スマートシステムで異世界革命

小川悟

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第4章 ダンジョン

第11話 地上に帰還

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地元出身の冒険者たちが戻って行くと、クレア班が見張りになり、カルア班とブリッサ班はテントの中に入って行った。

私も自分のテントの中に入ると、銃弾の改良を含め様々な作業を始めた。

ダンジョンは漂う魔力が地上より明らかに濃くなっていた。
ダンジョンの近くも魔力が濃くなっていたが、ダンジョン内はそれ以上に濃くなっていた。それも階層を進むと濃くなっていくのである。

魔力酔いになる程ではないが、このまま濃くなり続けると魔力酔いの危険はある。

徐々に魔力が濃くなるので、もしかしたら体が少しずつ慣れるのかもしれないし、魔力酔いになる程の階層に進めるのは、それなりに能力の高い者だから、意外に大丈夫なのかもしれないと考える。

それに魔力が濃い環境で戦闘すれば、能力の上昇も高いのかもしれないなぁ。

作業を続けながらそんな事を考えていると、クレアがテントに入って来た。

「まだ起きていたのですね。見張りの交代をしたので様子だけ見に来ました」

クレアがちょうど来たので、考えたことを話してみる。

「確かにそれは言えますね。よく考えてみると、『ダンジョンの恩恵』と言われる魔力回復が早くなるとか、能力の上昇が高くなるとか言われていたのは、全て魔力が濃いからだと今なら理解できます」

『ダンジョンの恩恵』という言葉があるとは知らなかったが、確かに魔力濃度の効果だと知らなければ、ダンジョン特有の現象と考えても不思議ではない。

「検証してみないと分かりませんが、天然の訓練施設のようなものですかね?」

「それは言えるのかもしれません。冒険者は兵士などよりも能力が高いと言われることも多いですね。それに兵士もダンジョンで訓練するのは普通の事です」

確かに魔物が沢山いて経験値も稼げるし、訓練施設としても申し分ないだろう。

「それと戻ることになってごめんね」

「いえ、旦那様の話は納得できますので問題はありません」

「実は少し戻って検証をしたいと考えたのもあるんだよ。少し急ぎ過ぎたと思ったし、魔道具の検証が全然していないのは危険だと考えてね。テントもどれほど有効なのか確認したいけど、最初は弱い魔物で検証したほうが良いと思ってね」

「……確かにそうです。深い階層では危険も多いし、まだテントの細かい使い方も分かっていません」

確かにそうかぁ~。

ダンジョンの外に作った兵舎も、大賢者区画の兵舎と同じで問題ないかと思ったけど、それはたぶん最初の護衛連中が説明したりしたのかぁ。

ヘルプ機能でマニュアルが無くても、それなりに説明が補足されるから大丈夫だと思ったけど、今頃パニクっているのかなぁ?

ヘルプ機能はその機能ごとに説明を出すアイコンを用意して、操作に迷うと自動で説明が表示されるようして、さらに任意で確認できるようにもしてある。

「そうですねもう少し慎重に進むことを考えましょう」

「わかりました。では、ゆっくりとお休みください」

えっ、ちょっと待って!

クレアはそう言うとテントを出て行こうとする。

「い、一緒に寝てくれないの?」

そう言うとクレアは顔を真っ赤にして答えた。

「ぶ、部下の手前、それは不味いです。仕事中でもありますし、班の者と一緒のテントで過ごします」

「そんなぁ~、見張りも終わって後は寝るだけでしょ。自宅と同じじゃないのぉ?」

「だ、旦那様、声が大きいです。聞かれたら恥ずかしいじゃないですか!」

クレアは小さい声で抗議してくる。

「ふふふ、大丈夫だよ。テントには防音結界がしてあるから、外に声は漏れないからね」

「で、でも、外の音や声が聞こえています!」

確かに今も外の話し声がわずかに聞こえている。

「それは危険に気が付かないと危ないから、外の音や声は聞こえるようにして、中の音は聞こえないようにしたんですよ。見張りの時に他の班のテントから音や声は聞こえた?」

「た、確かにそうですね。でも、やはりダメです」

「ダメはダメだよ」

私はそう言うとクレアの手を握り引っ張り寄せる。

「ダ、ダメです! まさか、ここで……、それは絶対にダメです!」

「ダメだと言われると、男は我慢できなくなるよ」

「で、でも、ラナに申し訳ない、あっ! ムグ……」

ストレージでクレアの着けていた防具を収納して、強引にキスをする。

「ラナには、戻ったらそのぶん頑張るから」

「だ、だめ……」

クレアは強引に攻められるのが好きなんだよね!

