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そのぉ〜14 日曜日はストライカー。
しおりを挟む「フフフ、シオタさんの予定とは…」
ココは都内某所にある某商業センターのイベント会場!
正に「創作系オンリー同人誌即売会」の真っ最中!
「今日、私とサークル参加するからナノです!」
「誰に説明しているの、しおりん?」
元々同じ学校で、バイト先も同じなのは偶然では無くて、従姉妹であるしおりチャンが静華お姉さんを慕って後追いしてるだけだ。
「しおりん、おじさんは何か言ってた?」
「お父さんは今日の撮影会が楽しみらしく、私の声など耳に入っていない様でした。」
「そうなんだ、おじさんの推しのヒトなのかな?」
などと話しながら、見本誌を準備したり、釣り銭の準備をしたりと開場を待っている二人。
「しおりん、委託のこの本、いくらだっけ?」
「百円です。」
「ひゃ? 百円なの?
間違いない?」
「ハイ、たくさん刷ったから単価が安いそうです。
毎回、百均でしたよ。」
二人が作った本は子猫が主人公の猫好き向けのオリジナル、周りのサークルも動物(ペット)メイン本を販売している様だ。
ちなみに二人、いやしおりんが委託を引き受けた同人誌は作者が「自転車旅行」中に撮影した町猫たちの写真集だ。
「コレ、私も買っても良い?」
「売り子の方には、一冊進呈することを頼まれてます。」
「本当!ヤッタ!」
別に喪では無いので、小さいお子さんにもお勧めだね?
さて、二人が楽しく初のサークル参加を満喫しようとしている正にその時、我らが猫モリくんは撮影会の会場準備にヤキモキしていた?
肝心な女優さんがまだ来ていないのだ!
「す、すいません!」
頭を下げているのは、いつもの「マネージャーさん」では無いマネージャーさん。
「だ~か~らっ、しっかりと見張っていろと言っただろ!」
「古賀くん、言い方⁈
そう怒らないでね?」
「古賀くん」とは俺が普段「マネージャーさん」と呼んでいる人の事で、本来は営業担当でマネージャーは兼任している形で、今日は何か予感がして後輩マネージャーの様子を抜き打ちに見に来たらしい?
今日の撮影会は、二人の女優さんが引き受けてくれて、初回はアニメキャラクターの「コスプレ」モノが得意のちょい幼い感じがする女優「穴沢 ありす」さん。
そして、午後三時からの二回目も「コスプレ」の企画モノに多く出演している今回ウチのお店で初めての撮影会の女優「Rio」さんなのだが?
「別にRioさんは午後からなのでまだ大丈夫なのでは?」
「ソレが、最初のトークのコーナーで、ありすチャンと掛け合いトークをする予定で早めに入る様に言って有ったんですよ!」
「…遅刻ですかね?」
「アイツ、連絡くらいよこす奴なんだが?」
「ねぇしおりん、チケット残り一枚無駄になっちゃったね?
写真集の作家さん、来れないんでしょ?」
サークル参加はワンスペースに椅子二つに入場チケット三枚。
元々はその人が即売会にサークル参加を申し込んでいるのだが?
「今日のイベント、倍率そこそこ高いから当選しないと思って、仕事の予定入れてしまったみたいで、当選の通知、ダイレクトメールと混ざって一昨日まで気が付かなかったそうで…」
「…しおりん、新刊よく間に合ったね⁈」
「知り合いに1日で仕上げてくれる印刷屋さんがいるのでス。
ちなみに写真集と同じ印刷屋さんです。」
「私、そのウチ同人誌作るつもりでいるから、その印刷屋さん紹介して!」
「無理です、本来は同人誌とか受けない会社なんです。
例えば、月刊漫画誌の付録の小冊子とか作ったりする印刷屋サンなんです。」
「えっ?
