スマートシステムで異世界革命

小川悟

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第6章 塩会議

第22話 ケモミミ天国2

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自分のしでかした事実を目の前にして呆然としていると、後ろから声が聞こえた。

「これは……」

そこには私と同じように呆然と前を見つめるラナとクレアの姿があった。

「やり過ぎちゃった……」

さすがにここでテヘペロする勇気はない。

ミュウ「すごい~!」
キティ「すごいのぉ~!」

ミュウとキティは嬉しそうな声を出すと敷地内を走り始めた。

うん、やってしまったことは仕方ない!

呆然とするラナとクレアに話しかける。

「もう今さら取り壊すわけにはいかないよね。諦めてこの現実を受け入れよう!」

「「……」」

2人は呆然として頷いていたが、何も言葉を発しなかった。

くっ、2人でも簡単には受け入れられないようだ!

「ラナ、悪いけどテク魔車から出ないように言っていた子供たちに、出ても良いと伝えてくれ。敷地内なら遊んでも危険はないはずだ!」

ラナは呆然としながらも頷くと客車型テク魔車へ向かっていった。

「クレアはドッズさんに封鎖の解除とここに来るように伝えてくれ!」

クレアも呆然としながらも外へ向かって歩き始めてくれた。

それを見送ると改めて自分のやってしまったことを見るのだった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


最初は目立たない程度に神像のある小屋を作ろうと思っていた。しかし、参拝に来る人が多い可能性もあると思い、そこそこの大きさで建物を造った。
そして内部を空間拡張で広くして、参拝スペースを確保した。暗いのはダメだと思い灯りの魔道具を設置して、それなら少し神秘的にしようとステンドグラスの窓を幾つも設置してしまった。

これで大丈夫だと思って外に出て建物を見ると、あまりに周辺から浮いていた。これはまずいと思い、建物を目立たないようにしようと、敷地内にストーレジに入っていた木を植えて配置することにした。
それなら公園をイメージしてベンチなども設置して噴水も作った。

裏手に木を植えている時に、ここを管理するアーニャ夫妻の住まいも必要だと考えて、裏手側の端に家を建てる。見た目は小さいが中は空間拡張してあるので、子供ができても安心して住めるだろう。

子供と考えたことで、子供が集まり遊んだり、勉強できたりするスペースがあると良いと思い、集会所になる建物を建てた。こちらも見た目はそれほど大きくないが、中は空間拡張されているので中は広い。

そして子供も集まる場所と考えたのだが、木が多いことで死角も多い。そこでセキュリティのことも考え2メル程の高さの壁で敷地を囲んだ。そして結界の魔道具を設置する。

結界の魔道具を設置したことで、それを管理するシステムが必要だと考えた。その為には公的ギルドカードが必要だと思って、教会ギルドではまずいと考え、福祉ギルド(仮)としてシステムを構築する。

そうなるとギルドカードなどを管理するためにも、公的ギルドが必要になる。もともと今回グラスニカ侯爵に、公的ギルドの仮支部の設置をお願いすることになっていたと思い出した。

敷地の横に完全に倒壊した建物があったので、そこに公的ギルドの建物を設置した。これはすでにグラスニカに来る前から用意していた建物があったので、整地して設置するだけで終わった。

そして道路を挟んだ建物を撤去した空き地を見て、ちょうどダンジョン町用に予備で作っていた長屋式商店を設置できると思って設置して、臨時救護所などにすれば良いと思ったのだ。

最後に敷地内の仮設の救護所などの建物を撤去した状況が今の状況である。


   ◇   ◇   ◇   ◇


そして改めてみると、自分でもやり過ぎたと思う。

しかし、作業中に周りの撤去したほうが良いと思う建物を見て、撤去して孤児院や周辺の貧民のための住まいでも作ろうと誘惑に駆られた。

でも、まだ片付けや退去が終わっていない可能性もあるし、これ以上はアーニャさん達に相談も必要だ。それにグラスニカ侯爵の許可を貰ってからにしようと自重したのである。

うん、自重は大事だよね……。

すでに自重することなく造られた状況をみて、自重は手遅れだと分かっているが、何となく自分に言い聞かせるのであった。

冷や汗を流しながら自分のやってしまったことを見ていると、客車型テク魔車から子供たちが次々と出てくる。

子供たちは驚いていたが、すぐに大騒ぎして敷地内を走り回り始めた。

うん、これを見たらやって良かったと思う!