力が抜けて抵抗できなくなったクレアを、優しく抱きしめるのであった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


アラームで目を覚ましクレアを起こすと、目を覚ましたクレアにポカポカと胸を叩かれる。

「そんな事されると朝から……」

「それは絶対にダメ!」

そう言ってからダメと言ったことで、また始まると思ったのか逃げるように私から離れる。

「さすがに朝からはしないよぉ。今日も忙しいし体力を残さないと拙いからね」

少しホッとした表情を見せて、クレアは急いで装備を整える。

準備が終わるとクレアは急いでテントから出て行ってしまう。

私も準備するとテントから出たが、クレアが顔を真っ赤にして、他の女性たちがニヤニヤ笑いながら、私とクレアを見ている。

私は気にせずテントやテーブルの片付けを始めるのだった。


出発の準備ができると、クレアが拘束された連中に話を始めた。

「これから地上に移動する。付いて来られない者、反抗する者、指示に従わない者はその場で処刑する!」

「それはいくら何でも酷いじゃないか!」

拘束されたクレアに酷い事をすると言った冒険者、いや犯罪者が抗議する。

「あ~、早速反抗する者が出たようだね。出発前に見せしめが出来て助かるよ」

ブリッサさんは嬉しそうに話す。

「「「はい、はい、はい」」」

一斉に他の護衛が手を上げ始める。

「まずは班長の私が試し切りを、」

ブリッサさんが嬉しそうに前に出ようとすると、カルアさんが待ったを掛ける。

「班長と言うなら私もそうだよ!」

文句を言った犯罪者は、必死の形相でクレアにお願いする。

「二度と反抗しません! どうかお許しください!」

「わかった、今回だけは許そう。できれば反抗するときは2名以上にしてくれ。そうしないと揉めそうで困る」

クレアが犯罪者たちにそう話した。

犯罪者たちは真っ青な顔で姿勢を正している。

「よし、出発するぞ!」

驚くほど素直に、首に巻いた縄を付けた状態で犯罪者は整然とついて来るのであった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


連携も良くなり、順調に地上に向かって進んで行く。

犯罪者は一言も喋ることなく、必死の形相で走ってついて来る。

こいつら、冒険者なのに体力が無さすぎる。

今は魔物をブリッサ班が討伐中なので他の班は止まっている。しかし、犯罪者たちは息を切らせて、今にも倒れそうである。

「もうすぐで1層に行く階段に着くから、そこで昼飯にしましょう」

クレアに昼休憩を提案する。

「そうですね。少し休憩を取りましょう」

ブリッサ班が戻って来て、移動を始めるとすぐに階段前に到着した。

昼休憩を取るついでに、魔導銃の検証をする。

実は中魔弾までは訓練施設で確認をしたことがあった。

重魔弾と遠魔弾は威力が気になり、ダンジョンで試そうと考えていた。しかし、自分の出番がない状態だったので検証はしていなかったのだ。
でも、実戦で試すのは良くないと考え直し、木に向かって撃つことにした。

魔導銃は単発撃ちと3連射を切り替えできるようになっている。

まずは重魔弾を近くの木に撃ってみる。引き金を引くと同時に重魔弾が発射され木に当たった。

重魔弾は射程が20メルで威力も強めだが、普通は発射まで3秒ほど掛かる。それが魔道具だとすぐに発射できる。

続いて重魔弾を3連射で撃つと、1回引き金を引くだけで、0.1秒ごとに3発発射された。

シリンダを回して、同じように遠魔弾も少し遠い木で試すが、10秒ほど必要だった発射までの時間が必要なくなり、連射は0.2秒ごとで3発発射できた。

しかし、遠魔弾を連射すると2回で魔石が消費されてしまった。

魔力消費は更に改造が必要になりそうだ。

銃弾タイプも改良版も含めて検証する。最初の半分魔力タイプでも遠距離を狙って撃ったのに少し爆風が自分達にも吹いてきた。

魔力が10分の1の銃弾が、まともに使えそうな威力だと感じた。

検証を終えて皆の所に戻ると、驚いた顔をしていた。

犯罪者の一人が「あんな化け物に…」と呟いたのが聞こえたが、聞いていない振りをする。

自分が戻ると階段を上がり、1層を進んで行く。

結局、15時くらいには地上に到着する事ができた。

ダンジョンから地上に出ると、100人以上の兵士が待ち構えていた。

その中からハロルド様が前に出てくる。

「楽しそうな事を色々とやっているのぉ。悪いが話を聞かせてくれるか?」

そう言って、犯罪者を引き渡すと、自分が作り替えた兵舎に連れ込まれるのであった。
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