スマートシステムで異世界革命

小川悟

文字の大きさ
46 / 224
第3章 大賢者の遺産

第14話 魅了スキルでしょ!

しおりを挟む
今朝もメイドさんに体を揺すられて目を覚ます。

起こしてくれたメイドさんを見ると、例のメイドさんだった。彼女の起こし方が優しくて自然に目が覚める感じで大好きだ。

朝の日課《ルーティン》をしながら、昨日の夜の事を思い返す。

昨日は無事に屋敷に戻って来れたが、夕食にハロルド様とレベッカ夫人は同席しなかった。セバスさんは疲れて早めに寝たと言っていたが、何故かセバスさんの息が酒臭かったのを不思議に思っていた。

真面目なセバスさんが早い時間からお酒を?

もしかしたらハロルド様とレベッカ夫人も、セバスさんと一緒に酒でも飲んだから早く寝たのではないかと考える。

私の愚痴とかで酒盛りをしたとかではないよね?

不安に感じていると、メイドさんが朝食に呼びに来たので食堂に行く。
いつものメンバーで朝食を食べているが、ハロルド様とレベッカ夫人明らかに二日酔いの雰囲気だ。

スマートシステムのキッチンを使って、失敗モモンポーションを薄めて水筒に入れると、セバスさんハロルド様とレベッカ夫人に飲ますように言い水筒を渡す。

すぐにセバスさんが、新しいカップに失敗モモンポーションを入れて持ってきた。何となくセバスさんの体調も良くなった気がする。

毒味の確認でもしたのかな?

出された失敗モモンポーションの入ったカップを見て、二人は不思議そうな顔をしたが、セバスさんが頷くと、二人は一口飲み驚いた顔になり、残りを一気に飲み干した。

明らかに体調が良くなった二人は、私の方を嬉しそうに見てくるのだった。


食事が終わりお茶を飲みながら、ハロルド様にお願いをする。

「孤児院の子供たちを正式に雇い入れたいと思っているのですが、手続きはどうすれば良いですか?」

この質問にハロルド様が不思議そうに尋ねてくる。

「住む所はどうする? 大賢者の屋敷はまだ人が住めないのじゃろう?」

「待機所の2階に一時的に住ませる予定です」

「「待機所?」」

二人には待機所と言ってもピンとこないようだ。クレアさんから多少の報告はされていると思うが「待機所」と報告されていないのであろう。

「壁の中で作業するときに、護衛の人達が休憩できる部屋があると良いと思いまして、今の入口の辺りに小屋と言うか家を建てまして、その2階を住めるようにしました」

二人はお互いに顔を見合わせている。

あれ、全く報告されていない?

一昨日戻って来てから、クレアさんはハロルド様に報告をしていたはずである。

「そうだよ、あっと言う間に建っていたよ。それに入口はミュウが目印なんだよ!」

ミュウが嬉しそうに答えると、シャルがミュウにあの目印は私だと言っている。

「そう言えば聞いていた気もするのぅ。アタルの事は色々あり過ぎて、頭が追い付いていないようじゃ」

「そうですわねぇ」

ハロルド様とレベッカ夫人が、納得?してくれたようだが、何故かまた疲れた顔をしている。

「今日は儂も一緒に行く予定じゃったから、その時に確認させて貰うとしよう」

「私も一緒に行って確認しますわ。問題ないようなら孤児院に話にいきます」

何故だろう?

話が早くて助かるが、二人がまるで仕方が無いといった諦めの雰囲気なんだ。


   ◇   ◇   ◇   ◇


元々、ハロルド様は一緒に行く予定だったので、すでに馬車の準備が出来ていたので、すぐに移動を始めた。

なんで私には6人も護衛が居て、ハロルド様とレベッカ夫人はそれぞれ二人しかついていないんだよ。

くだらない事に不満を感じていると、すぐに壁の入口に到着する。

カルアさんと護衛2名、それにシャルとミュウも一緒に水筒を持って孤児たちの所に向かう。それを見送ると、クレアさんに扉を開けて貰う。

ハロルド様とレベッカ夫人は興味津々で扉を確認している。

「これは簡単に作れるのか?」
「どこでこんな技術を?」

ハロルド様とレベッカ夫人が連続で質問してくる。

「う~ん、難しくはないですね。この技術は大賢者の屋敷の結界の鍵を参考にさせて貰いました」

「アタルの難しくないは、信じられんからのぅ」
「簡単に大賢者の技術を参考に……」

うん、何も聞こえナーーーイ!

「二人が出入りできるように登録しておきますね」

二人の魔力紋を登録して試してもらう。

「これなら鍵を無くす心配はないのぅ」
「この技術は色々と使えそうね」

扉だけでこんなに時間が掛かっては何もできなくなる。

「レベッカ夫人は建物の中を確認してください。ハロルド様はクレアさんと魔力の件の確認をされては?」

「そうじゃった。クレア行くぞ!」

ハロルド様は待機所の中を通り抜け、奥の扉から出て行く。私の護衛とハロルド様の護衛もついて行き、人数が減ってホッとする。

「あなた達も行って良いわよ」

レベッカ夫人は自分の護衛二人にも気軽に進める。護衛の二人がどうしようかお互いに顔を見合わす。

そ、それはダメだーーー!

