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やっぱり、猫が好きなんだね。

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 子猫が皆んな貰われていったよ、るるる~♪


 そんでもって、ルナさんは燃えつき症候群だ?




 「か~わ~いい~子猫~、もらわれてい~く~の~、るるる~元気でね~♪」

 …ご、ご苦労様でした、ルナさん!

 なんか責任を感じてしまうのだが?

 「るるる~、あのねケイちゃん?」

 「は、はい、何でしょうか⁈」


 「わたし、子供が出来たら、すごい子煩悩なママになれると思うんだよね?」

 何アピールですか、ソレ?


 「そ、そうですね!」

 何だ、割と平気そうだぞ?

 もしや、コレは?

 「子供だなんて~、思…言い出して、そろそろ結婚ですか?

 そうだ、前に弟サン紹介してくれるって言ってたじゃないですか?」


 子猫の事から話題を反らそうと、思ったんだけどさ⁈


 「うぅう、その事なんだけどね、ヒデのヤツがさぁ~⁈」

 「ヒデ?」

 なんだ、惚気か?

 「うん、あっ?

 あの、ヒデって弟の事なんだけどね。「西島 秀季」っていうのね。」

 やめてと言っても、もう遅いくらい嬉しそうな顔で話し出すルナさん?

 「ヒデキさんですか。なんかカッコイイお名前ですね。」


 弟サン情報が聞けて、ケイタ感激です。


 「アイツ、子供の頃から手先が器用でねぇ、
 今は銀細工シルバーアクセ職人なんだけどさぁ、暫くデザインの勉強しに、NYに行ってくるって、行っちゃったのさ!」

 「…ロックなヒトですね?」


 やべ、藪蛇だったかもしれん?


 「どんな人なんです、写メとか有りません?」

 「あるよ、ちょっと前のだけど。」

 てっきり、ルナさんと金髪ピアスのヤンキーな兄ちゃんのツーショットなのかと思ったら?


 「…えっと、誰がです?」

 スマホにはルナさんと小~中学生ぐらいの男の子3人、そして俺くらいの背格好の青年が幸せそうに肩寄せ合って写ってる?

 「もう~、コイツに決まってるでしょ、まぁ他のちっこいのも弟だけどね。」

 なるほど、スマホの中のヒデさんは純朴で真面目そうな、とっても子供好きで、それでいてちょっと恥ずかしそうに歯に噛んだ表情がイケメンの好青年っぽい。

 「…飾り細工のヒデさんですかぁ…?」


 夜中、房のついた簪を咥えたりしてそうな…いやいや?

 「そ、ソレでどの位でお戻りで?」

 「ん、長くとも一年だって、向こうにいる友達の所で色々勉強するって?」


 アバウトな説明だけど、大丈夫か?

 友達って、お花屋さんかな?

 棺桶職人かもしれない?


 長くて一年なら、短くて来週辺りに帰られたらイイですね?

 「こっちの弟サンたちは今どうしてるんです?」

 「知り合いの叔母さんの所で、元気にしてるよ?

 ってヤツかな?

 イイ人でね、本当のお母さんみたいで、三人とも懐いてるよ。

 だから安心してお任せてしてるんだ。

 一番下はね、ピカりんと同じ歳なんだよ。」

 ルナさんとは割と親しい関係だと思ってたけど、プライベートな事はあまり知らなかったな?

 色々聞けて嬉しい…んだけど?


 後で分かるんだけど、今ルナさんの中では、この五人が兄弟だって思っているそうで、は他にも何人かいるそうだ?

 その人たちは【戸籍上の父親】に気に入られる事を一番に考え、ルナさんたちの事を冷遇していたとか?

 以前ルナさんが「子供を産むだけの道具…」なんて言っていた事を思い出した?


 ルナさんの所も姫乃さんの所みたいに複雑な事情があるみたいだ。

 「…で、でもヒデさんが帰って来たら、結婚ですよね?

 お、お楽しみじゃないですか!」


 「…ソレがね、そうでも無いんよね?」


 「へ?なんでです?」

 ま、まさかの破局か?

 「…あ、あのさ…プロポーズね、さりちった。

 別の人から。」

 !

 「な、なんだぁ、可愛いじゃないですか?
 で、どの子ですか?
 この弟サンですか⁈」

 あえて光里と同じくらいの男の子を示すと、


 「コラ、弟たちじゃないよ!

 まぁソレはソレで嬉しいケドさぁ?

 
 本当はさ、よく一緒に仕事するカメラマン見習いにさ…

 ソイツが、一人前になったら付き合ってくれって、告られた。」


 「…重いっスね?」


 「まぁね、な奴でさ、だけど色々と頑張ってるから、励ましてやったり、悩み聞いてあげたりしたんだけど、ソレが不味かったかなぁ?

 勘違いさせちゃったかもね?」


 「デスね、完全に。

 で、断ったんですよね?」

 「ソレがさぁ…私が返事する前に、走って逃げたんよ。

 その後、会ってないのよ。」

 「何処の青春ドラマですか⁈」

 めんどくさい奴だな、オイ⁇


 「どうしたらイイと思う、ケイちゃん?」



 何とかしよう!


 
 咲さんの協力で、その見習い君のアパートを突き止めた⁈

 さすが相良グループの情報網だ?


 「よし、突入だ⁈」


 「…どうして僕はココにいるの?」

 「…ですよね。」


 助っ人にカズ兄さんと昴を呼んだ。


 「いや、俺一人では不安なんで?」




 見習いくんはプロポーズ翌日から、何故か体調がすぐれないとお仕事見習いのバイトをお休みしているそうた。

 多分、ウソだな?


