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えっと、殴ってイイですか? イイデスよね?

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 どうしてもカメラの元の値段が気になるらしく、

 昴がネットで調べてみると、

 「あの一眼レフカメラ、販売当初は12万ぐらいしたらしいけど、なんでも限定生産品でマニアに人気らしい。
 
 中古なのに15~17万とか値が付いてるみたいだね?」

 微妙だな?

 ってか、当時っていつだよ?

 斗真さんが誕生日プレゼントで貰ったとか、カズ兄さんが言っていたけど何歳の時の話しなんだ?


 「…何だ、オウジ一匹の値段にも届かないのか、大したことないなぁ?」

 俺は素直な感想を述べる。


 「京多クンは、なんでも猫基準なのは分かっていたけど、ソレでオウジくんを引き合いに出すのはどうなのかな?」

 カズ兄さんが呆れて顔を顰めている?

 確かにオウジに失礼だったな?

 ごめん、オウジ!


 「それじゃあ失礼を承知で聞くけど、オウジ君は一体ぐらいするんだい?」

 最近のカズ兄さんは義理の兄と言うより、歳上の友達みたいでお互いが無くなってきた?

 「最初は25万だって祖母ちゃんから聞いてますよ、同じ容姿のアメショなら今の相場なら20~30万ぐらいかな?

 スコテぃも20万ぐらいなんですけど、耳が折れてる折れてないでが変わるんですわ?」

 親猫がキャットショーとかで何か賞とか取れば、その価値はかなり上がるけどね?


 「希少価値かぁ、オウジ君とヒメちゃんと仲良くしてもらってる身としては、何か嫌だな?」

 だったら聞かなきゃいいのに?


 以前、オウジが吐血した事があったが、あれはアメリカンショートヘア特有の【多発性嚢胞腎】と言う病気が原因なんだけど、

 他にもスコティッシュフォールドには【骨軟骨異形成症候群】と言う関節や骨に異常をきたす遺伝性の病気が有る。

 酷いと関節周りに「コブ」が出来て、歩けないケースも有るそうだ。

 しかも折れ耳の個体は、かなりの確率で発症する様だ。

 そういう事ならオウジは発症する確率は低いだろうけど、遺伝性なので安心は出来ない。


 今のところは大丈夫だけど、どんな猫でも「尿管結石」とか「腎臓病」なんて病気に気をつけてあげないといけない。

 「定期的に行っている健康診断なんかの費用も含めると、カメラなんて安い安い!」

 (いや、カメラだって、日々のメンテナンスとか、維持費がかかってますよ、京多くん⁈)カズ兄さん、心の声)


 「皆さん、夕食なんですけど、もう少しかかるので、広間で待って居てもらえますか?」


 「す、すいません、姫乃サン!

 急に大勢連れて来て!」


 その通りだ、急に人数が増えてしまったので量が足らないとかで、追加してくれてるらしい?

 姫乃サン、そしてタカ姉さん、本当すいません!

 明日菜姉さんも手伝えよな!

 

 なので、俺も手伝おうとしたら、


 「京多サンは座って待っていて下さいな、出来れば愛チャンと遊んであげて下さい。」


 …エプロン姿の姫乃サン、髪も後ろで束ねて、初々しい「新妻」っぽい…

 イイな、こういうの。



 「んじゃ、待ってる間、ウチの可愛い姪っ子をモデルに写真撮って下さいよ、ハシモトさん!」

 俺はカメラを眺めて悦に浸っているハシモトさんを現実に引き戻した。

 「え、えっと、そうだね?

 うん、撮影させてもらおうかな?」


 俺は隣りのリビングで愛チャマと遊んでくれてる光里とに声をかけた。


 (アレ、ルナさんがいない?)

 「えっ!

 お写真撮るの?

 光里も写してよ、ルナちゃ~ん、写真撮影するんだって!」


 「えぇ~?

 ル、LUNAさん?」

 「妹の友達です。」


 嘘は言ってないよ。

 「アレ、ルナちゃんおトイレかな?」


 家にはいるらしい?

 さっきまで居たらしいのだが、まさか台所か?


 まぁそのウチ現れるだろう?


 「ねぇ、はカメラマンさん?

 まもちゃんとおんなじだね!」


 「ま、まもちゃん?」


 相変わらず光里は可愛い!

 天使の様な笑顔でハシモトさんに微笑みかけ、物怖じせずに話しかけた。

 「そう!

 あのね、まもちゃんは「風景写真」専門のカメラマンさんなんだけど、時々光里や愛ちゃんの事も撮影してくれるんだよ!」

 「へ、へぇ、そ、そうなんだね?」

 光里と正反対でハシモトさんは何か辿々しく光里と話している?

 子供が苦手なのか?

 こんなに可愛いのに⁈


 とにかく、光里と愛チャマのプチ撮影会が始まった…

 のだけど、


 「あ、あの、目線こっちで、

 いや、そっちじゃなくてコッチね?」

 「皆さん、お待たせしました。

 お食事の準備が出来…

 タカシ…兄…さん?」

 
 タカ姉さんの顔が硬直した?

