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続•続森猫のリリちゃん、一日店長日誌?副店長は二葉じゃないの? 〜萌えるリリ、燃える二葉、燃えるニャン−バロン!
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『あのさ、兄さん?』
それは昼時、
店長代理をさせている褒美にそろそろ昼食にスピカで「何か」食わしてやろうと、誘いに来たのだが、
『ん?何だ、
バイト代は出ないが、昼メシ代とオヤツ代は持つよ?』
『そじゃ無いのよさ。「この店」の事なんだけどさ? あ、バイト代、華が出すからね、「タダ働き」は違法だからって。』
『ハイハイ、分かったよ。
って、おいおい、ナニ見つけた?』
おっきい方の娘たちが猫カフェを始めた。
今は別件で接客が滞り始めたので、華にはナイショだが山王院のメイドからも「希望者」を募り、
「派遣会社からの臨時社員」
として、手伝いに来てもらっている。
始め、店長代理も「十六夜 灯火」に頼むつもりだったが、既に「マスコット」的な認知度で、普通に任せても、周りから「一日店長」ぐらいの扱いになりそうでやめた。
すると優斗が、
『お父さん、それならウチに「適任者」がいるよ!お父さんと同じく、「色んなお仕事」を経験していて、「小説のネタ探し」をしている「短期バイトの達人」が!』
いたな。
で、こうなる。
『何か「こうなる」のか、知らないけど? コレ、ちょっと凄くない?』
過去に、シネコンで案内係とか、パチンコ店で玉運びとか、スーパーで「お刺身」切ったり、「お寿司」握ったりとか、工場でお菓子の袋詰めとか、
フリーペーパーの編集者とか、
激安で仕入れた「B」とか「C」とかの輸入海外映画の「和訳」とかetc…
『ソレはほっといて! 今私が知りたいのはこれよ、コレ!』
パソコンの画面と、販促品で貰ったB5のノートの中身を見比べては、問い詰めてくる!
『ここに、「森猫」に出資してくれた「人物」や「団体」が記録されているんだけど、私の記憶と違っている事が有るのよ、お分かりかな、「お兄ちゃん」?』
そこに気が付くなら、もっと売れる小説書けよな、作家さんよ。
『私、二葉やリリも姪か娘だと想って愛して接しているのよ。
だから、何か隠しているなら聞いておきたいんだけど?』
右手でノートを団扇の如くパタパタさせて、
『パソコンのデータ上ではリリちゃんパパが「森猫」に毎月定額で出資してるけど?』
『か、株主みたいな?
その辺は華か悠佳里くんに聞きなさい。』
『そ。リリちゃんパパが出資しているのは認めるのね。
でも「リリス・アーガマ」がリリちゃんの本名って、記憶してるんだけど、
だよね?』
『そりゃ「ミハエル・アーガマ」の一人娘だし、
「アーガマ商会」のご令嬢だぞ。
アイツだって可愛い娘に良い所を見せたい訳だろ?』
『ハイ、ダウト!』
『ん?だうと?』
『リリちゃんパパの名前が「ミハエル」さんなのは知ってるわよ。
義姉さんから高校時代の先輩後輩の付き合いだって聞いてるし。
当時、ウチに遊びに来た事もあったよね?
何となく覚えてるよ。
でもね、この「ノート」の走り書きに
「ミハエル・フォン・アルカジェフ氏より」って、何回か出てくるの。』
誰だ、あんな「キャットフード」の販促品で貰った様なノートに書き残したのは?
『額面上の細かい数値なんかを、照らし合わせて見ると、恐らくはこのノートを見て、データを入力していた様ね?
名前と言うか、「家名」は「留学中に日本で使っていた偽名」に修正して。
それに「ミハエル・フォン・アルカジェフ」の「フォン」って何?
一体、リリちゃんパパって何者?
まさかのヤバい人(政府要人)とか?
リリを「優斗の嫁」になんて待って無いで、さっさと
「お兄ちゃんの養女」にしなさいよ!いつもと同じでしょ!
何なら私が!』
『落ち着け!
養子縁組の話しはいずれはな。
でも今はコッチもアッチもタイミングと言うか、
複雑な事情が有るんだよ!
「国際情勢的」に!』
『本当に何者なの?「リリちゃんパパ」って!』
『今は教えない、その内に「コッチ」に来るから、本人に聞いてくれ。』
『アレか?KGBとかMI6とか出てくる系の話し?「パタ●ロ!」の初期の話しみたいな?』
『ミハエルは美少年キラーじゃないぞ?』
『言ってないって!』
さて、ビル屋上にて
『あ!お姉ちゃんだ!』
『こんにちは、天馬くん。バイクルもご機嫌よう。』
『ご機嫌ようなのだ、天ちゃん!』
屋上のベンチテーブルでお弁当を食べていると、愛犬に跨り、羽柴家ご長男が現れた!
彼も「お弁当」を持って来ている。
それなら仲良くお昼を食べよ。
『天馬くん、私たちと「お弁当」食べましょう。バイクルや鈴さんもご一緒に!』
『わーい!いっしょ、いっしょ!』
『わん!』
『ふにゃ~ん!』
『『あ、虎丸なのだ、』ちゃんですの。』
どうやら、二葉たちについて来た様?