 部屋の前まで行き、ドアをノックする。

 「すいませ~ん、ハシモトさ~ん!
 電気メーターの点検なんですけど~、漏電してるみたいなんで調べさせて下さ~い!」

 「京多くん、不安とか言って、やる事大胆だね?」

 「基本、直感で行動するヤツなんです、昔から。」

 「スバル君も苦労してるんだね?」

 「一真さんもですよ。」

 ガチャ。

 「は、はぁ、どうぞ…って、君たち誰だ⁈」

 部屋から顔を出したのは、ウチの兄貴と同年代の、ぬぼっとしてとぼけた顔した男性だった?

 カメラマンって言うから、もっとイケてる風貌を想像していたんだけどなぁ?

 「LUNAさんに頼まれたモノだ!

 神妙に縛に付け!」




 …数分後、


 「…そうですか、LUNAサンには結婚を約束されてる方がいたんですね…

 ハハハ、ハァ~⤵︎

 そうですよねぇ、あんな素敵な人に恋人とかいないハズ無いですよねぇ…。」


 ハシモトさんは良い人だった。


 部屋に強引突入し、身柄を確保してコレまでの事情をに説明したら、納得してくれた。

 本当に体調を崩していただけだった……んだよね?

 決して、プロポーズしたはイイが、その先の事を考えておらず、ルナさんと顔を合わせ辛いとかでは…無いんだよね?

 「まぁコレに懲りず、新しい出逢いを探してくださいね、カメラマンでしょ?

 仕事先で、可愛い子や綺麗な人と知り合う機会は多いじゃないですか?」

 一応、励ましてみるけど…

 「…実は、どうしてもカメラマンになりたくて、家出同然で実家を飛び出して来たのだけど。

 今の先生カメラマンに半ば無理矢理弟子入りしたまでは良かったんだ、でも才能とかセンスとか無いみたいな事、言われてるみたいなんだよね…?

 だから、ワンチャン狙ってLUNAさんに告白したんだ、ダメなら故郷に帰ろうかなって、考えてたんだけどね、もう一度頑張ってみようかな。」


 真面目なのか、不真面目なのか、わからん人だな?


 「随分と弱気ですね?
 言われてるみたいって、実際にご自身で聞いたのですか?」

 カズ兄さんがイラつ……心配して、訊ねると、

 「えっと、「実家、北海道だって? 景色良いんだろうな、今度写してこいよ。」って言われて、

 コレ、遠回しに故郷に帰れってことだよね?」

 「そうなのかなぉ?

 どう思います、カズ兄さん?」

 「え、えっと、何とも言えないな、実際にその場に居ないと判断出来ないかな?」

 「昴はどう思う?」

 「この部屋、何にも無いんですね?」

 「今言う事なん?」


 確かにハシモトさんの部屋には、カメラマンを目指すとか言っていたのに、布団とかカップ麺の容器しか無い?


 「カメラはどんなの使ってます?」

 「無いんだ、まだ。

 バイト代、生活費でほとんど消えてしまうから…」


 …実家、帰ったら?


 …カメラかぁ?

 「あれ、この間のガレージセールで型は古いけど一眼レフがあったな?

 確か売れ残った様な?」


 「え、えっと、幾らぐらいかな?」


 「500円ですけど?」


 「なんだ、オモチャか?」

 ガックリするハシモトさん。

 すると昴が、

 「オモチャでもイイじゃないですか、カタチから入るのも、大事な事です。

 オモチャでも手元に置いて、自分の目標を忘れない「証」にするんですよ!

 いつか本物を買える時が来ますよ!」

 オイ、お前コレ以上は面倒で、無理矢理話しをまとめようとしているな?

 ルルル~♪


 でもね、そのカメラさ、斗真サンが、

 「俺、カメラは趣味じゃないから。」

 って、持ち込んだモノホンなんだよね。




 「こ、これ、キノンのE500 fじゃないか!

 しかも海外モデルだ⁈」

 あ、やっぱりイイもんなんだね?

 ウチのログハウスで実物を手にしたハシモトさん、びっくりして喜んでいた、ザマァ見たか!


 「高いんですか?」

 「多分?」

 ちょっとお疲れ気味なカズ兄さん?

 俺たちは無理矢理、ハシモトさんを連れてきた。

 実はセンキさんに車を借りて、ハシモトさんのアパートに行っていたので、そのまま拉致って来たのだ!

 最悪、飯でも食べさせて元気付けようと考えていたんだが?


 「コレ、持ち込んだの斗真兄さんだよね、確かどっかの社長から誕生日プレゼントで貰っていた様な気が…?」

 ってカズ兄さんが失笑していた。

 「…普通に売った方が儲かるな?」

 昴が大変もっとな事を言ってくれた、そうするか?

 「当初の目的を根底から覆さないで!」

 慌てるカズ兄さん⁈



 「冗談ですよ、

 で、買いますか、ハシモトさん?」

 「か、買うよ!」

 


 ちなみに本当の目的は、ルナさんと直に会って、綺麗にフってもらう為にココに連れて来たのだ!

 「折角の良いカメラなんだ、何か撮影しませんか?」

 「撮影?」

 「今、母屋には我が家自慢の美人姉妹たちが晩飯の用意をワイワイやってますからね、ハシモトさんも食べてって下さいよ。

 その後で記念に撮影とかしていきませんか?

 いいモデルさんが揃ってますから!」


 そう、人妻から幼女、いや幼児か?



 半ば騙す様なカタチになってしまったが、まぁいいだろう。


 俺たちは場所を移動した。


 チョー可愛い妹や姪っ子の尊い萌え写真を撮らせてやろう!

 じゃない、サプライズでルナさんに会わせて、引導を渡すんだった?
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