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第1章 異世界確認

第6話 盗賊?

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休息所の建物に戻ってくると、思わず大きく息を吐きだしてしまう。
自分が考える以上に肉体も疲れているが、精神的にも疲れているのを感じる。

失敗モモンポーションをコップに注いで一気に飲む。少し体が温かくなると、すぐに全身の疲れが引いていく。

クセになる~。

疲れが急激に無くなっていくと、精神的にも自分が強くなったような感覚になる。
地球でも健康ドリンクで無理やり仕事をすることもあったが、それとは違う危険な薬を使ったような感じがする。

ヤバい成分や中毒症状が出たりしないよな?

少し不安になりながらも自分に洗浄《ウォッシュ》を使うと、これもシャワーを浴びたようにさっぱりとする。

これも、クセになる~!

一瞬でシャワーを浴びたような爽快感を得られ、何時でも何処でも簡単に何回もシャワーを浴びられるのは、日本人としては最高の環境ではないだろうか?

超強力健康ドリンクと何時でも洗浄《ウォッシュ》サービスなら商売になりそうだ、……日本ならそうだが、この世界ではこれが当たり前なのか……?

よく考えたらこの世界でも、当然そんなことを考える人間はいるだろうし、洗浄《ウォッシュ》は生活魔法で誰でも使えるはずだから、商売になるはずはない。

あまりにも自分の単純な発想を反省する。

それより倒したウサギを調べてみよう!


まずはストレージを開いて一覧を確認する。
『蹴りウサギ』と『角ウサギ』を解析アプリで確認すると、弱い魔物など魔物としての簡単な説明と、『肉をよく食べられている魔物』と説明が表示された。

もちろん、このまま食べられるとは思えないので解体アプリで解体する。

素晴らしいアプリを有り難うございます!

自分で創ったアプリだが、収納するときに死体を見て、自分が解体などできないと確信していたので、思わず神様に感謝してしまった。

ストレージを確認すると『蹴りウサギのXXX』と部位単位で一覧に表示されていた。

これってすべて解体されたのかなぁ?

売れる部位や食べられる部位だけ抽出して、それ以外みたいにはならないことに残念に思う。

まあそんな事は簡単にできないことぐらい、アプリを創った自分が一番よく知っている。

『蹴りウサギの肉』を解析アプリで確認すると、食用可でクセの少ない肉でよく食べられていると説明が表示された。

チョット試してみるか!

料理アプリを開き『キッチン』に入ると、先ほどのウサギ肉を出して料理を始める。とりあえずシンプルにウサギ肉の塩焼きを作ってみた。

レシピを登録してストレージから出してみる。
すぐに食べるつもりはなかったが、焼きあがった肉を見て思わず唾を飲み込んだ。

この世界では、果物だけしか食べていなかったなぁ。

「え~い、取り敢えず食べてみよう!」

声に出してそういうと肉にかぶりついた。

「おぉーー、鶏肉のような食感だけど豚肉みたいに旨味が噛むと出てくる。解析の説明通りクセもなく食べやすい!」

何故か食レポしながら、あっと言う間に完食してしまう。

またキッチンに入り、先ほどのウサギ肉を出し、今度は後ろ脚の部分を切って今度はオーブンで焼いてみる。

出来上がるとレシピを登録してストレージから出してみる。

ウサギのモモ肉のオーブン焼きだ!

さすがにこの大きさだと、すぐ食べるのは止めて後で食べようと考えてストレージに収納する。

レシピでウサギ肉の塩焼きを幾つか作ると、ひとつ出してまた食べる。

お腹も満たされてひと息つく。時間を確認すると14時を過ぎたところだ。
もっと時間が経っているかと思ったが、朝早くから活動していたので不思議ではない。

不安はあるが、明日は朝から移動しよう!

その為に何が必要か考えようとしたのだが、

あれっ、これって人なのか!?

マップには、自分のすぐ近くに人を示す黄色い丸が二つある。
それはちょうど自分の真後ろにで、距離は2メルも離れていなかった。

休憩所の外?

自分の後ろには壁があり、その壁の向こう側は建物の外になるはずだ。

いつの間に?

確かに気が付くのに遅れたが、昨日も今日の朝も人などいなかった。

普通の旅人なら休憩所に普通に入れば良いはずだし、建物の裏に隠れるようにいるのは不自然だ。

心臓がバクバクとして、急に不安になる。

普通ではない。何かしら理由があり隠れていると考えて間違いないだろう。

わ、私を襲撃するのか!?

神々に聞いた文明レベルだと、盗賊などの犯罪者がいても不思議ではない。

に、逃げられるのか?

身体強化はあるし逃げる練習はした。しかし、この世界の一般的な運動能力がどれくらいなのか確認していないので、本当に逃げられるのか不安もある。

それに加え半日で人里に行けると、あの駄女神が神託で教えてくれたが、半日って正確にはどれくらいなの?
今から向かって無事にたどり着ける?
途中で魔物に襲われたりしない?

考えれば考えるほど逃げるのは心配なことが多い。

それなら戦うのか?

人と戦闘になるなど想定していない!
人と戦闘などできそうもない!
人を傷つける? 怪我させる?
『魔弾』で攻撃する!?

戦闘するといった選択肢は無いな。

あれっ、もしかして盗賊じゃなかったら?

私と同じように警戒して様子を窺っていることも考えられる。


そして出した結論は、遠くから様子を窺って危険そうなら逃走する。
ポーションを飲みながら全力で走れば、逃げ切れる可能性はあると思うし、明るいうちに人里に着くこともできると考えた。
もちろん自分が危険になれば、相手を攻撃することも考えた。

ヘタレで結構! 正当防衛! 逃走優先! 正当防衛!

必死に自分に言い聞かせながら、マップで相手の様子を窺いながら建物の出入り口から外に出る。

ゆっくりと道を左に進むのだが、視線はマップから離さない。

マップで相手を確認できる限界まで進むと、道を外れて建物の裏が見えるように進んで行く。

何とか建物が見える位置まで進むと、マップで相手が移動していないことを確認してから、ゆっくりと建物の裏をのぞき込む。

@&%$!!!

何故か相手と目が合ってしまった。
それも怒りに籠ったギラギラとした目に、思わず叫びそうになるのを何とか堪えたが、視線をすぐに逸らしてしまった。

逃げたいけど足がガクガクして力が入らない。
焦りながらもマップで確認すると、相手は動いた気配はない。少しホッとしながらも、どうすべきか考える。

目は恐ろしかったが、襲ってくる感じではない………たぶん。

もう一度だけ確認しよう!

大きく息を吸い、吸い込んだ空気を一気に吐き出して、気合を入れ直す。

念のためマップで相手が動いていないことを確認すると、ゆっくりと相手のほうを見る。

やはり相手もこちらを見ている!

思わず手が震えるが、必死に相手の様子を観察する。

ええっ、ケモミミ!?

なんと頭にケモミミのある灰茶色の獣人がそこにいた。

良く見るとその獣人は10歳ぐらいの子供のように見える。そして、さらに小さい獣人を抱えて座り込んでいるように見える。

しかし、しっかりと私の事を威嚇するように睨んでいる。

私が何かしましたか?

恐ろしいほど私の事を睨んでくるので、私が何かしたのか不安になる。

獣人の成長は?
言葉は通じるの?
種族的な争いとかあるのかな?
何でそこまで怒っているの?

次々と疑問が湧いてくるが、当然誰も答えてくれない。

もっと神々に聞いておくべきだった~!
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