『虎丸ちゃん、また脱走しましたわね!』
『虎丸は「自由猫」なのだ、「森猫」のヌシなのだ。』
「森猫」の古株、「虎丸」は元々、北代家にご飯を食べに来ていた「地域猫」だった。
いつからか「ふらり」と通い始めて、「福」や「アルファ」とも直ぐに仲良くなり、当然の如く室内にもお邪魔する様になった。
試しに「森猫」のスタッフネコになってもらうと、忽ち人気猫となるも、「脱走」の常習犯になる、どんなに気を付けていてもだ?
『妾の「お弁当」は!』
とても悪戯好きで遊び好き、ロマンチストで寂しがり屋の妖精さんがお食事をご所望で有る。
『これですわ!』
あんなに何処に入るのか?
二葉が取り出したのは、
「普通の人間サイズ」のお弁当箱に「鈴ちゃんの!」と書いた紙が貼って有る!
天馬くんは腕白で羽柴のパパママは忙しい、なら妾はこの「娘たち」に飯をタカるしかあるまい。
(十六夜ちゃんみたいですわ!)
羽柴ビルの屋上は関係者以外でも立ち入りOKなのだけど、
エレベーターでは直接行けない、三階までしか行けない様に設定されてる。
四階から上は、羽柴家の「お家」や、各お店の従業員の休憩室や倉庫となっているので、普段は三階から階段で四階に移動して、四階から別のエレベーターで屋上や各階に移動している。
なので、その辺を理解した人しか屋上庭園にはやって来ない。
『リリちゃん、お姉ちゃん、今日はニャンコのお店に来たの?』
『天馬よ、二人は遊びに来たのでは無い、仕事をしに来たのじゃ!』
『何故、鈴ちゃんが偉そうですの?』
『ふむ!妾はこの土塊の守護神なるぞ!』
鈴の存在は、二人とも知っている。
特に二葉は天馬くんが生まれる前からの付き合いだもの。
『働くことは尊い事だぞ!励むが良い‼︎』
『スズリンは偉そうなのだ?何でだ?』
『そんな事言うと、また「毟る」とか言われそうですのよ?』
『「無視」る? 「イジメ」か!イジメは駄目なのだ!皆んな仲良しなのだ!』
微妙に噛み合ってる様な、そうじゃない様な?会話の中、
『ねぇねぇ、お姉ちゃん?』
『ハイ何ですの、天馬くん?』
『今日も舞華ちゃんと大っきなお姉ちゃんいないよ。かわりに「猫のおウチ」のおばちゃんがいるの。なんで? 「てんちょうさん」クビになったの?』
うん、ちがうよ。免職にはなってませんよ⁉︎
ってか、誰だ?
素直な幼児に「変な事」聞かせてないだろうね?
『綾乃さんは、お姉様方がご用事が有って、代理でいらしてるのですよ。
ご用事が終わればいらっしゃいますわ。
それに天馬くんは綾乃さんが居るのがお嫌ですか?』
『ううん、大好きだよ。「猫のウチの叔母さん」は優しいし、
ご本読んでくれるし、アトねアトね…!』
可愛い妹の息子を更に溺愛している様だ。
そこに羽虫、いや羽柴ビルの妖精からクレームが入る
『でも、あの女!妾にはうるさいぞ!やれ「ばいすとんなんとか」だの、やれ「私はとんがり帽子派だから」とか訳分からんわ!』
はぁ~、そりゃ小さなおウチを見つけに行きたい世代ですから?
『リリにはわからないのだ?』
『リリちゃんは「てんちょうさん」のかわり、しないの?』
仲良しのリリちゃんに澄み切ったおメメで聞いてくる天ちゃん。
『舞姉ちゃんの代わり?
ん~? まだ無理なのだ。
でも、いつかは舞姉や華姉みたいになってみせるのだよ!』
『にゃにゃ!』
『わん!』
二匹も応援しているのだろうか?
見るとバイクルは自分の「お弁当」を、虎丸に分け与えている。
二匹の仲は良好の様だ。
『じゃあ、天ちゃんと「きょうそう」ね! 天ちゃんは大人になったら「スピカ」の「てんちょうさん」になるんだもん!』
キャー!天馬くん、可愛いですの!
それならば、天馬くんが店長になった「スピカ」は私が出資しますの!
順也叔父様の輸入経路開拓に協力して「珍しい食材や調味料」を集めてもらいますの!
って、今から策略を巡らせてる二葉ちゃん、逞しい!
『それじゃ、リリは「森猫」の敏腕店長になるのだ!
競争だぞ、天ちゃん!』
偶然にも「未来の猫カフェ店長」宣言してるリリちゃんなのだけど、
実は「森の猫さま」開店計画には既に
「一号店二代目店長」は、
「北代 リリ」にと、組み込まれている。
そぅ、二代目女子高生店長は、すでに決まっているのだから。
『だから、頼む。今は気が付かない振りで。』
『分かった!なら「アルムブレンド」奢りなさい!』
『え~!アレ「時価」なんだぜ?しかも「モノ」が無いと飲めないのに?』
『ソレなら大丈夫!蒼ちゃんに確認してあるから!一昨日、入荷したって!「北アルプスの天然氷」!お早めにだって。』
冗談を折り込みながらお互い落とし所を探っている兄妹。
『じゃあ、俺も飲むか! …で、他は?』
『この事を100%知っているのは?私が面識有る人?』
『100%だと将道さんかな。でも、お前会った事無いよな。』
『誰?』
『お前、名前ぐらい知らなかったっけ?「山王院 将道」、華と二葉の「実父」だよ。』
『高道さんは叔父よね?
