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第6章 塩会議
第19話 聞いてないよぉ!
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みんなの視線が集まってきて動揺する。神託が嘘だと断言したので怪しまれたのだろう。必死に言い訳を考えていると、ハロルド様が話し始めた。
「そんなことはみんな知っておる。教会が権威付けのために言い出したと分かっている。しかし、教会だけではなく、冒険者ギルドや商業ギルドがそれを受け入れたのが問題なんじゃ」
えっ、神託が嘘だと、みんな気付いているのぉ!?
「それだけではありません。国や領主によっては、都合よくその神託を使っている場合がありますね。我が国はその神託は受け入れられないとしています。しかし、教会や各ギルド、他国の兼ね合いで徐々に獣人を差別するような風潮になっているのが現実です」
エイブル伯爵が詳しく話してくれた。
「アタル殿、子供たちのことを頼む!」
えっ、突然なんでしょうかぁ!?
グラスニカ侯爵が乗り出してお願いしてきた。
「私は何とかこの状況を改善したいと思っている。しかし、どうしても時間が掛かるし、解決しないといけないことも多い。だが、必ず獣人や子供たちが安心して暮らせるようにする。だから、それまで子供たちのことを、どうか……」
私の手を握りながらグラスニカ侯爵は頭を下げている。
うん、悪い人ではないなぁ。
もしかしたら私は、転生してから最初にこの町に来ていたかもしれなかった。だからそれほど悪い町ではないのだろう。
しかし、問題は……。
私はハロルド様の顔色を窺う。
ハロルド様はそれに気が付くと溜息を付いて話した。
「ふぅ~、エドワルド、子供だけでは人手が足らん。希望する獣人を我が領に移住させても良いか?」
「ああ、獣人は大人も辛い思いをしているから頼みたいぐらいだ。それに獣人の冒険者がエルマイスターに移住しているのは知っているだろう?」
うん、知っている。
「アタル、子供たちの面倒を見る金は、お前が出してくれよ?」
ハロルド様は当然のように話すが、グラスニカ侯爵とエイブル伯爵は驚いてハロルド様の顔を見ていた。
「ラナ、何とかなるかなぁ?」
お金のことは最近ではラナが管理している。正確には執事のエマが管理して、ラナが確認しているのだ。
「それはハロルド様次第ですね。未払いの借金をハロルド様がきちんと払ってくだされば、全然問題ありません!」
「も、もちろん払うのじゃ!」
ハロルド様は渋い顔をして返事した。
「お、お前、アタル殿に金を借りているのか!?」
グラスニカ侯爵は驚いた表情でハロルド様に尋ねた。
「か、金など借りておらん! 買い取った物の支払いが滞っているだけじゃ!」
「まさかハロルド殿が借金するようになるとは……」
エイブル伯爵が呟くように話した。横ではグラスニカ領主も同意するように頷いている。
「ふんっ、お前達も近いうちに同じ目にあうじゃろうがなぁ」
ハロルド様は少し嬉しそうに2人を見て話した。
「私達は無理だな。塩の問題が解決しないと、我が領の税金も農作物もそれだけで精一杯な状況だ。借金してまで物を買っても返済ができないだろう……」
「私の所も同じような状況ですね……」
グラスニカ侯爵が辛そうに話し、エイブル伯爵も同意するように呟いた。
「えっ、それは解決しましたよね。ハロルド様、まだ話していないのですか?」
私は疑問に思いハロルド様に確認する。それを聞いていたグラスニカ侯爵とエイブル伯爵は目を大きく開いて、ハロルド様に注目する。
「それがのぉ、その話をしようとしたら、町中でどこかの馬鹿が騒ぎを起こしたようでのぉ。その話ができずにここにおるのじゃ」
おうふ、地雷を踏んでしまったようだ!
「も、もう、ここは問題ありませんから、話の続きをして大丈夫ですよ……」
「ほう、本当に大丈夫かのぉ」
ハロルド様が疑うように私を見つめる。
くっ、情けないが、大丈夫だと言う自信がない!
「アーニャ! 俺が死んで詫びるから女房は見逃してくれぇーーー!」
うん、私も不安だ……
◇ ◇ ◇ ◇
それでも何とかハロルド様達は帰っていった。
その後は孤児院の子供たちが来て同じようなことをする。すでに6台目の客車型テク魔車が導入された。
ちょっと孤児が多すぎない!
少し手が空いたところで孤児院の職員や院長に話を聞く。
なんでも最近は塩の価格が高騰して、領内の農作物は塩の購入のために他領や他国に流れ、残った農作物も値上がりしたようだ。しかし、農家の買取価格が上がるわけではなく、物価だけが上がり、村の子供や孤児の面倒がみれなくなった。
結果的にそういった子供や孤児、そして大人までも領都に集まっているのが原因だと話してくれた。
今回のことで領主のグラスニカ侯爵の許可を得て、希望者はエルマイスター領に連れて行くことになったのだが、ほとんどが希望してしまった。
人族の男の子は引き取り手が多いので全て残して、乳飲み子はすぐには対処できないから今回は遠慮してもらった。
それでも孤児院の定員を随分下回るので、領主からでる運営資金でも余裕ができるので安心だと喜んでいた。
さらに子供の面倒や、それ以外の仕事を求めて、エルマイスターに移住を希望する獣人は半分近くになる。塩会議終了後に移動すると伝えると嬉しそうに準備に戻っていった。
「ドッズさんやアーニャさんは残るのですね?」
「はい、私達はこの町の孤児院の出身です。昔は獣人も孤児院で面倒見てくれていたのです。だから、私達は領主様のお陰で今があると思ってます。だから、この町を自分達の手で守っていきます」
ああ、やはりアーニャさんはメリーさんに似ている。そして辛いことがあっても町を愛しているのだろう。
「アタル様が引き取った子供たちが帰ってこられるように、俺達は頑張ります!」
ドッズさんが決意を込めた目で話した。その後ろには各地区の顔役の獣人たちが同じような目をして頷いている。
無理やり手を引っ張られて、手の届く範囲を広げられたけど、結果的に良かったと考えよう!
