スマートシステムで異世界革命

小川悟

文字の大きさ
21 / 224
第2章 エルマイスター領

第3話 ポーション職人

「それで、なんの話をしておったのじゃ?」

「レベッカ様がアタル様にアリスお嬢様の婚約をお願いしておりました」

ハロルド様の質問にセバスさんが答えた。

「なんじゃと、アリスに結婚はまだ早い! それに歳が随分と離れておるではないか? まだ知り合ったばかりの男にアリスを嫁になんかできるはずなかろう。母親のお前がそんなことを言うとは何事じゃ!」

ハロルド様は意外としっかりとした考えをしているじゃあ~りませんかぁ。

「お義父様、まだ知り合ったばかりの男にクレアを嫁にしようとしたのは、どちらのお方でしょうか?」

うん、確かにそれは言える。

「なっ、ダメじゃ、ダメじゃ。アリスはずっと儂と暮らすんじゃ。嫁には絶対ださん!」

ただの爺馬鹿だった。

「ちょ、ちょっと待って下さい。なんでそんな簡単に、部下や娘を得体の知れない男の嫁に薦めるのですか?
この国や領の事は良く知りません。それでも私の常識では異常ことだと思いますが、これが普通の事なのでしょうか?」

「「あっ」」

ハロルド様はバツの悪そうな表情をして、レベッカ夫人は恥ずかしそうに顔を赤くしている。

セバスさんがまた笑いを堪えている。

ハロルド様とレベッカ夫人はお互いに顔を見た後、私のほうに向き直ってハロルド様が話をする。

「すまなかったのぅ。アタルのいうとおりじゃ、会って直ぐにクレアを嫁に薦めたり、レベッカがアリスを薦めたりするのは非常識なことじゃな」

ハロルド様そこでお茶をひと口飲んで話を続ける。

「しかしじゃ、アタルの存在がまず非常識なんじゃ!」

「えっ、それは、どういう事でしょうか?」

「あれほどの量のポーションを、当たり前のように他人に提供するのは、間違いなく非常識な行為じゃ」

そうなんか~い!

何となく気付いていたけど、やはりポーションは自分が考える以上にこの世界では貴重なのかな。

「あれほどの質のポーションを自分で作ったというアタルは、間違いなく非常識な存在じゃ」

………。

聞いてないよぉ~。

「確かに儂は領主として、アタルのポーションを作る能力が欲しいと思ったのは事実じゃ。しかし、休息所で話したとおり、クレアと結婚するのにふさわしい男と思ったのも本当の事じゃ。無理強いをするつもりは絶対にないし、命の恩人であるアタルを困らせるつもりも絶対にない。
だから、クレアの事は真剣に考えてくれないか?
あと、レベッカが何と言ったかは知らぬが、アリスに手を出したら命の保証はできぬぞ!」

色々あり過ぎて分かり辛いが、クレアさんの事は真面目にお願いするけど、爺馬鹿だからアリスに手を出すなってことかぁ。

「私も少し焦って変なことをお願いしたようね。私が領政を実質的に管理しているから、ダンジョンの事とか辺境で危険な事とか考えると、どうしてもアタルさんのことが欲しかったのよ」

私を欲しかった……!

惚れてまうやろぉ! 違う、違う!

「でも、娘やシャルちゃんとミュウちゃんの話を聞いて、変な貴族に嫁に出すぐらいなら、アタルさんと結婚したほうが幸せになれると思ったのよ。
お義父様も嫁に出すなら、遠くの貴族より身近なポーション職人のほうが良いんじゃないかしら?」

えっ、私ってポーション職人なの?

「いや、しかし、……まだアリスには早い!」

爺馬鹿は健在だ!

「あ、あの~、私としてもアリスお嬢様はさすがに幼過ぎるかと……。それに嫁捜しをしていると言っても、そこまで焦っている訳でもありませんし、利害関係ではなく愛情で結ばれたいかなぁ~と…」

何故か全員が苦笑している!?

「あらあら、アタルさんは純粋なのねぇ。でも結婚は現実よぉ。生活ができなければ愛情なんてきれいごとだし、嫁が何人も増えれば大変よぉ。ふふふっ」

な、なんか怖いっ!

免疫の少ない自分にはまだ早すぎるのか?

それに、……嫁が何人も!?

ハーレムやぁーーー!

そんなの28歳童貞にはミッションインポッシブルやぁ。

「まあ、アタルも少しずつ学んだほうが良いのぅ。女は、」

「お義父様ぁ、女は何でしょうか?」

「い、いや、何でもない。それよりセバス、頼んでいた物は用意してあるか?」

ハロルド様も女性には弱い?

「もちろんで御座います。こちらに」

セバスさんはお盆のようなものを差し出した。その上には三つの布袋が置かれていて、ハロルド様はそれを手に取るとテーブルの上に置いた。

「アタルが提供してくれたポーションの代金じゃ、金貨で150枚を用意させてもらった」

そんなにも貰えるの?

しかし、レベッカ夫人の話でポーションが1本金貨3枚だとすると、多すぎるわけではなさそうだ。

でも、……ぼったくり感が……。

その辺に生えている葉っぱで、スマートシステムで作ると驚くほど簡単にポーションができるし……。

どうしようかと考えていると、ハロルド様が追加で説明してくれる。

「普段は教会から、ポーションは1本あたり金貨3枚で購入しておる。提供してもらったポーションは2、30本分ぐらい、もしくはそれ以上だったと思う。それに効果も普段使うポーションより高いと感じたので、1本金貨5枚で計算させてもらった。もし不満ならあと50枚ほど用意させよう」

さすがに追加は……。

「不満というよりも、私が自分で作成したポーションですので多すぎると思ったのです。しかしハロルド様のお気持ちも理解できるので50枚だけ頂けますでしょうか?
残りはできましたら亡くなった人のご遺族にでも差し上げてください」

ハロルド様も少し考えて答える。

「わかった、100枚は遺族に追加で渡そう。そういえば遺体も預かってもらっていたのぅ。
…では明日の朝食を済ませてから兵舎に持って行ってもらおうと思う。アタルには申し訳ないが明日頼めるか?」

「わかりましたそれでお願いします。あと討伐した魔物はどうしましょうか?」

「それはアタルの好きにしてもらって構わん。あの状況では道の外に捨てるくらいしか普通はできまい。片付けずにすんで助かったぐらいじゃ。もし希望するなら領で買い取ってもかまわん」

魔物の素材についても検証してみたいなぁ。

「……魔物については少し検討させてください」

「ゆっくりと検討してくれて構わん。ただ時間を掛けすぎると腐るから早めにな。」

収納スキルは腐るのかと思い、ストレージは状態保存で腐らないが、逆にそのことが問題になりそうだと心配になる。

「それと少し聞きたいことがあるのですが?」

もう少しこの世界と言うか、常識的な事も含めて色々聞いてみたい。

「なんじゃ、なんでも遠慮なく聞いてくれ」

ではポーションの事を教えて欲しい。

いつの間にかポーション職人と認定されて、アタルはそう考えるのだった。
感想 156

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

転生少年は、魔道具で貧乏領地を発展させたい~アイボウと『ジョウカ魔法』で恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 男(30歳)は、仕事中に命を落とし異世界へ転生する。  捨て子となった男は男爵親子に拾われ、養子として迎えられることになった。  前世で可愛がっていた甥のような兄と、命を救ってくれた父のため、幼い弟は立ち上がる。  魔道具で、僕が領地を発展させる!  これは、家族と領地のために頑張る男(児)の物語。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。