やっぱり、山王院が関係してるの?この件って!』
『これ以上はダメかな?』
『よし、分かった!なら私にも「メイドちゃん」世話して!』
『何故に?』
『本当は灯火ちゃんが良いけど、無理でしょ?
なら「変わり種」の娘を世話してよ!ソレで手を打つから!』
いや、以前から俺の妹の専属を希望している「特務メイド」がいるらしいのだが?
『そいつに調べさせるのか?』
『いいえ、助手が欲しいだけ。可愛い子をお願いね!』
やれやれ。
さて、もしかして気が付いている方もいるだろう。
「森猫」に綾乃さんが居ると言う事、
普段、家に居て執筆活動に明け暮れているので、
「猫人赤ちゃん」の面倒見を頼んでいたのを。
愛猫の「ヒメ」が亡くなり、「福」も居なくなって、
気落ちしていたところに、リリ達が連れてきた「ルル」。
生前、母と一緒に知人が運営していた「養護施設」で子供達、特に幼児の世話を手伝っていた経験が有る。
猫好き子供好きの彼女ならば適任と、ルルの事を任せていたのに?
あんなに喜んで引き受けてくれたのに、あんなに一緒だったよね?
今、猫人赤ちゃんは?
♪~Le Le~sleeping~♪
『あぃ、きゃっきゃ。』
『ははは、るる坊はワラシママが気に入った様だな。
どれ、ワシも抱っこしてやろうか。』
『ハイ、お爺ちゃん。お願いします。』
発音機能を追加装備した、通称「北代さんちの末娘」こと
鋼鉄幼女(流離の幼女柔道家とも呼ばれている。)改め、
鋼鉄介護少女 ワラシちゃん
「幼女」から「少女」に無事バージョンアップしたのさ!
介護ベッドに腰掛けて、新たな末っ子とも言える「ルル」をあやしている祖父様。見た目ちょっとだけ成長したワラシちゃんも可愛くて仕方がない。
バージョンアアップしたワラシちゃんにはご老人の介護と乳幼児の世話も同時に行えるほど優秀なのだ!
『なぁ、ワラシ? この子はワシの「孫」か?それとも「曾孫」かな? ははは。』
猫耳や尻尾付きの赤ちゃんの事はさして驚かないお爺ちゃん。
『ハイ、リリちゃんが 以前に
「♪~リリはルルのおねえちゃん~なのだ~♪」と歌っていましたから「お孫さん」だと推測しました。』
『そうかい、そうかい。お前さんはリリ坊の妹なのか。ならワシの孫でいいな。』
増える孫に大らかに触れ合うお祖父ちゃん。尊い。
そこに、
『お祖父様、只今よろしいでしょうか?』
『おぅ、入っとくれ。』
何と入って来たのは
『お祖父様とルル様のご昼食をお持ちしました。』
「九院 岬」。
しかもメイド服でなく、Tシャツにチノパンといったラフな動きやすい服装。
『今日は天気もよろしいので、「お庭」で召し上がりますか?』
『いや、この後、楽しみにしてる「時代劇の再放送」が始まるからこのままで良いや。』
『承知しました。』
ルルちゃんの存在はもう隠す必要は無さそうですね。
で、何でいるのよ、岬さん?
『お父さん、今日はありがとう。無理して無い?』
『子猫が膝の上に登ってきたのは勘弁してほしいかな?』
『えー!何で?可愛いじゃない?』
『壊してしまいそうなんだよ?あまりに柔らかくて、小さくて。』
『もぅ、繊細だなぁ。(意外と臆病なのかな?)』
『もう少し居たいが、急用が出来たんだ。また来るよ、何せ、俺の部屋の真下に有るんだからな。』
『偶には一文字の家でご飯食べに来てよ。お父さん。』
『その内な。』
父を出入り口まで見送ると、再び業務に戻るひなた。
父との距離を縮めたい、
そんな娘の頼みを渋々聞いている時点で「名探偵」は負けを認めただろう。
『そう言えば、何故アイツはミハエルと彼女の仲を応援しなかったんだ? この手の話しの時は大体に協力的だろ?』
恩師との思い出話に時折「違和感」を感じた?
何だ?何か忘れているのか?
「ミハエル」について、
「当時の俺たち」について、
足りないピースがある様に、
「記憶のパズル」が完成しない?
調べてみるか、単純に忘れているだけなら良いが、
それとも今の俺だから、何かに気がついたのか?
『…止めよう、それがあの子の為になるとは思えんしな。』
さて、屋上で一服するか。
『蒼、「アルムブレンド」2つ!スペシャルセットで!』
『あ!私のは「ハチミツ」付きね!』
『じゃ!俺のは「黒砂糖」付きで?』
何を対抗してるのですか?