レベッカ夫人の護衛まで行ってしまったら、レベッカ夫人と二人っきりになるのは困る!

「レベッカ夫人、護衛が護衛対象を置いて離れられる訳ないじゃないですかぁ」

微妙に護衛に牽制を入れる。護衛の人は少し残念そうにしたが諦めてくれた気がする。

「あら、この中には他の人間は入れないし、この区画に入ろうとする人などいないから護衛は要らないはずよ」

そう言う話じゃナーーーイ!

人妻が簡単に男と二人っきりになるのは良くないのぉ。
ただでさえ一緒にいると良い匂いがしてきて大変なのに、2階の寝室に案内して、

「このベッド柔らかくて良いわね」

「ええ、柔らかくて、寝ると体を包むような感じで最高です」

「あら、なら寝てみましょうか」

ベッドに寝転がるレベッカ夫人。

「本当に最高ね。でも、……二人で寝た感じを確認したいから、アタルさんここに一緒に寝てくれるかしら?」

「はい、喜んで確認のお手伝いを、」

ちがーーーーーーーーーーう!

な、なんだ、変な妄想が勝手に!

やはり魅了スキルだよね! そうだよね!

「レベッカ様、それでも護衛が離れる理由にはなりません」

年配の護衛がそう言ってくれた。もう一人は残念そうな顔をしている。

「そう、なら仕方ないわね」

レベッカ夫人は、どうでも良いのか簡単に話を撤回する。

レベッカ夫人の周辺にいる人は大変だなぁと思う。
本人に悪気は無いのだろうが、周りは勝手に誤解したり期待したりして、振り回されているのではないだろうか?

年配の護衛はすぐにそれに気が付いて対処して、もう一人は少し若いから振り回されてしまったのだろう。

見た目も魅力的で、いや、非常に魅力的でありながら周りを振り回す。悪気もないし、相手の事を考えた結果であるから文句も言えない。

小悪魔的な行動とサキュバス的な容姿で、純粋で知的なやさしさもった女性。

惚れてまうやろぅーーーーー!

気が付くと、レベッカ夫人と護衛が二階に上がって行くところだった。

カウンター横に置いてある椅子に座り溜息を付く。

まだ朝なのに疲れたぁ。

カップをストレージから出して失敗アプルポーションを入れて飲む。精神的な疲れだったが、飲むと何となくスッキリして元気になった気がする。

あっ、そうだ、昨日作った物を設置しよう。

立ち上がると部屋の壁際まで移動するとストレージから昨晩作った物を設置する。

取り出したのは、全体が木製で上に樽がのった形のウォーターサーバーである。地球の会社では当然のように設置されていた物である。

その横に樽を3個程重ねて置き、反対には専用の棚を設置する。

樽には状態保存の効果を付与してある。
中にはミント風味のポーションを薄めて入れてあり、孤児たちにいつも渡している水筒の元気の出る飲み物と同じようなものだ。地球のウォーターサーバーのように簡単に飲めて、水筒にも補給できるようになっている。

横の棚には下の二つの扉を開けると水筒が入っている。
自動洗浄の効果が中に付与されているので、使った水筒を入れておけば綺麗になるはずだ。

上の二つの扉の中にはカップが入っていて、同じように自動洗浄の効果が付与されているので、いつでも綺麗なカップで飲むことが出来るだろう。

カップを一つ出して設置して、コックを手前に倒すと想定した通りに、カップにミントポーションが入る。適当な量が入ったところでコックを元に戻して止める。

カップのミントポーションを飲むと、スッキリとした味わいで飲みやすく、体の疲れが取れる気がする。

このミントポーションはポーションと言うには効果が低すぎるし、怪我を治す感じではない。だから『ミント健康ドリンク』と呼ぶことにしよう。

ニヤニヤとウォーターサーバーの出来栄えと、『ミント健康ドリンク』の命名に一人で喜んでいると、2階からレベッカ夫人が駆け降りて来て、私の方に向かってくる。

なんか見たことのある光景だ!

レベッカ夫人は掴みかかるように私に近づくと訊いてくる。

「あのトイレは屋敷にも設置できる? ベッドのマットは屋敷のベッドのサイズでも作れる?」

昨日のクレアさんやシアとはまるっきり違うよぉ。

む、胸が当たってますぅ~。

私はレベッカ夫人の魅了スキル?に負けて、取り敢えず近日中に一つずつ納品する約束をしてしまった。

「あら、これはなに?」

ウォーターサーバーに気が付いて訊いてきたので、腰を引きながら説明をする。

護衛の二人は気の毒そうに私の事を見ていたので、経験があるのか同じ様な事を見たことがあるのだろう。

「これもお願いするわ。朝飲んだのとは味が違うけど、効果は同じなのよね?」

私が頷いて答えると、嬉しそうに微笑んだレベッカ夫人を見て、魅了スキルは本当に存在していると思うのであった。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...