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明かされない青年の正体
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「…と、いう訳なんだ…信じてもらえないかもしれないけど…」
「いっ…いえ、そんなことは…! 確かに、最初驚きましたけど…」
「うん、突然こんな話をしてごめん…でも、ここで話しておかないと、今後機会が無いかもしれないから…」
「あの……えーっと…」
「ん?」
「私たちは、今後も"フィーズ"さんと呼んで接してもよろしいのでしょうか…?」
突然背筋を伸ばして真剣に訊いてきたラテュルに、フィーズは軽く驚いたが、すぐに冗談ぽく笑った。
「ははっそのことか! 大丈夫、大丈夫! むしろそうしてくれるとありがたいよ!」
「そ、そうですか…? 失礼では…?」
「全っ然! 今じゃ正体を隠している身だからね。 さっきまでと同じように、普通に接してくれていいよ」
「そ、そうですか…では、お言葉に甘えて」
ラテュルも、にっこりと笑顔で返す。それを見たフィーズも、満足そうに笑った…のも束の間。彼の背後で、殺気に近いオーラが感じられ、フィーズは恐る恐る振り向く。
そこには、剣を片手に彼を見下すように見つめるリディルが立っていた。
「…何であんたがこの部屋でラテュルと一緒にいるのかしら?」
「りっ…リディル!?」
「リディル落ち着いて。私は何もされてないわ。ただお話していただけよ」
「…話?」
「そうよ。明日から、フィーズさんはどうするのかって」
「そうそう! そういうこと…うおっと!」
「今ラテュルに訊いてるの。あんたは黙ってて」
「…はい…」
フィーズが話に入り込むと、リディルはすかさず彼に短剣を向けた。その威圧感に、フィーズも思わずたじろぐ。
「…それで?」
「それでね、フィーズさんが、さっきのお礼も兼ねて、私たちの旅に同行してくれるってことになったわ」
「だからお礼をされるようなことはしてないって…」
「そうかもしれないけど!…それに女の子二人で旅してるって、この先何があるかわからないだろ…さっきの盗賊団は比較的人数が少なかったから良かったけど、国内だけでもあれより大規模で凶暴な奴らだっているんだ。せめて情報屋として見てきたことは、旅の中で全て役に立つはずだ」
先ほどまで、短剣を向けられただけで慌てふためいていたフィーズだが、リディルになんとか弁明しようと、真剣な眼差しで話していた。そんな彼を見て、リディルも武器を出さず、表情一つ変えずに話を聞いた。
「…あ…ごめん、急に出しゃばって…嫌なら嫌で俺は」
「…わかったわ」
「へ?」
「あんたがラテュルに何もしていないのもわかったし、ふざけていないことも、ちゃんとわかったわよ。ついて来てもいいけどその代わり、あんたのこと、思う存分こき使ってやるから覚悟しておきなさい」
「リディル…ありがとう」
「それじゃあフィーズさん、お疲れでしょうから、今日はもう休みましょう。明日の朝、ロビーで合流しましょう」
リディルの合意を得た二人は、安心した表情だった。フィーズも部屋に戻り、その夜は十分に体を休めた。
彼・フィーズと姉妹のこの出会いは、これが初めてではないと知るのは、また先のこと──…
「いっ…いえ、そんなことは…! 確かに、最初驚きましたけど…」
「うん、突然こんな話をしてごめん…でも、ここで話しておかないと、今後機会が無いかもしれないから…」
「あの……えーっと…」
「ん?」
「私たちは、今後も"フィーズ"さんと呼んで接してもよろしいのでしょうか…?」
突然背筋を伸ばして真剣に訊いてきたラテュルに、フィーズは軽く驚いたが、すぐに冗談ぽく笑った。
「ははっそのことか! 大丈夫、大丈夫! むしろそうしてくれるとありがたいよ!」
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「そ、そうですか…では、お言葉に甘えて」
ラテュルも、にっこりと笑顔で返す。それを見たフィーズも、満足そうに笑った…のも束の間。彼の背後で、殺気に近いオーラが感じられ、フィーズは恐る恐る振り向く。
そこには、剣を片手に彼を見下すように見つめるリディルが立っていた。
「…何であんたがこの部屋でラテュルと一緒にいるのかしら?」
「りっ…リディル!?」
「リディル落ち着いて。私は何もされてないわ。ただお話していただけよ」
「…話?」
「そうよ。明日から、フィーズさんはどうするのかって」
「そうそう! そういうこと…うおっと!」
「今ラテュルに訊いてるの。あんたは黙ってて」
「…はい…」
フィーズが話に入り込むと、リディルはすかさず彼に短剣を向けた。その威圧感に、フィーズも思わずたじろぐ。
「…それで?」
「それでね、フィーズさんが、さっきのお礼も兼ねて、私たちの旅に同行してくれるってことになったわ」
「だからお礼をされるようなことはしてないって…」
「そうかもしれないけど!…それに女の子二人で旅してるって、この先何があるかわからないだろ…さっきの盗賊団は比較的人数が少なかったから良かったけど、国内だけでもあれより大規模で凶暴な奴らだっているんだ。せめて情報屋として見てきたことは、旅の中で全て役に立つはずだ」
先ほどまで、短剣を向けられただけで慌てふためいていたフィーズだが、リディルになんとか弁明しようと、真剣な眼差しで話していた。そんな彼を見て、リディルも武器を出さず、表情一つ変えずに話を聞いた。
「…あ…ごめん、急に出しゃばって…嫌なら嫌で俺は」
「…わかったわ」
「へ?」
「あんたがラテュルに何もしていないのもわかったし、ふざけていないことも、ちゃんとわかったわよ。ついて来てもいいけどその代わり、あんたのこと、思う存分こき使ってやるから覚悟しておきなさい」
「リディル…ありがとう」
「それじゃあフィーズさん、お疲れでしょうから、今日はもう休みましょう。明日の朝、ロビーで合流しましょう」
リディルの合意を得た二人は、安心した表情だった。フィーズも部屋に戻り、その夜は十分に体を休めた。
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