そして子供たちが私に気付くと、集団で集まってきた。

モフモフ天国やぁ~!

初めて見る獣人も多かったので、どさくさに紛れて小さな子供のケモ尻尾を堪能する。

私はクレアがアーニャさんを連れてきたのにも暫く気付かなかった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


エドワルドは深刻な表情で歩いていた。

「まさかあいつがヤドラス子爵家の密偵だったとは……」

今後は極秘で色々と作戦を練る必要がある。念のため朝から鑑定の魔道具で密偵の確認をしていたのだ。

密偵として見つかったのは真面目そうな文官で、領でも重要な役目に就いたばかりの役人だったのだ。

そして尋問、グラスニカ式の取り調べで本人はエイブル伯爵家の密偵だと言い始めた。相手は一緒にエイブル伯爵本人がいるとは思っておらず、3人は苦笑してしまう。

エドワルドがエイブル伯爵のカークを紹介すると、密偵は顔色を変えた。それでも誤魔化そうと密偵は必死になった。しかし、ハロルドが嬉しそうな笑顔でエドワルドとカークにエルマイスター式の尋問の許可を求めると、すぐに2人は許可した。

それからハロルドが家族を攫ってくるように指示をして、指を2本切り落とした所で本当のことを話し始めたのだ。

その時のエドワルドの怒りの表情をハロルドやカークは見たことがなかった。

エドワルドはハロルドに兵士を借りて、引き続き他の役人や兵士の確認を進めるように指示すると、屋敷に戻り始めたのである。

「私の名前まで利用していましたなぁ。これで心置きなく子爵を追い詰められそうです」

カークも顔に怒りを滲ませている。

「お前の所にも入り込んでいそうじゃな?」

ハロルドがカークに尋ねる。

「そうですなぁ。魔道具とハロルド殿の方針を私も使わせてもらいますよ。私も戦場では一緒に行動していましたから、エルマイスター式尋問は目に焼き付いていますから」

エドワルドも横で頷いている。今回のことは相当に腹を立てているようであった。

そこに執事が慌てたように走ってくる。執事はエドワルドの前に来ると話し始めた。

「例の区画のことで報告が御座いました!」

執事が焦る様子で話すので、3人は深刻な表情で話を聞く。

「すでに例の老朽化した建物は撤去され、信じられませんがすでに新しい建物や木なども植えられていると報告がありました!」

エドワルドとカークは信じられないと思いハロルドを見る。ハロルドはしまったという顔をする。

「アタルならやりかねん! あやつはダンジョン横の町を半日で完成させた。あの時は事前に準備していたが、今回は準備をしていないからそれほどではないじゃろう」

ハロルドもいつの間にかアタルに毒されていた。ハロルドは普通に話すが、エドワルドやカークにとっては町を半日で造るのは人のできることではないのだ。

「おい、冗談だろ! 半日で町を作るなど人のなせることではない!」

エドワルドは本気でハロルドに文句を言う。

「いやいや、町といってもダンジョン横に2、30の建物だけじゃ」

ハロルドの返答を聞いてエドワルドとカークはお互いに顔を見て、すぐに諦めたような表情になる。

「こんなことが次々に起きるのですか?」

「そうじゃのぉ。自重するように言っておるのじゃがのぉ」

カークの質問にハロルドは疲れたように答える。

「しかし、なぜそんなことを……」

エドワルドが呟くように話とハロルドが話した。

「それは確認しないとダメじゃのぉ。あそこに行って追及すると獣人が暴動を起こすかもしれん。サバルにアタルを迎えに行くように伝えるかのぉ」

すでにエドワルドは自分の常識では理解できなくなっていたのでハロルドの提案を受け入れるのだった。
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