もう一人の【ケンちゃん】 〜ウソがホントかわからないのでみんなに話して見た件。

猫寝 子猫

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よくある話。

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 俺の最大の親孝行は、母が亡くなる前に嫁になる女性に合わせられた事。

 (➕結婚前に我が家へ転がり込んで、同居が始まってしまった事?)

 最大の親不孝は母が生きているウチに結婚出来ず、俺の子の顔を見せられ無かった事。

 (一応姉さんの子供たちがいるから、孫の顔は見れたけど。)


 嫁は俺の母の事を【本当の母】の様に慕ってくれていた。

 母の葬儀の時は最初こそボロ泣きしていたけど、【喪主の妻】役としてしっかりと立ち回ってくれた。

 皮肉にもコレがキッカケで、嫁は町内で【木田サンちのお嫁さん】として、顔が広まっていった。



 この場所から巣立って行く人もいれば、終の住処に選んで住み着く人もいるのだ。


 ウチの姉や嫁の様に…



 「一度出ていった人が戻って来た時、ソレなりに噂になるんだよね?」


 「何の話しだ?」


 その晩は嫁と【深夜アニメ】を見ていた、お互いの【推し】の声優が出ているので、必ず一緒に見る事にしている。

 
 見ていたアニメは【異世界モノ】で、旅を続ける勇者パーティーの珍道中で、その回はパーティーメンバーの【剣士】の故郷にたまたま立ち寄る話しだった。


 「この剣士ってさ、【原作小説】だと【孤児】でね、村で虐められてたハズなんだけど、アニメでは【タダの悪ガキ】なんだよね?

 どう改変したのかなぁ?」



 「…原作? …改変?」

 「元はネット小説なの、だから出版社から本として販売された時に【不適切】だって判断された部分はよく【改変】される事があるの。

 丸々カットされたりもするよ、【全年齢】として発売されてるのに、同性から見て引いちゃうシーンとかね?」


 嫁は俺よりディープな作品を知ってたりする。

 俺は比較的【ユルいオタク】なのかも知れない、異世界モノはコミカライズやアニメでしか見ていないんだよな。


 嫁は高校卒業後、直ぐに家を出てそれ以降実家には帰っていないらしい。

 当時、結婚の承諾をいただこうとご両親に挨拶に行きたいと言ったら、


 「それ要らないから、両親離婚してるし、既にお互い別の人と結婚してて、実家そのモノがもう残ってないのよ。」

 と、冷めた事を言われた。


 「寂しい事言うなよ、せめて結婚するって報告はしておくとか?」


 「そうしたくても、連絡先知らないんだよね?」


 こんな状態だったから、唯一連絡が取れた叔母夫婦にご挨拶に行ったくらいだ。

 後に叔母さんから連絡が行ったらしく、

 『ご結婚 おめでとう御座います。』

 って、とても簡素な祝いの電報が両方から届いた。


 孫が生まれても、連絡必要無いかもな。



 話しが逸れたが、アニメでは勇者パーティーの一人になった【剣士】の歓迎会を村長が開くのだけど、過去に受けた仕打ちを忘れていない【剣士】が村長の【秘密】を暴露して大騒ぎになっていた。


 「…何か無理ないか?

 村長が実はズラだったとか、原作はもっと大きな秘密なんだろ?」



 「…村長が父親なんだよね、【剣士】は女奴隷が村長に乱暴されて出来た子なの。

 だから、村の奴隷は【剣士】の兄弟だったりするのね、お母さんはみんな違うけど。」

 ソレもなんだかな?


 「…いっそ、この話しそのモノをカットするべきでは?

 ワンクールの中で、必要有ったか?」


 原作では【剣士】の初恋の女の子が村長の娘で、そのをやりたかったらしい?


 「…私さ、父の違う妹と母の違う弟がいるらしいのよ、

 会った事ないけど。


 きっとその子たちと上手くやれるとは思えないんですけど?

 お義姉さんとエリちゃんみたいには出来ないと思う。」


 嫁と妹は本当の姉妹の様に仲が良い。

 時々【ペアルック】とかしてるし?


 「…あの話しってさ、【お母さん】なんでしょ、ストーカーの正体って?」



 …偶然にもこのアニメで回復役の【女僧侶】を演じていたのは、妹の親友だった。



 「…コレ内緒な、彼女の母親さ、不倫していたらしく彼女が三歳ぐらいの時に相手の男と失踪したんだ。」


 なんでも母親の実家は父親の実家に相当な借金があったとかで、父親の方はそんなつもりは無かったが、中々結婚出来ない息子の為に【お見合い】の話しを先方に持ち掛けたそうだ。

 「…母親には当時付き合っていた人がいたらしいけど、強引に親たちがまとめたらしいね、

 多分、一緒に逃げた男は当時の恋人らしいって、あの子にはお母さんは亡くなった事にしてるって言われたよ。」


 ソレが彼女の父親から聞いた真相なんだよな。


 娘を陰から見守っていたのか、ソレとも連れ去ろうとしていたのか?