『か、かしこまりました。兄さん、姉さん!』妻がクススと笑っている。
『あと、俺のは濃いめな。』
トコトコトコ
『いらっしゃいませ!おじちゃま、おばちゃま! きゃっ!』
むぎゅっ
『あ~い~む~~ん、か~い~な~!(愛夢、可愛いな!)』
『お、おばちゃま、くるし~よ~⁉︎』
俺たちのテーブルにお冷のグラスを運んで来たのは姪っ子の「羽柴 愛夢」。
こうしていると新名がウチに来た頃、綾乃にハグられてるのを思い出すなぁ。
母親似の顔立ちに、父親似の色白の肌、産まれた頃は父親譲りの虚弱体質だったが、知り合いがくれた丸薬で少しずつ改善し、今では元気いっぱいの小学二年生だ。
『綾乃、早よ解放してな。愛夢、お手伝い偉いなぁ。これなら、すぐ「お嫁さん」に行けるな!』
『本当!おじちゃま?』
『ヤリマセンヨ。』
蒼介が初めて俺に殺気を向けた!
『もぅ、蒼くんってば、本当にコレだから男親は!』
末の妹がしっかり奥さんと母親をやっている。
俺も歳取ったなぁ~。
なんて思ってみた 振りをする。
なんせ、店の奥の席で他の客に溶け込み、俺や店主の蒼介を監視している奴がいるからだ。
見たところ、「外回り中のあまり成績の良く無い中堅営業マン」みたいな服装。
また、ソイツに気づかれる事も無く、監視の監視をしているのは就活中の女子学生みたいな服装の「隠密メイド」のお嬢さん。
ごめんな、こんな仕事させて。
オフの日の為、彼女には「森猫のタダ券」をあげませう!
『ハイ、お待たせしました!
スピカ特製「アルムブレンド」デス!』
昔、好きな漫画家の作品で見て、再現してみようって始めたブレンドだ。
天然水で淹れるホットバージョンと更にキャンプで使う様なアルミ製マグカップに天然氷をたっぷり入れて、熱々濃いめのコーヒーを注ぐアイスバージョンが有る。
今日はアイスバージョンを楽しみたい!
愛夢が俺たちの前にコーヒーと各々頼んだトッピングを並べる。
『おぅ、ありがとうな愛夢。コレ、お礼な。』と言って、小皿に盛ってある「黒砂糖」のカケラを愛夢の小ちゃな口に放り込む。
『きゃう!ふああぁ、甘~い。』
すると、ハチミツの入った小瓶に指を突っ込み、
『ホラ愛夢、舐めて舐めて!』
とか言ってる百合作家を、
『新名が泣いちゃうから辞めなさい。』と嗜めた。
ちぇっ、とか言ってハチミツの付いた自分の指を舐めてる妹。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。
妹の愚行は俺の影響かも?
『う~ん、やっぱり美味い!水が違うと同じブレンドでも舌触りや喉越しが違うわ~!』
『何だ?次は食レポでも始めるのか?』
『ん?でも確か小林くんがタウン誌の食べ歩きコラムやらないかって言ってたなぁ?』
『やってやれよ、小林くんの顔を立てて。』
『気が向いたらね。』
『ご馳走様なのだ!』
『ワン!』
『ふにゃーーん!』
『ミャー!』
『え!増えてますの!アナタは何処の何方ニャン?』
いつの間にか、ばいくると虎丸の間で「お弁当」を分けて貰っていた仔猫?
『その仔猫なら、昨夜から居たぞ。もっともこの土塊の最下層だがな。』
『迷子なのかしら?「森猫」でお預かりしているニャンコさんでは有りませんのよ!』
『迷子のニャンコ探しならニャン-バロンにお任せなのだ!』
『リリちゃん、探すのでは無くて、「探され」ですわ!』
そのニャン-バロンも本体はこのビルの地下駐車場で待機しているが、「精神」はavatarボディーで「森猫」で接客中!
夕方の「パトロール」までアルバイトなのだ!
『仔猫の味方なら「ビックフット」ですわ!』
「ビックフット」白くてもふもふした超大型犬!
元々は山王院邸の警備犬として「武勲」を挙げて来たが、
「ショットガン」同様に二葉に付いて来た守護ワンコなのだ…けれども、最近では「鶴亀町」全体の守護ワンコに成りつつある。
『うむ、仕方ないのだ。ここはビックフットにお願いなのだ!』
『その前に「カフェ」に戻りましょ。この子、「マイクロチップ」が有るか、確認しますの。』
『ん!どうかしたかい?お嬢さん方。』
『ヒナパパさん、ご機嫌ようデスの!今は急ぎますので失礼しますの!』
『またねーなのだ!』
屋上に行く階段で、すれ違う名探偵たち?
『階段で走ると危ないよ、気を付けなよ。』
『『ハーイ』なのだ。』
今リリちゃん、「仔猫」を抱いていたな?
おそらく「ロシアンブルー」とか言う品種じゃないか?
『ロシアっ子がロシアンブルーを抱いていた。』
いや、特に意味は無い。
『そう言えば、「迷子の子猫探し」の依頼、北代に伝えたよな?
