スマートシステムで異世界革命

小川悟

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第4章 ダンジョン

第6話 準備と生産

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それから暫くはダンジョンに行く準備と、溜まっていた作業の仕上げに日々過ごした。

お休みが終わると、素材集めを優先して進めた。
スライム溶液と木材を採取しに、毎日のようにスライム養殖場(仮名称)に行き、スライム溶液の採取をする。

移動中には木材の採取をしながら進み。毎日少しずつルートをずらすことで、綺麗に木の間引きが進んだ事で魔物の数も減り、見通しも良くなったことで、騎士団や冒険者にも喜ばれているようだ。

川沿いや森の中でも大きな岩があると、手当たり次第ストレージに収納していく。この事も評判が良いようで、魔物の不意打ちで怪我をすることが少なくなったと、予想外の評価を受けることになった。

素材が集まったことで、様々な生産活動が進むことになった。

時間がある時には地下の魔力スポットで大量生産を続けることで、兵舎と孤児院のベッドや布団、制服や下着、子供たちの服など、生活に必要な物を数日で完成させたのであった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


これまでは新規開発は深夜にしてきたが、夫婦の大切な時間でもあるので、開発時間が足りな過ぎた。

仕方が無いので、血涙を流して夫婦の時間を減らし、その代わりに魔エッチを2回するようにした。
私も妻たちも少しずつ魔エッチに慣れて来たのか、1回目は気を失わないで済むようになり、ポーションで回復して2回目の魔エッチも出来るようになったのである。

大賢者の資料は、普段から食事中や採取、移動中にスマートシステムを使って調べ、必要な内容を整理して、夜には新規開発だけに集中するのだった。

ギルドカードは予想以上に簡単に作成できた。
既に自分のステータスを鑑定するギルドカードもどきを作っていたので、大賢者の資料を調べると、現在のギルドカードの作成方法が見つかり、それ以上の物を作成できたのである。

驚いたのは銀行システムであった。
銀行システムを大賢者が完成させていたのだが、お金の収納先が予想外であった。

大賢者は亜空間が存在している事を見つけ、その座標を特定することで物の出し入れができることを発見していたのだ。

ダンジョンで発見されたアイテム鞄を解析したことで、亜空間の特定方法や未使用の亜空間の調査方法が詳細に記されていたのである。

大賢者が発見した特大の亜空間を魔道具で共有し、お金を出し入れできる魔道具を大賢者が作って各ギルドに配布したのがギルドと銀行システムの始まりのようだ。

実は冒険者ギルドや商業ギルド、教会にもその魔道具は設置されており、それぞれのギルドカードに対応した魔道具だから、組織間でお金のやり取りは出来ないが、資料から実は同じ亜空間にお金はしまわれているのがわかった。

大賢者はセキュリティが甘いのか、亜空間が資料から特定できたので、幾らでもお金が盗めるようであった。

さらに死亡した人間などの対策が無いために、持ち主のいない資金が大量に含まれているのが分かった。

これって横領を好きに出来て、誰にも発覚しない!

大賢者の作った魔道具は、異様に魔道具が大きくなり、魔力効率も悪く、魔力の充填や魔石が必要になりそうだった。

私は新たな特大亜空間を複数みつけ、公的ギルド用のギルドカードを作り、公園のようにしていた大賢者区画の一画に、公的ギルドの建物を用意して、ギルドカードの発行と、ATMのような魔道具を設置した。

ATM魔道具は公的ギルドカードだけでなく、すべてのギルドの入出金やギルド間移動も出来るようにした。

公的ギルドカードは一般カードとプレミアムカードなど複数の種類のギルドカードを選択して発行できるようにした。

形状も地球の銀行カードのような物が基本的に一般カードで、平民や役人、騎士や貴族などの階級により色を変え、プレミアムカードの発行は有償にして様々な機能を使えるようにした。