 「その後さ、【カオナシさん】が子供を誘拐しそうになったって噂が広まってさ。」


 「そんな人じゃ無いんでしょ?」


 「もちろん、たださ、馬鹿な小学生が広めちゃうんだよ、いくらやめなさいって叱ってもね。

 まぁ大体の大人は分かってるから、本気にしないけど、当時は大人になりきれない大人がいてさ?」

 【カオナシさん】、何にも悪い事してないのにね?


 「なんか【口裂け女】の噂みたいだね?」


 「結局引っ越したよ、その後に安達荘が建て直しになったけどね。


 でさ、結局捕まったらしいんだよね、彼女の【お母さん】がさ。

 不審な女性がいるって通報されて。」


 「え、マジで?」


 「彼女のお父さんのところに、身元の確認とかで交番から連絡が入ったそうで…


 まぁソレで弁護士を交えてさ、彼女に二度と近付くなって事になったそうだよ。」


 「…もしかして、【カオナシ】さんの悪い噂を流していたのは、の青木くんかな?」


 「いんや、別にもたくさん居るんだよ、【馬鹿な小学生】はね。」


 【口裂け女】にしろ、【人面犬】や【小さいおじさん】など、色々と謎の存在が噂されてる。

 何かしらになっている存在がいるんだろう?


 でもその真相はのままが一番良いのかも知れない。



 アニメが終わり、トコにつく。


 何故かその晩は久しぶりに頑張ってしまった。


 「…赤ちゃん、出来てるといいね。」

 「…そだな。」


 俺たちの子は、変な噂を広めない賢い子に育てよう、オタクにはなるかもだけど?


 それからしばらくして、例の雑誌がコンビニに並んだ。

 本当にあった芸能人の心霊体験⁈

 こんな感じの本が!


 まぁやや名前が知られてる芸人やグラビアアイドルが多い中で、声優の体験談は彼女を含めても二人だけだったので、購入しようか迷っていると、


 「今度は買わないの?」


 「おわっ⁈」

 また彼だった。


 「取材の時さ、

 『あの、何処かでお会いした事ありませんか?』

 って聞かれたらから、隠さずの友達だって答えたよ。」


 「ちるるん先生としては、会った事ないんだ?」


 まぁ買って帰ったけど、家で読んでびっくりした。


 ははぁ~ん、英理だな?



 「えっ、うん、そうだよ。

 あの子に【上野のおばちゃんカオナシさん】の事教えてあげたのは。

 だって、私 上野のおばちゃんの事、大好きだから!」


 そうだった、上野のおばちゃんはよく妹の英理のことを可愛がってくれていた。



 芸能人の心霊体験漫画は、営業先で泊まった旅館で幽霊が出たとか、友達と心霊スポットに肝試しに行って怖い目に遭ったとか、よくある系のモノから、付き合ってた人が所謂見える人でこんな事が有ったから別れたとか、そんな感じだった。

 収録スタジオで自分たち以外の人の声が録れてしまうと言うベテラン声優さんの次に彼女の体験談を読んだ。


 彼女は子供の頃、ストーカーから助けてくれたのは【カオナシさん】だと知っていたそうだ。

 友達の家によく来ていた優しいおばさんだとも。

 口の悪い男の子がそう呼んでいただけで【口裂け女】の様な存在ではないと。

 後に怪我の治った恩人に再会してお礼を言ったとも描かれていた?

 ただ、

 「私が子供の頃に、この付近では子供が行方不明になる事件が時々有ったんです。

 だから、あの時カオナシさんに助けてもらえなかったら、私、今ココに居ないかも?」


 そう締めくくっていた。


 子供の行方不明?

 【地蔵巡り】の事だろうか?

 幼い彼女をの陰に隠れてつけ回していたのは実の母では無く、ましてやカオナシさんでも無い、大柄なだった様な気がするとなっていた?

 漫画はタダの不審者だったかも知れないとされていたが、もしかして彼女は薄々真相に気がついたのかも知れない?

 「…多分ソレ、その男の人って、ウメザワさんの長男じゃない?


 あの人、ロリコンだし、女の子にイタズラして、確か捕まったんだよね?」

 妹もつけ回された事があるらしいが、上野のおばさんがしてからは現れなくなったそうだ。


 ウメザワさんとは昔、この辺りの地主の一人で、現在は所有する土地を全て売却して、別の土地で暮らしている

 では、捕まって刑務所なのか、更生施設なのか、精神病棟なのかは知らないが何処かで監禁されてるそうだ?

 地主の息子だから好き勝手出来た時代ではもう無いしね。

 でも、確かにそう言う風潮があの頃まだ有った様な気もする。

 区画整理以降、急速に無くなった様な感もあるし。


 ってコレ心霊体験じゃないよな?



 「アレはさ、最近売れ行きが落ちてて、人気声優の話しを取り上げようとなったらしいけど、良いのか無くてさ。

 ソレで、強引にああなってしまったんだ。」


 そう言うと苦笑いするフナさん、今回の雑誌の売れ行きは割と良かったらしい。

 
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