『依頼人が亡くなったから中止』だって。』
そこ大事だよ!
でもな?
『それなら、その猫は誰が飼うんだ?このままだと野良猫になるのか?』
なら、結果は同じだな。
相棒なら、依頼人が居ようが死のうが関係無いかもな。
それは昼時、
店長代理をさせている褒美にそろそろ昼食にスピカで「何か」食わしてやろうと、誘いに来たのだが、
『ん?何だ、
バイト代は出ないが、昼メシ代とオヤツ代は持つよ?』
『そじゃ無いのよさ。「この店」の事なんだけどさ? あ、バイト代、華が出すからね、「タダ働き」は違法だからって。』
『ハイハイ、分かったよ。
って、おいおい、ナニ見つけた?』
おっきい方の娘たちが猫カフェを始めた。
今は別件で接客が滞り始めたので、華にはナイショだが山王院のメイドからも「希望者」を募り、
「派遣会社からの臨時社員」
として、手伝いに来てもらっている。
始め、店長代理も「十六夜 灯火」に頼むつもりだったが、既に「マスコット」的な認知度で、普通に任せても、周りから「一日店長」ぐらいの扱いになりそうでやめた。
すると優斗が、
『お父さん、それならウチに「適任者」がいるよ!お父さんと同じく、「色んなお仕事」を経験していて、「小説のネタ探し」をしている「短期バイトの達人」が!』
いたな。
で、こうなる。
『何か「こうなる」のか、知らないけど? コレ、ちょっと凄くない?』
過去に、シネコンで案内係とか、パチンコ店で玉運びとか、スーパーで「お刺身」切ったり、「お寿司」握ったりとか、工場でお菓子の袋詰めとか、
フリーペーパーの編集者とか、
激安で仕入れた「B」とか「C」とかの輸入海外映画の「和訳」とかetc…
『ソレはほっといて! 今私が知りたいのはこれよ、コレ!』
パソコンの画面と、販促品で貰ったB5のノートの中身を見比べては、問い詰めてくる!
『ここに、「森猫」に出資してくれた「人物」や「団体」が記録されているんだけど、私の記憶と違っている事が有るのよ、お分かりかな、「お兄ちゃん」?』
そこに気が付くなら、もっと売れる小説書けよな、作家さんよ。
『私、二葉やリリも姪か娘だと想って愛して接しているのよ。
だから、何か隠しているなら聞いておきたいんだけど?』
右手でノートを団扇の如くパタパタさせて、
『パソコンのデータ上ではリリちゃんパパが「森猫」に毎月定額で出資してるけど?』
『か、株主みたいな?
その辺は華か悠佳里くんに聞きなさい。』
『そ。リリちゃんパパが出資しているのは認めるのね。
でも「リリス・アーガマ」がリリちゃんの本名って、記憶してるんだけど、
だよね?』
『そりゃ「ミハエル・アーガマ」の一人娘だし、
「アーガマ商会」のご令嬢だぞ。
アイツだって可愛い娘に良い所を見せたい訳だろ?』
『ハイ、ダウト!』
『ん?だうと?』
『リリちゃんパパの名前が「ミハエル」さんなのは知ってるわよ。
義姉さんから高校時代の先輩後輩の付き合いだって聞いてるし。
当時、ウチに遊びに来た事もあったよね?
何となく覚えてるよ。
でもね、この「ノート」の走り書きに
「ミハエル・フォン・アルカジェフ氏より」って、何回か出てくるの。』
誰だ、あんな「キャットフード」の販促品で貰った様なノートに書き残したのは?
『額面上の細かい数値なんかを、照らし合わせて見ると、恐らくはこのノートを見て、データを入力していた様ね?
名前と言うか、「家名」は「留学中に日本で使っていた偽名」に修正して。
それに「ミハエル・フォン・アルカジェフ」の「フォン」って何?
一体、リリちゃんパパって何者?
まさかのヤバい人(政府要人)とか?
リリを「優斗の嫁」になんて待って無いで、さっさと
「お兄ちゃんの養女」にしなさいよ!いつもと同じでしょ!
何なら私が!』
『落ち着け!
養子縁組の話しはいずれはな。
でも今はコッチもアッチもタイミングと言うか、
複雑な事情が有るんだよ!
「国際情勢的」に!』
『本当に何者なの?「リリちゃんパパ」って!』
『今は教えない、その内に「コッチ」に来るから、本人に聞いてくれ。』
『アレか?KGBとかMI6とか出てくる系の話し?「パタ●ロ!」の初期の話しみたいな?』
『ミハエルは美少年キラーじゃないぞ?』
『言ってないって!』
さて、ビル屋上にて
『あ!お姉ちゃんだ!』
『こんにちは、天馬くん。バイクルもご機嫌よう。』
『ご機嫌ようなのだ、天ちゃん!』
屋上のベンチテーブルでお弁当を食べていると、愛犬に跨り、羽柴家ご長男が現れた!
