね、あなた」
「そこをどけ! 早くこれを持って行かなきゃならないんだよ!!」
「へえ~? 一体どこに持って行くのかしら?」
「『魔珠』はそれぞれ、自らが決めた場所に自生していなければならないの。それはあなたも知っているでしょう?」
「うるせえ!!」
「っ! ダメだわ話にならない…! そちらがその気なら、相応の処罰を下します!」
説得を試みるも男は聞く耳持たず、行く手を阻む二人を排除しようと突撃してくる。二人は軽く息をつくと、応戦するために武器を構えた。しかし次の瞬間――。
「確保」
「!? なっ……何がっ」
「…アール!」
気付けば、容疑者の男は地に伏していた。そして、逃げられないよう後ろ手に拘束したうえで、男が所持していた凶器を弾き飛ばす人物。先程の通信で伝えられた増援が到着し、エレンとシェリーの間に立っている。涼しい顔で容疑者を押さえつけながら、「怪我は無いか?」と二人に訊く余裕を見せる黒髪の青年。これで、一件落着かと思いきや、男が拘束されながらも抵抗を見せ、再度逃走を謀った。
「…まだ動けたのか」
「離せぇっ!!」
「…司令官、容疑者が再び逃走。先程の抵抗の感じからして、おそらくブローカーと思われます…許可を」
『わかりました。容疑者の『意識遮断』を許可します。一度で仕留めて、速やかに連行してください』
「了解」
通信越しの号令と共に、青年は瞬発的に動いていた。目にも止まらぬ速度で一気に間合いを詰め、光で形作った剣で男の体を躊躇することなく貫いた。そのまま男は倒れたが、確実に剣で貫かれたにもかかわらず、その体には傷一つ付いていない。
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