 兄さん?


 「アレ、お前…貴子か?

 お前、何でこんなトコロに?


 あの風来坊と駆け落ちしたんじゃ…」


 駆け落ち?

 いやいや、ウチの母さんがちゃんと、のお母様から、

 「娘をよろしくお願いします!」

 と、頼まれてますがな⁈


 「兄さんこそ、万作兄さんと協力して、牧場を盛り立てて行くって…、
 
 そ、そうよ、結婚は?

 優里ちゃんとしたって⁈」


 おや~?

 なんか、おかしいな?

 婚約してるのに、ルナさんにプロポーズしたのですか、この人?


 ってか、タカ姉さんのお兄ちゃんなら俺らに取っては、ご親戚だよね?


 「あぁ、アレか?

 お前の友達で、「花園チーズ」の娘だろ?

 やっぱり、俺とは合わないから兄貴に譲ったんだ。」


 「そ、そんな⁈

 優里ちゃん、兄さんと婚約したって、嬉しそうだったよ?」


 …何だろ、急に殺意みたいなモノがムラムラと…

 「う、うるさい!

 俺はカメラマンになるんだ!

 そう決めたんだ、だから彼女とは結婚しない!

 牧場も兄貴で続ければいいだろ!」


 「ウワァーン、ワァーン‼︎」

 ハシモトが急に大声を出すので、驚いた愛ちゃんが泣き出してしまった⁈

 日頃、俺たちがそばで大騒ぎしても、

 「キャッキャッ!」

 と、喜んで一緒に笑っているのに?

 実際、こんなに怯えて泣くのは、初めてだと思う?


 ……ダダダダっ!


 「「「誰だぁー! ウチの愛を泣かしたのはーー!(弩怒)」」」

 台所から包丁を握ったまま現れた明日菜姉さんと、

 自室で漫画の仕上げに夢中になっていた京香母さんと、

 洗い髪が乾き切っておらず、バスタオル一枚巻いただけのルナさんが、橋本兄妹の修羅場に乱入して来た!


 なんだルナさん、姿を見ないと思ったら、バスタイム中でしたか?


 「る、LUNAさん、何故ここに?

 いえ、なんて格好何ですかっ⁈」

 「ハァ、ああぁん?

 なんだ、じゃないか?

 カッコなんて、どうでもいいんだよ!

 ソレより、愛ちゃんを泣かしたのはお前…ん?

 何でタカちゃんも…

 ハッシィ、お前が泣かしたのか、オイ?」


 「えっ、いや、貴子は俺の妹で、だから⁈」

 「「妹に泣かせれる事は有っても、妹を泣かす兄キは、いねーんだよっ!」」


 ルナさんの【ローリングソバット】が奴の顔面に決まった!

 俺も言うつもりだったが、明日菜姉さんとルナさんのハモリを邪魔したくなかったので、耐えた。


 その後、興奮冷めないルナさんを姫乃さんが脱衣所に連れていき、服を着せてきた。


 「もう、ルナさんったら!

 女の子はエレガントに!」

 「大丈夫だよ、姫ちゃん!

 パンツははいてたから!」

 「そういう問題じゃ有りません⁉︎」


 どっちが歳上なんだか?


 ソレにしても、なんなんなんだ?

 初めは同情して、色々してやろうと思ったが、なんかコイツ最低ヤローっぽくない?

 …もしかして、アチラのお家に愛ちゃん誕生のお知らせをしたのに、残念な塩対応だったのは、まさかこの人の所為か?


 ルナさんがKOした馬鹿兄を空き部屋に寝かせて、目を覚ますまで放置プレイだ⁈

 どうだ、この見事な掌返し!


 「光里、あのオジサン嫌い!

 カメラマンさんって、まもちゃんみたいに優しいばっかりじゃないの、お姉ちゃん?」

 「カメラマンにもいるの、まもちゃんはその中でも特別優しいヒトなのよ。」

 明日菜姉さんが傷心のタカ姉さんを休ませる為、普段愛ちゃんと寝ている部屋へ付き添って行った。


 この家には女の子が多い。
 
 愛ちゃんのお世話を女子みんなでお手伝いするからと、コチラの家で過ごしてもらっていたのに、

 俺があんな馬鹿兄を連れて来た所為で、タカ姉さんには本当申し訳ない事をした。


 その後、母さんが北海道のタカ姉さんの実家に連絡した?

 案の定、知らせを受けてアチラさんは大騒ぎしているそうだ?

 「大体事情がわかってきたよ。」


 そう言った母さんの顔はめちゃくちゃ怖かった。



 …もう、最悪だよ⁈


 


 ※以前、「子猫の値段」について登場人物が色々「相場」を語ってましたが、2023年5月頃の資料を参考にしていましたので最新では有りません。。

 現在はもう少し下がってきたそうです。

 ほんの2年前はコ○ナ禍の影響により、現在の1.5~2倍の値段だった時期もありましたので、子猫や子犬の購入をお考えの方は今がオススメです。

 


 
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