どういうこと?」
「叔父なんです、そこの社長サン。」
「反則だよ、しおりん!」
「さて、そろそろ三人目が来る頃デス。」
「残りのチケットって、誰にあげたの?」
「あ、来ました。」
「ごめん、遅くなったよ。」
「えっ⁈」
「今、連絡が有った。
近所に住んでる友達が急病で救急車呼んだり、家族に連絡したりで、午前中のイベントは間に合わないそうだ。
だが、二時までにはコッチに着く様にするそうだ。」
古賀さんがため息を吐きながら、呆れ顔でそう言ってから、
「店長、どうもすみません。」
と、頭を下げた。
「いやいや、本人の無事が確認出来て良かった。
三時からのイベントも大丈夫そうだね?」
「それはもう、間違い無く!」
「っだそうです、そう言うごとでネコくんヨロシクね!」
「ハイハイ、調整しま~す。」
「悪いね、ネコさん。
その内、おでん奢るから。」
おでんは嬉しいけど、俺は何か予感していた。
古賀さんは嘘をついている!
いや、おでんを奢る気が無いとかで無く、連絡がついた…のは本当だろう、その理由かな?
「り、理央サン?」
「本日、お誘いしたのは理央さんでした~。」
「されました~。」
そこにいたのはいつものジャージでなくて、女子大生が就活で着るようなリクルートコーデにいつものグラサン、髪も
「さっき美容院で急いで何とかしてきた!」
って、バラしちゃうくらいいつもの投げやりポニテじゃない、「ハーフアップ」!
「他所行きの服で、シワが無いの、コレしか無かった!」
「アハハ、そうゆーとこ、理央さんらしいね?」
「理央さん、手は回しておきましたから安心して下さい。」
「しおリン、サンキュー!
このお礼はカラダであげちゃうゾ!」
「そのつもりデス。」
「えっ、えっ、エッチなのはイケないと思います!」
「いや、今度モデルになってもらおうと思いまして。」
「アレ、私はソッチでも問題ないかも。」
午後三時、撮影会は問題無く開始された!
「は~い、皆さん午前中ぶりで~す、ありすで~す♡
それから?」
「おやおや、皆さんいつ振りですか?
午前中、遅刻したRioでーす(棒読)。」
会場からパラパラ拍手と爆笑が!
「大変だったね、Rioチャン! コレラだって?」
爆笑?
「ちゃうわい!
ルームシェアしてる子が『お腹痛くて死ぬー!』って、絶叫してるから救急車呼んで、一緒に病院に行くハメになってさ。」
「面倒見良いよね、さすがお姉ちゃん肌!
ソレでその恋人さんは大丈夫?」
「同棲ちゃうわ!
女の子だよ、おな中の。
原因はアニサキスだってさ。」
「えぇー!痛そうー!」
「ご家族に連絡して後任せてきたさ。
午前中、私居なくても問題なかっただろ?」
「うん、全然!」
笑!
「ソコは『ううん、寂しかったよ~♡』だろ、お前のキャラ的に!」
「テヘペロ!」
爆笑!
前トークが盛り上がり、午前中にRioさんがいなかった事へのマイナスイメージはプラスに変わった。
一部のありすファンが
「撮影会Rioバックれ」
と、ネットに書き込んだ所為か午後の撮影会に冷やかしに来たアンチもいた様だが、それ込みで大盛り上がりだった。
結果、サービスで本来二人別々の撮影の予定が、ラストの10分だけ、ありすサンとRioサンの特別ツインズ撮影会となった!
「アニサキス…か…。」
先日、俺がおでん屋で話した、同居人が夜中に騒ぎ出したちょい昔の体験談みたいだな?
偶然かな?
ん、でもあの話しはシオタさんやオオタくん、しおりんにも話した事があるな?
確か回転寿司屋で?
「やっ!理央さん、そろそろ時間です!
今からタクシーで三十分ぐらいでお店に付けますから!」
「分かった!今日はありがとね、しおシオコンビ!」
「何か嫌だな、そのユニット名?」
「「ツインそると」って呼んでください。」
「分かった~じゃあ後で~
、twin SALT!」
変なテンションの理央さんとしおりチャン。
「…twin salt…かぁ?
ソレ、サークル名にする?」
何気に一緒に同人やろうと誘っているシオタさん、
「理央さんも誘って、三人でやりませう?」
今日の様子を見て、イケると踏んだしおりん!
「ココのサークル主にもご一報しないと。」
元々は今日来る事の出来ないその人のおかげなのだ。
サークル「ノラ猫屋」のサークル代表古森さんには本当にお礼しないと。
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