PK以外に興味なし

えるだ~

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救われる者もいる

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数ヶ月前

「ん」
 リコという少女は教会で目を覚ました。
 ここで寝ていた訳ではない。教会はゲームオーバーとなった際のリスポーン地点なのだ。
「・・・またかぁ」
 また騙されて殺されてしまった。
 ゲームオーバーとなると教会で復活し、初期装備である服と、ボロい剣、そして50ゴールドを神父に渡され、また自由となる。
「はぁ・・・やめよっかなぁ」
 神ゲーだと言われ、クラスメイトの大半が遊んでいると聞いたため、試しに始めてみたのだが、そもそもアクションゲームを殆んどやったことのない彼女には簡単なクエストすら難しく、面白味が感じられなかったのだ。
 あまりにも彼女が弱いため、クラスメイトは別の友達とクエストを進め、彼女から離れていった。クラスで皆の輪に入れるよう、もっと強くなりたいのだが、
「無理だよぉ~」
 一人ではレベルを上げれない。クラスメイトは一緒にやってくれない。野良を仲間に入れるようなプレイヤーは大体何か企んでいる。でもやるしかない。そして騙され、殺される。これの無限ループだ。
 リコはクエストを受注できる集会所まで行き、また一番簡単なクエストを受ける。薬草採取だ。
 そして受注したら街を出ていき、近くの草原で薬草を探す。
「んー、確か薬草は・・・」


 そんなこんなで数分薬草を探し、
「よし、取り敢えずゲット」
 そしてまた街へ帰ろうとすると、
「お、見るからに雑魚がおるやん」
「ホンマやん、殺しとくか?」
「おう、経験値にはなるからな」
 そう言いながら男が二人近付いてくる。
「はぁ」
 リコは逃げない。初期ステータスの自分では逃げきれないのは知っているからだ。
(まぁまだ何も持ってないし、リスポーンしたらレッドバックから薬草回収すればいいや)
 そして男の剣が振り下ろされる──前に二人がピタッと止まった。
「おい何や?何か用か?」
 男がリコの後方の何かに話し掛けた。
 振り返ると、数十メートル後ろにドクロのマスクを着けた少し不気味な男が立っていた。
 ドクロは何も言わずに歩み寄ってくる。そして彼の手甲からジャキッとブレードが生えてきた。
「お?やんのか?」
「おお!やったれ!」
 二人組の強そうな方が両手に剣を持ってドクロに近付いていく。
 そして二人の距離が十メートル程になると、
「〈縮地〉」
「〈縮地〉!」
 両者が同時に同じスキルを発動し、十メートルの距離が一気に0になって二人の武器が激突した。
「オラァ!」
 双剣がドクロを払いのけ、追撃をかます。が、ドクロは見事にそれを回避する。そして二人の距離がまた少し開く。
「〈空斬〉!」
 今度は双剣が飛ぶ斬撃を放つ。体制が悪かったドクロは、これを避けずにブレードで弾き退ける。
「〈炎刀〉!」
 双剣がスキルを自身の剣に掛けた。すると剣の刃から炎が出現し、その刃を覆った。
「焼き切れろ!」
 双剣が燃え盛る剣をドクロに振り下ろした。
「〈切断〉」
 が、渾身の一撃をドクロはヒラリとかわし、大きく武器を振り下ろして隙だらけとなった彼の両腕をブレードで切り裂いた。
「なっ!はっ!?」
 双剣の両腕が肘の辺りから切り落とされる。このゲームにそんな要素があるのかとリコは驚愕した。
「アディオス」
「ちょ、待っ──」
 双剣の懇願虚しくドクロは彼の首を切って殺した。
「さて」
 ドクロは休むことなくもう一人の方へ歩く。
「く、くそっ!」
 男は逃げ出したが、ドクロは見逃さないつもりのようだ。
「〈縮地〉」
 またあのスキルで距離を詰め、後ろから男にブレードを突き刺し、切り裂いた。
 そして残ったレッドバックに淡々と火をつけてアイテムを消滅させる。
「・・・」
 そしてそれを燃やし終わると、ドクロはリコを観察し始めた。
「・・・・・」
 しばらくリコを眺めた後、
「ま、続けてりゃ良いことあるさ」
 それだけ言ってドクロは去っていった。
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