ある古書店販売員の日常。

猫寝 子猫

文字の大きさ
14 / 82

そのぉ〜14 日曜日はストライカー。

しおりを挟む

 「フフフ、シオタさんの予定とは…」

 ココは都内某所にある某商業センターのイベント会場!

 正に「創作系オンリー同人誌即売会」の真っ最中!


 「今日、しおりんとサークル参加するからナノです!」

 「誰に説明しているの、しおりん?」

 元々同じ学校で、バイト先も同じなのは偶然では無くて、であるしおりチャンが静華お姉さんを後追いしてるだけだ。

 「しおりん、は何か言ってた?」

 「は今日のが楽しみらしく、私の声など耳に入っていない様でした。」

 「そうなんだ、おじさん店長の推しのヒトなのかな?」


 などと話しながら、見本誌を準備したり、釣り銭の準備をしたりと開場を待っている二人。

 「しおりん、委託のこの本、いくらだっけ?」

 「百円です。」

 「ひゃ? 百円なの?

 間違いない?」

 「ハイ、たくさん刷ったから単価が安いそうです。
 
 毎回、百均でしたよ。」


 二人が作った本は子猫が主人公の猫好き向けのオリジナル、周りのサークルも動物(ペット)メイン本を販売している様だ。

 ちなみに二人、いやが委託を引き受けた同人誌は作者が「自転車旅行」中に撮影した町猫地域猫たちの写真集だ。

 「コレ、私も買っても良い?」

 「売り子の方には、一冊進呈することを頼まれてます。」

 「本当!ヤッタ!」

 別に喪では無いので、小さいお子さんにもお勧めだね?


 さて、二人が楽しくのサークル参加を満喫しようとしている正にその時、我らがくんは撮影会の会場準備にヤキモキしていた?


 肝心な女優さんが来ていないのだ!




 「す、すいません!」

 頭を下げているのは、いつもの「マネージャーさん」では無いマネージャーさん。

 「だ~か~らっ、しっかりと見張っていろと言っただろ!」

 「古賀くん、言い方⁈
 そう怒らないでね?」

 「古賀くん」とは猫モリが普段「マネージャーさん」と呼んでいる人の事で、本来は営業担当でマネージャーは兼任している形で、今日は予感がして後輩マネージャーの様子を抜き打ちに見に来たらしい?

 今日の撮影会は、二人の女優さんが引き受けてくれて、初回はアニメキャラクターの「コスプレ」モノが得意のちょい幼い感じがする女優「穴沢アニザワ ありす」さん。

 そして、午後三時からの二回目も「コスプレ」の企画モノに多く出演しているウチのお店での撮影会の女優「Rio」さんなのだが?


 「別にRioさんは午後からなのでまだ大丈夫なのでは?」

 「ソレが、最初ののコーナーで、ありすチャンと掛け合いトークをする予定でに入る様に言って有ったんですよ!」


 「…遅刻ですかね?」

 「アイツ、連絡くらいよこす奴なんだが?」







 「ねぇしおりん、チケット残り一枚無駄になっちゃったね?

 写真集の作家さん、来れないんでしょ?」

 サークル参加はワンスペースに椅子二つに入場チケット

 元々はその人が即売会にサークル参加を申し込んでいるのだが?

 「今日のイベント、倍率そこそこ高いから当選しないと思って、の予定入れてしまったみたいで、当選の通知、ダイレクトメールと混ざって一昨日まで気が付かなかったそうで…」

 「…しおりん、新刊よく間に合ったね⁈」

 「知り合いに1で仕上げてくれる印刷屋さんがいるのでス。
 ちなみにと同じ印刷屋さんです。」

 「私、そのウチ同人誌作るつもりでいるから、その印刷屋さん紹介して!」

 「無理です、本来は同人誌とか受けない会社なんです。

 例えば、月刊漫画誌の付録の小冊子とか作ったりするサンなんです。」


 「えっ?