ギルドカードにはやはり名前や年齢、種族や所属が表示されるようにして、所有者は更に詳しいステータスやスキルが見えるようにする。

ギルドカード発行前にステータス情報の大切さや、差別の禁止、ステータスを気軽に質問したり、答えたりしないように講習が必須だなぁ。

ギルドカードの素材は、一般カードについてはスライム溶液と魔法溶液で作成するので、スライム溶液と魔石が必要になるが、これはダンジョンのあるこのエルマイスター領ではそれほど問題は無い。

形もカード型とペンダントタグ型にした。ペンダントタグは厚みが増すが、失くす心配が減るので喜ばれるだろう。

そしてギルドカードは本人が所持していれば、魔力紋を照合してICチップのように遠隔で本人認証が出来るようにした。

これによりタグを出さなくても、ATMの利用や施設などの出入りのチェックも出来るようになった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


完成した公的ギルドカードと、本人確認用の魔道具を持ってハロルド様に見せると、遠い目をして呟いたのが印象的だった。

「世界がかわるのぉ……」

さらにその場で兵舎の食堂でも利用している、商品販売のシステムをハロルド様達に渡した指輪で使えるようにすると、更に驚いた顔をされてしまった。

商品販売システムは公的ギルドのサービスとして作ったのだが、専用魔道具で商品と価格を登録しておけば、専用窓口の魔道具で購入できるようにしてあるのだ。

ハロルド様達は指輪を使えば、通販のように購入と支払ができ、商品は亜空間から指輪の収納に移すことが出来るようにしたのだ。

「絶対に世界が変わりますねぇ……」

セバスさんも呟いてしまう。

レベッカ夫人だけは、商品を見て急いでお金を持ってくるようにメイドに指示していた。

「これでポーションの納品も私が来る必要はありませんし、健康ドリンクの納品も必要ないですよね?」

「アタルさん! この下着の価格の違いは何かしら? 見た目が同じなのに価格が全く違うわ」

ふう、レベッカ夫人は相変わらずだ。

「それは商品説明をお読みください。素材や付与効果で価格が全く違います」

「あら、本当に全く違うわ。随分高くなった気がするけど、それはなぜかしら?」

レベッカ夫人は探るように質問してくる。

「価格をエマやメアベルに決めて貰いました。私の価格は安すぎだそうです。
それに、公的ギルドの運営費に5分、領の税金として2割5分の合計3割を価格に足してあります。
これまでは税金や手数料を含めていませんでしたが、これからはその辺は明確にしていこうと思いまして」

「ふむ、それは必要じゃな。しかし、徴収した税金はいつ貰えるのじゃ?」

「それは即時にエルマイスター家の口座に入金されます。あぁ、あとでハロルド様の登録もお願いします。そうしないとお金の出し入れが出来ませんので。それに他に管理される人が居れば登録してください」

「そうかぁ~、益々現実離れしてくるのぉ」

微妙にディスられている気がする……。

「アタルさん、このマットの堅さは説明では分からないわ。下着の着心地も確認したいのよ。何とかならないかしら?」

「そうですねぇ。マットは見本を公的ギルドに置いて確認できるようにしましょうか。下着と言うか布類も見本を置いて、触れられると肌触りは分かりますから良いかもしれません。
試着までは難しいですが、サイズを測れるような場所も用意したほうが……」

私は利用者の生の声が聞けて、非常に参考になる。

しかし、ハロルド様とセバスさんは、レベッカ夫人に呆れているようだ。

更に詳しく説明したたり、資料やマニュアルを提示して、当面は住民の登録以外を進めることになるのだった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


10日ほど過ぎると、既に兵舎には女性兵士が引っ越してきて、孤児院も引っ越しが終わったのである。

これから男性兵士の登録や訓練、役人やエルマイスター家の使用人の登録も始まるのだ。

私はダンジョン調査の準備もでき、明日から最大で10日間、ダンジョンに行くことになってしまった。

正直怖くて、防具系の装備や魔道具だけでなく、攻撃系の装備や魔道具も色々作っていた。

その晩は怖くて仕方が無く、暫く会えなくなるラナに甘えるように営みが始まると、ラナはそっち系が好きだったのか、積極的にいつも以上に盛り上がるのだった。
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