PK以外に興味なし

えるだ~

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リセマラPK

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 とある街の酒場。
 ドクロが血の気の荒いプレイヤーでもいないかと飲み物を飲みながら周りを観察していた。するとバフ料理を食べに来ていたプレイヤーが面白い話をしていた。
「なー、オドラ平原にヤバイ奴が出たって知ってる?」
「ヤバイ奴?何それ?」
「そのフィールドってたまにレアアイテムドロップするホブゴブリンがスポーンするんだけどさ、そのレアアイテム目当てでここ一週間ぐらいそこのゴブリン狩り廻ってる奴がいんだよ」
「へー、じゃあ何?協力しに行く?」
「いや、やめとけやめとけ、あいつプレイヤー見付けたら即刻追い払うんだってさ!野蛮なプレイヤーもいたもんだなって」
「・・・へぇ」
 ドクロは席を立って酒場を後にした。

 オドラ平原。ゴブリンがよくスポーンし、そのゴブリン、特にホブが希にレアアイテムを落とすことで知られている。
(かなり低確率のはずだが・・・暇な奴もいたもんだな)
 そんなことを思いながら夜の平原を歩いていると、
「ん?」
 向こうから何かがすごい勢いで接近して来ていた。
「!」
 それは軍馬に乗った大柄な男だった。黒い重装鎧で身を包み、ハルバードを手に握っている。
ねぇええ!!」
「うおっと!」
 黒鎧がハルバードを大きく降ってきたが、ドクロはそれを回避する。
「何だよ」
「この地は現在我が領土!立ち去らず我の邪魔をするなら容赦せん!」
「何だその喋り方」
「・・・あまりにもレアアイテムがでないからテンションを何とか上げているのだ!」
「あ、そうガンバ」
「もしやお主もレアアイテムを!」
「いや」
 ドクロが手甲からブレードを出現させる。
「あんたの血に用がある」
「フフフ」
 黒鎧が笑う。
「我が名はイチジク!その決闘、承けて立つぞ!」
 イチジクの軍馬が雄叫びを上げ、真っ直ぐに突撃してくる。横に避ければ簡単に回避できるが、その場合ハルバードの餌食だろう。
 ならこっちも突撃だ。ドクロがイチジクの顔の高さぐらいにジャンプする。
「〈縮地〉!」
 そしてスキルを使用し、一気に接近した。
「ぬっ!」
 ドクロが顔面へ向かって蹴りを放つが、イチジクの拳で相殺される。どころかドクロが少しダメージを受けた。
(見た目通りのバカ力!)
「フンッ!」
 そして迫ってくるハルバード。空中での攻撃、普通ならば避けられないが、
「〈衝撃波〉!」
 ドクロがスキルを地面に向けて放ち、身体が少し上昇してハルバードを回避する。
 このスキルはその名の通り衝撃波を放つスキル。これを空中で発動すると、空中でも少し移動できるのだ。
「むむ、中々の腕前。お主もレベルをカンストしていると見た!」
「お主もってことは、お前もか」
「然り!・・・であるならば、手加減は無用だな!」
 イチジクのハルバードから黒い何かが滲み出す。
「〈深淵槍〉!そして!」
 ハルバードを覆った黒いモヤがイチジクからも滲み出し、彼に纏わり付いた。
「〈オーバーダーク〉!」
「・・・死属性か」
 死属性の特徴は諸刃の剣。強力な攻撃を出せる代わりに自身も何かしらのデメリットを被ることとなるリスキーな属性だ。
「このスキルを使用中、我はHPが減り続ける!」
「デメリット言っちゃダメだろ」
「フフフ、レベルカンストのお主が、姑息な手段を使ったりはしまいな?」
「・・・なーるほど、おもしれぇ」
 ドクロはブレードを構え、なんと自分に突き刺した。
「む?」
「・・・〈血装〉!」
 刃の刺さった部位から流れる血のエフェクトが立ち上ぼり、ドクロを包んだ。
「ほぉ、お主も死属性・・・」
「さぁ、やろうか」
 身体を血のオーラで覆ったドクロがそう言った。
「面白い!」
 イチジクがハルバードを振り上げ、力強いドクロ目掛けて振り下ろした。
 ドクロには避けられたが、ハルバードは地面を強く叩き、小さなクレーターができた。
(凄い威力だな)
 体格の大きいキャラは速度が遅い代わりに物理攻撃と物理防御に優れている。それに死属性のバフが掛かっているのだからあれぐらいの威力が出るのは納得だ。
 が、馬に乗っているのでは速度の問題は少なくなり、
「フェアじゃねぇなぁ!降りてこいよ!」
 ドクロはイチジクの馬に接近し、馬の身体を切り裂いた。
 馬が鳴き声を上げて崩れ去る。
「おお我が愛馬が!」
「さあこれでフェアだ」
「いいだろう!正々堂々勝負といこう!」
 イチジクがハルバードを振るう。大男にしてはかなりの速度だが、バフを受けたドクロにしてみれば遅すぎる。
 攻撃をスルスルとかわし、イチジクの鎧の弱点、首元を切った。が、
「チッ、硬ぇな」
 素の防御力がかなり高いようで、HPが削れた感覚はない。
「軽い軽いぞ!」
 またハルバードの猛攻。だが、やはりドクロには当たらない。
(このまま待ってりゃ勝てるんだろうが、それは・・・)
「気持ち良くないな!」
 ドクロがまた自分にブレードを突き刺し、またHPが大きく削れる。
「〈血爪〉!」
 また血のエフェクトが立ち上ぼったが、今度はドクロを覆うのではなく、彼の右手のブレードを包み込んだ。そして徐々に血の形が、大きな刃へ変わっていく。
「さぁ!この一発で最後にしようぜ!」
「良いだろう!」
 イチジクがハルバードをクルクル回し、ドスンと構え直した。
「来い!」
 ドクロのこの一撃が弱点に当たればHPの減り続けている奴は間違いなく殺せる。が、奴の攻撃が当たれば自分も一撃で殺られるだろう。だが両者止める気は毛頭ない!
 ドクロが力強く地を蹴り、イチジクに接近する。イチジクは構えたハルバードを迷うことなく振り下ろした。
 ハルバードの刃は、ドクロの頭目掛けて真っ直ぐに降りていった。が、
 ドクロはギリギリでそれを回避した。そしてドクロが次に狙ったのは二つ目の奴の弱点、脇の下。
 ドクロの血の刃は、ズレることなくイチジクの弱点を切り裂いた。
「ぬぅっ!・・・見事だ、死神!」
 そうしてイチジクは血を噴き出しながら消えていった。
「・・・中々面白かったぞ」
 最後に死神はそう呟いた。
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