 どういうこと?」


 「叔父なんです、そこの社長サン。」

 「反則だよ、しおりん!」

 「さて、そろそろが来る頃デス。」

 「残りのチケットって、誰にあげたの?」


 「あ、来ました。」

 「ごめん、遅くなったよ。」


 「えっ⁈」






 
 「今、連絡が有った。

 近所に住んでる友達が急病で救急車呼んだり、家族に連絡したりで、午前中のイベントは間に合わないそうだ。

 だが、二時までにはコッチに着く様にするそうだ。」

 古賀さんがため息を吐きながら、呆れ顔でそう言ってから、

 「店長、どうもすみません。」

 と、頭を下げた。

 「いやいや、本人の無事が確認出来て良かった。

 三時からのイベントも大丈夫そうだね?」

 「それはもう、間違い無く!」

 「っだそうです、そう言うごとでネコくんヨロシクね!」

 「ハイハイ、調整しま~す。」

 「悪いね、ネコさん。

 その内、おでん奢るから。」


 おでんは嬉しいけど、俺は何か予感していた。

 古賀さんは嘘をついている!

 いや、おでんを奢る気が無いとかで無く、連絡がついた…のは本当だろう、その理由かな?






 「り、理央サン?」

 「本日、お誘いしたのは理央さんでした~。」

 「されました~。」

 そこにいたのはジャージでなくて、女子大生が就活で着るようなリクルートコーデにいつものグラサン、髪も

 「さっき美容院で急いで何とかしてきた!」

 って、バラしちゃうくらいいつもの投げやりポニテじゃない、「ハーフアップ」!

 「他所行きの服で、が無いの、コレしか無かった!」


 「アハハ、そうゆーとこ、理央さんらしいね?」



 「理央さん、は回しておきましたからして下さい。」

 「しおリン、サンキュー!

 このであげちゃうゾ!」

 「そのつもりデス。」


 「えっ、えっ、エッチなのはイケないと思います!」

 「いや、今度になってもらおうと思いまして。」


 「アレ、私はでも問題ないかも。」




 
 


 午後三時、撮影会は問題無く


 「は~い、皆さん午前中ぶりで~す、ありすで~す♡
 それから?」

 「おやおや、皆さんいつ振りですか?
 午前中、遅刻したRioでーす(棒読)。」


 会場からパラパラ拍手と爆笑が!

 「大変だったね、Rioチャン! コレラだって?」

 爆笑?

 「ちゃうわい!
 ルームシェアしてる子が『お腹痛くて死ぬー!』って、絶叫してるから救急車呼んで、一緒に病院に行くハメになってさ。」

 「面倒見良いよね、さすがお姉ちゃん肌!
 ソレでその恋人さんは大丈夫?」

 「同棲ちゃうわ!
 女の子だよ、おな中の。

 原因はだってさ。」

 「えぇー!痛そうー!」

 「ご家族に連絡して後任せてきたさ。
 午前中、私居なくても問題なかっただろ?」

 「うん、全然!」

 笑!

 「ソコは『ううん、寂しかったよ~♡』だろ、お前のキャラ的に!」

 「テヘペロ!」

 爆笑!



 前トークが盛り上がり、午前中にRioさんがいなかった事へのマイナスイメージはプラスに変わった。

 一部のありすファンが

 「撮影会Rioバックれ」

 と、ネットに書き込んだ所為か午後の撮影会に冷やかしに来たアンチもいた様だが、それ込みで大盛り上がりだった。



 結果、サービスで本来二人別々の撮影の予定が、ラストの10分だけ、ありすサンとRioサンの特別ツインズ撮影会となった!




 「アニサキス…か…。」


 先日、俺がで話した、が夜中に騒ぎ出したちょい昔の体験談みたいだな?


 偶然かな?


 ん、でも話しはシオタさんやオオタくん、しおりんにも話した事があるな?

 確か寿で?





 
 「やっ!理央さん、そろそろ時間です!
 今からタクシーで三十分ぐらいでに付けますから!」

 「分かった!今日はありがとね、しおシオコンビ!」

 「何か嫌だな、そのユニット名?」

 「「ツインそると」って呼んでください。」


 「分かった~じゃあ後で~
、twin SALT!」


 変なテンションの理央さんとしおりチャン。

 
 「…twin salt…かぁ?

 ソレ、サークル名にする?」

 何気に一緒に同人やろうと誘っているシオタさん、

 「理央さんも誘って、三人でやりませう?」

 今日の様子を見て、イケると踏んだしおりん!


 「ココのサークル主にもご一報しないと。」

 元々は今日来る事の出来ないその人のおかげなのだ。

 サークル「ノラ猫屋」のサークル代表さんには本当にお礼しないと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

処理中です...