彼も「お弁当」を持って来ている。
それなら仲良くお昼を食べよ。
『天馬くん、私たちと「お弁当」食べましょう。バイクルや鈴さんもご一緒に!』
『わーい!いっしょ、いっしょ!』
『わん!』
『ふにゃ~ん!』
『『あ、虎丸なのだ、』ちゃんですの。』
どうやら、二葉たちについて来た様?
『虎丸ちゃん、また脱走しましたわね!』
『虎丸は「自由猫」なのだ、「森猫」のヌシなのだ。』
「森猫」の古株、「虎丸」は元々、北代家にご飯を食べに来ていた「地域猫」だった。
いつからか「ふらり」と通い始めて、「福」や「アルファ」とも直ぐに仲良くなり、当然の如く室内にもお邪魔する様になった。
試しに「森猫」のスタッフネコになってもらうと、忽ち人気猫となるも、「脱走」の常習犯になる、どんなに気を付けていてもだ?
『妾の「お弁当」は!』
とても悪戯好きで遊び好き、ロマンチストで寂しがり屋の妖精さんがお食事をご所望で有る。
『これですわ!』
あんなに何処に入るのか?
二葉が取り出したのは、
「普通の人間サイズ」のお弁当箱に「鈴ちゃんの!」と書いた紙が貼って有る!
天馬くんは腕白で羽柴のパパママは忙しい、なら妾はこの「娘たち」に飯をタカるしかあるまい。
(十六夜ちゃんみたいですわ!)
羽柴ビルの屋上は関係者以外でも立ち入りOKなのだけど、
エレベーターでは直接行けない、三階までしか行けない様に設定されてる。
四階から上は、羽柴家の「お家」や、各お店の従業員の休憩室や倉庫となっているので、普段は三階から階段で四階に移動して、四階から別のエレベーターで屋上や各階に移動している。
なので、その辺を理解した人しか屋上庭園にはやって来ない。
『リリちゃん、お姉ちゃん、今日はニャンコのお店に来たの?』
『天馬よ、二人は遊びに来たのでは無い、仕事をしに来たのじゃ!』
『何故、鈴ちゃんが偉そうですの?』
『ふむ!妾はこの土塊の守護神なるぞ!』
鈴の存在は、二人とも知っている。
特に二葉は天馬くんが生まれる前からの付き合いだもの。
『働くことは尊い事だぞ!励むが良い‼︎』
『スズリンは偉そうなのだ?何でだ?』
『そんな事言うと、また「毟る」とか言われそうですのよ?』
『「無視」る? 「イジメ」か!イジメは駄目なのだ!皆んな仲良しなのだ!』
微妙に噛み合ってる様な、そうじゃない様な?会話の中、
『ねぇねぇ、お姉ちゃん?』
『ハイ何ですの、天馬くん?』
『今日も舞華ちゃんと大っきなお姉ちゃんいないよ。かわりに「猫のおウチ」のおばちゃんがいるの。なんで? 「てんちょうさん」クビになったの?』
うん、ちがうよ。免職にはなってませんよ⁉︎
ってか、誰だ?
素直な幼児に「変な事」聞かせてないだろうね?
『綾乃さんは、お姉様方がご用事が有って、代理でいらしてるのですよ。
ご用事が終わればいらっしゃいますわ。
それに天馬くんは綾乃さんが居るのがお嫌ですか?』
『ううん、大好きだよ。「猫のウチの叔母さん」は優しいし、
ご本読んでくれるし、アトねアトね…!』
可愛い妹の息子を更に溺愛している様だ。
そこに羽虫、いや羽柴ビルの妖精からクレームが入る
『でも、あの女!妾にはうるさいぞ!やれ「ばいすとんなんとか」だの、やれ「私はとんがり帽子派だから」とか訳分からんわ!』
はぁ~、そりゃ小さなおウチを見つけに行きたい世代ですから?
『リリにはわからないのだ?』
『リリちゃんは「てんちょうさん」のかわり、しないの?』
仲良しのリリちゃんに澄み切ったおメメで聞いてくる天ちゃん。
『舞姉ちゃんの代わり?
ん~? まだ無理なのだ。
でも、いつかは舞姉や華姉みたいになってみせるのだよ!』
『にゃにゃ!』
『わん!』
二匹も応援しているのだろうか?
見るとバイクルは自分の「お弁当」を、虎丸に分け与えている。
二匹の仲は良好の様だ。
『じゃあ、天ちゃんと「きょうそう」ね! 天ちゃんは大人になったら「スピカ」の「てんちょうさん」になるんだもん!』
キャー!天馬くん、可愛いですの!
それならば、天馬くんが店長になった「スピカ」は私が出資しますの!
順也叔父様の輸入経路開拓に協力して「珍しい食材や調味料」を集めてもらいますの!
って、今から策略を巡らせてる二葉ちゃん、逞しい!
『それじゃ、リリは「森猫」の敏腕店長になるのだ!