「アタル様、お願いがあります!」
アーニャさんが更に真剣な表情で尋ねてきた。
「え~と、私にできることなら……」
更に手が引っ張られて悲鳴をあげないといいけど……。
「この地の管理を任せてもらえませんか?」
この地の管理?
「ここは領主様の管理地だと聞いたけど……?」
戸惑って逆に確認する。
「もちろん領主様には相談します。でも、あの3柱の神様達を守りたいのです!」
う~ん、でも思い付きで作っただけだしなぁ。
シンジ(獣人の神)『すまん! 嬉しくて気がついたらあの像に俺の加護が……』
みこと♪『私も下界で初めての像が嬉しくて……』
転子『妾はせめて胸を大きくしてくれたら加護を……』
なにしてくれてるのぉーーー!
みこと♪『私の像を守る彼女には……、すでに私の加護を……』
シンジ(獣人の神)『それなら俺は旦那に加護を……、よし終わったぞ!』
転子『胸をほんの少し……』
終ったぞじゃねぇーーー!
獣人の神の加護にはどんな効果が!? 人じゃない像への加護はどうなるぅ!
シンジ(獣人の神)『フハハハッ、それは秘密だ!』
みこと♪『像を無下に扱う相手には神罰が……』
転子『妾の……』
し、神罰! 雷が落ちるとかぁ!?
みこと♪『嫌だわ、神罰は逆の効果になるだけよ。私の像に悪戯したら子孫が残せないとか、壊そうとしたら一族が……ふふふっ』
ふふふっ、じゃねぇーーー!
危険だ! こんな像を創ったのが私だと広まれば……。
みこと♪『だから2人に事情を話してくれるかしら。知らないと大変だと思うから』
な、なんて伝えるのだ!?
それこそ使徒認定されそうじゃないかぁ!
シンジ(獣人の神)『フハハハッ、今さら何を言ってるのだ。最初から使徒だろうが!』
転子『こら、勝手に話すのではないのじゃ!』
聞いてないよぉーーー!
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もしかしたら私は、転生してから最初にこの町に来ていたかもしれなかった。だからそれほど悪い町ではないのだろう。
しかし、問題は……。
私はハロルド様の顔色を窺う。
ハロルド様はそれに気が付くと溜息を付いて話した。
「ふぅ~、エドワルド、子供だけでは人手が足らん。希望する獣人を我が領に移住させても良いか?」
「ああ、獣人は大人も辛い思いをしているから頼みたいぐらいだ。それに獣人の冒険者がエルマイスターに移住しているのは知っているだろう?」
うん、知っている。
「アタル、子供たちの面倒を見る金は、お前が出してくれよ?」
ハロルド様は当然のように話すが、グラスニカ侯爵とエイブル伯爵は驚いてハロルド様の顔を見ていた。
「ラナ、何とかなるかなぁ?」
お金のことは最近ではラナが管理している。正確には執事のエマが管理して、ラナが確認しているのだ。
「それはハロルド様次第ですね。未払いの借金をハロルド様がきちんと払ってくだされば、全然問題ありません!」
「も、もちろん払うのじゃ!」
ハロルド様は渋い顔をして返事した。
「お、お前、アタル殿に金を借りているのか!?」
グラスニカ侯爵は驚いた表情でハロルド様に尋ねた。
「か、金など借りておらん! 買い取った物の支払いが滞っているだけじゃ!」
「まさかハロルド殿が借金するようになるとは……」
エイブル伯爵が呟くように話した。横ではグラスニカ領主も同意するように頷いている。
「ふんっ、お前達も近いうちに同じ目にあうじゃろうがなぁ」
ハロルド様は少し嬉しそうに2人を見て話した。
「私達は無理だな。塩の問題が解決しないと、我が領の税金も農作物もそれだけで精一杯な状況だ。借金してまで物を買っても返済ができないだろう……」
「私の所も同じような状況ですね……」
グラスニカ侯爵が辛そうに話し、エイブル伯爵も同意するように呟いた。
「えっ、それは解決しましたよね。ハロルド様、まだ話していないのですか?」
私は疑問に思いハロルド様に確認する。それを聞いていたグラスニカ侯爵とエイブル伯爵は目を大きく開いて、ハロルド様に注目する。
「それがのぉ、その話をしようとしたら、町中でどこかの馬鹿が騒ぎを起こしたようでのぉ。その話ができずにここにおるのじゃ」
おうふ、地雷を踏んでしまったようだ!
「も、もう、ここは問題ありませんから、話の続きをして大丈夫ですよ……」
「ほう、本当に大丈夫かのぉ」
ハロルド様が疑うように私を見つめる。
くっ、情けないが、大丈夫だと言う自信がない!
「アーニャ! 俺が死んで詫びるから女房は見逃してくれぇーーー!」
うん、私も不安だ……
◇ ◇ ◇ ◇
それでも何とかハロルド様達は帰っていった。
その後は孤児院の子供たちが来て同じようなことをする。すでに6台目の客車型テク魔車が導入された。
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転子『胸をほんの少し……』
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