競争だぞ、天ちゃん!』
偶然にも「未来の猫カフェ店長」宣言してるリリちゃんなのだけど、
実は「森の猫さま」開店計画には既に
「一号店二代目店長」は、
「北代 リリ」にと、組み込まれている。
そぅ、二代目女子高生店長は、すでに決まっているのだから。
『だから、頼む。今は気が付かない振りで。』
『分かった!なら「アルムブレンド」奢りなさい!』
『え~!アレ「時価」なんだぜ?しかも「モノ」が無いと飲めないのに?』
『ソレなら大丈夫!蒼ちゃんに確認してあるから!一昨日、入荷したって!「北アルプスの天然氷」!お早めにだって。』
冗談を折り込みながらお互い落とし所を探っている兄妹。
『じゃあ、俺も飲むか! …で、他は?』
『この事を100%知っているのは?私が面識有る人?』
『100%だと将道さんかな。でも、お前会った事無いよな。』
『誰?』
『お前、名前ぐらい知らなかったっけ?「山王院 将道」、華と二葉の「実父」だよ。』
『高道さんは叔父よね?
やっぱり、山王院が関係してるの?この件って!』
『これ以上はダメかな?』
『よし、分かった!なら私にも「メイドちゃん」世話して!』
『何故に?』
『本当は灯火ちゃんが良いけど、無理でしょ?
なら「変わり種」の娘を世話してよ!ソレで手を打つから!』
いや、以前から俺の妹の専属を希望している「特務メイド」がいるらしいのだが?
『そいつに調べさせるのか?』
『いいえ、助手が欲しいだけ。可愛い子をお願いね!』
やれやれ。
さて、もしかして気が付いている方もいるだろう。
「森猫」に綾乃さんが居ると言う事、
普段、家に居て執筆活動に明け暮れているので、
「猫人赤ちゃん」の面倒見を頼んでいたのを。
愛猫の「ヒメ」が亡くなり、「福」も居なくなって、
気落ちしていたところに、リリ達が連れてきた「ルル」。
生前、母と一緒に知人が運営していた「養護施設」で子供達、特に幼児の世話を手伝っていた経験が有る。
猫好き子供好きの彼女ならば適任と、ルルの事を任せていたのに?
あんなに喜んで引き受けてくれたのに、あんなに一緒だったよね?
今、猫人赤ちゃんは?
♪~Le Le~sleeping~♪
『あぃ、きゃっきゃ。』
『ははは、るる坊はワラシママが気に入った様だな。
どれ、ワシも抱っこしてやろうか。』
『ハイ、お爺ちゃん。お願いします。』
発音機能を追加装備した、通称「北代さんちの末娘」こと
鋼鉄幼女(流離の幼女柔道家とも呼ばれている。)改め、
鋼鉄介護少女 ワラシちゃん
「幼女」から「少女」に無事バージョンアップしたのさ!
介護ベッドに腰掛けて、新たな末っ子とも言える「ルル」をあやしている祖父様。見た目ちょっとだけ成長したワラシちゃんも可愛くて仕方がない。
バージョンアアップしたワラシちゃんにはご老人の介護と乳幼児の世話も同時に行えるほど優秀なのだ!
『なぁ、ワラシ? この子はワシの「孫」か?それとも「曾孫」かな? ははは。』
猫耳や尻尾付きの赤ちゃんの事はさして驚かないお爺ちゃん。
『ハイ、リリちゃんが 以前に
「♪~リリはルルのおねえちゃん~なのだ~♪」と歌っていましたから「お孫さん」だと推測しました。』
『そうかい、そうかい。お前さんはリリ坊の妹なのか。ならワシの孫でいいな。』
増える孫に大らかに触れ合うお祖父ちゃん。尊い。
そこに、
『お祖父様、只今よろしいでしょうか?』
『おぅ、入っとくれ。』
何と入って来たのは
『お祖父様とルル様のご昼食をお持ちしました。』
「九院 岬」。
しかもメイド服でなく、Tシャツにチノパンといったラフな動きやすい服装。
『今日は天気もよろしいので、「お庭」で召し上がりますか?』
『いや、この後、楽しみにしてる「時代劇の再放送」が始まるからこのままで良いや。』
『承知しました。』
ルルちゃんの存在はもう隠す必要は無さそうですね。
で、何でいるのよ、岬さん?
『お父さん、今日はありがとう。無理して無い?』
『子猫が膝の上に登ってきたのは勘弁してほしいかな?』
『えー!何で?可愛いじゃない?』
『壊してしまいそうなんだよ?あまりに柔らかくて、小さくて。』
『もぅ、繊細だなぁ。(意外と臆病なのかな?)』
『もう少し居たいが、急用が出来たんだ。また来るよ、何せ、俺の部屋の真下に有るんだからな。』
『偶には一文字の家でご飯食べに来てよ。お父さん。』
『その内な。』
父を出入り口まで見送ると、再び業務に戻るひなた。
父との距離を縮めたい、
そんな娘の頼みを渋々聞いている時点で「名探偵」は負けを認めただろう。
『そう言えば、何故アイツはミハエルと彼女の仲を応援しなかったんだ? この手の話しの時は大体に協力的だろ?』
恩師との思い出話に時折「違和感」を感じた?
何だ?何か忘れているのか?
「ミハエル」について、
「当時の俺たち」について、
足りないピースがある様に、
「記憶のパズル」が完成しない?
調べてみるか、単純に忘れているだけなら良いが、
それとも今の俺だから、何かに気がついたのか?
『…止めよう、それがあの子の為になるとは思えんしな。』
さて、屋上で一服するか。
『蒼、「アルムブレンド」2つ!スペシャルセットで!』
『あ!私のは「ハチミツ」付きね!』
『じゃ!俺のは「黒砂糖」付きで?』
何を対抗してるのですか?
『か、かしこまりました。兄さん、姉さん!』妻がクススと笑っている。
『あと、俺のは濃いめな。』
トコトコトコ
『いらっしゃいませ!おじちゃま、おばちゃま! きゃっ!』
むぎゅっ
『あ~い~む~~ん、か~い~な~!(愛夢、可愛いな!)』
『お、おばちゃま、くるし~よ~⁉︎』
俺たちのテーブルにお冷のグラスを運んで来たのは姪っ子の「羽柴 愛夢」。
こうしていると新名がウチに来た頃、綾乃にハグられてるのを思い出すなぁ。
母親似の顔立ちに、父親似の色白の肌、産まれた頃は父親譲りの虚弱体質だったが、知り合いがくれた丸薬で少しずつ改善し、今では元気いっぱいの小学二年生だ。
『綾乃、早よ解放してな。愛夢、お手伝い偉いなぁ。これなら、すぐ「お嫁さん」に行けるな!』
『本当!おじちゃま?』
『ヤリマセンヨ。』
蒼介が初めて俺に殺気を向けた!
『もぅ、蒼くんってば、本当にコレだから男親は!』
末の妹がしっかり奥さんと母親をやっている。
俺も歳取ったなぁ~。
なんて思ってみた 振りをする。
なんせ、店の奥の席で他の客に溶け込み、俺や店主の蒼介を監視している奴がいるからだ。
見たところ、「外回り中のあまり成績の良く無い中堅営業マン」みたいな服装。
また、ソイツに気づかれる事も無く、監視の監視をしているのは就活中の女子学生みたいな服装の「隠密メイド」のお嬢さん。
ごめんな、こんな仕事させて。
オフの日の為、彼女には「森猫のタダ券」をあげませう!
『ハイ、お待たせしました!
スピカ特製「アルムブレンド」デス!』
昔、好きな漫画家の作品で見て、再現してみようって始めたブレンドだ。
天然水で淹れるホットバージョンと更にキャンプで使う様なアルミ製マグカップに天然氷をたっぷり入れて、熱々濃いめのコーヒーを注ぐアイスバージョンが有る。
今日はアイスバージョンを楽しみたい!
愛夢が俺たちの前にコーヒーと各々頼んだトッピングを並べる。
『おぅ、ありがとうな愛夢。コレ、お礼な。』と言って、小皿に盛ってある「黒砂糖」のカケラを愛夢の小ちゃな口に放り込む。
『きゃう!ふああぁ、甘~い。』
すると、ハチミツの入った小瓶に指を突っ込み、
『ホラ愛夢、舐めて舐めて!』
とか言ってる百合作家を、
『新名が泣いちゃうから辞めなさい。』と嗜めた。
ちぇっ、とか言ってハチミツの付いた自分の指を舐めてる妹。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。
妹の愚行は俺の影響かも?
『う~ん、やっぱり美味い!水が違うと同じブレンドでも舌触りや喉越しが違うわ~!』
『何だ?次は食レポでも始めるのか?』
『ん?でも確か小林くんがタウン誌の食べ歩きコラムやらないかって言ってたなぁ?』
『やってやれよ、小林くんの顔を立てて。』
『気が向いたらね。』
『ご馳走様なのだ!』
『ワン!』
『ふにゃーーん!』
『ミャー!』
『え!増えてますの!アナタは何処の何方ニャン?』
いつの間にか、ばいくると虎丸の間で「お弁当」を分けて貰っていた仔猫?
『その仔猫なら、昨夜から居たぞ。もっともこの土塊の最下層だがな。』
『迷子なのかしら?「森猫」でお預かりしているニャンコさんでは有りませんのよ!』
『迷子のニャンコ探しならニャン-バロンにお任せなのだ!』
『リリちゃん、探すのでは無くて、「探され」ですわ!』
そのニャン-バロンも本体はこのビルの地下駐車場で待機しているが、「精神」はavatarボディーで「森猫」で接客中!
夕方の「パトロール」までアルバイトなのだ!
『仔猫の味方なら「ビックフット」ですわ!』
「ビックフット」白くてもふもふした超大型犬!
元々は山王院邸の警備犬として「武勲」を挙げて来たが、
「ショットガン」同様に二葉に付いて来た守護ワンコなのだ…けれども、最近では「鶴亀町」全体の守護ワンコに成りつつある。
『うむ、仕方ないのだ。ここはビックフットにお願いなのだ!』
『その前に「カフェ」に戻りましょ。この子、「マイクロチップ」が有るか、確認しますの。』
『ん!どうかしたかい?お嬢さん方。』
『ヒナパパさん、ご機嫌ようデスの!今は急ぎますので失礼しますの!』
『またねーなのだ!』
屋上に行く階段で、すれ違う名探偵たち?
『階段で走ると危ないよ、気を付けなよ。』
『『ハーイ』なのだ。』
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でもな?
『それなら、その猫は誰が飼うんだ?このままだと野良猫になるのか?』
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