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二
襲来
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「来ましたか」
コノハの呟きに合わせるように、ギイギイと音を立てながら大扉が開き、アイツが現れる。
ジャックだ。ガイルとチカがこの二年間探し求めていた男。二人だけじゃない。神殿内のプレイヤー達全員がアイツを見ていた。
バタンと扉が完全に開き、アイツの全貌が明らかになる。二年間とほぼ同じ装備。胸部の鎧や手甲など所々は変わっていて、マントだった装備は長い首巻きのような装備になっているが、背に携えられている赤黒い刀もあの時のままだ。間違いない。アイツだ。そして彼の後ろには大量のレッドバッグが落ちている。先程のチンピラ達のものだろう。
ジャックは何も言わず神殿に入り、コノハ達の前まで歩いて来てようやく口を開いた。
「よぉ」
「・・・今大会はデュオですよ?」
「知っている。もっとハンデを与えた方がいいか?」
コノハは呆れたような素振りをする。二対一でも問題ないということだろう。
「・・・はぁ、分かりました。あなただけは特別にソロでの参戦を許可します」
「そうしてくれ・・・んで、久しぶりだなお前等」
「おひさ」「お久しぶりです」「たまには会いに来なさいよ~」
ジャックは久しぶりに再開した友人達と会話をし始める。そんな彼を睨む二人。
「・・・おいジャック、俺達を覚えてるか?」
「あ?・・・さぁ、覚えてないな」
「だと思ったよ。俺も一々殺した奴の顔なんて覚えてない。だから、思い出させてやる」
「・・・楽しみにしておく」
数十分後、大会開始直前。出場者達は用意された巨大な魔法陣の上に立っていた。
「これは・・・転移の魔法陣か?これでチームをランダムな場所へ送ると言うわけか」
「送られる戦闘フィールドもニホンバレの建築勢が作ったらしいわね。ホントよくやるわ」
そんなことを話していると、床の魔法陣が光だした。
「お、始まるか」
「よ~し、全員殺す!」
次の瞬間、プレイヤー達は光に包まれ、転移の魔法を掛けられた。
ガイルとチカも転移によって戦闘フィールドに移動させられる。
「うお~チカチカするぜ」
「さっさと行くわよ」
チカはガイルの兜をペシッと叩き、敵を探しに歩き出した。
一方ジャック。
「ふむ、さて行くか」
ジャックは歩き出し、獲物を探しに行く。すると五分もせぬ間に、
「・・・」
足音が聞こえて来た。周囲を見渡すが、誰もいない。だが確実に足音が近付いてくる。
「ふぅ・・・」
ジャックは足を止め、目を閉じ、集中する。
ザス、ザス、ザスと足音が寄ってくる。そして、
ジャックは素早く振り返り、それを掴んだ。
「なっ!?」
そこにはナイフを持った盗賊風の男が一人。
「透明化の術か」
「くっ!離──」
ジャックは躊躇いなく男の首に手甲のブレードを突き刺し、男を刺し殺す。
「ぐがっ!」
「見えなくなっただけで俺が殺られるわけないだろうが」
ブレードをしまったジャックは、また歩き出そうとしたが、
「・・・おやおや」
ジャックはそれに気付き、ニヤリと笑う。
そうしてる間に男が死んで消え去り、彼が使っていたであろう術が解除された。その結果、ジャックを透明になって彼を観察していた多くのプレイヤーが現れる。
「おいお前の相方瞬殺だぞ」
「ま、予想通りさ」
「裏切んなよお前等」
「早い者勝ちだからなぁ」
デュオのバトルロイヤルのはずだが、奴等が戦い会う素振りはない。共闘してジャックを殺すつもりのようだ。
「面白いじゃないか」
ジャックは笑ってブレードを構えた。
コノハの呟きに合わせるように、ギイギイと音を立てながら大扉が開き、アイツが現れる。
ジャックだ。ガイルとチカがこの二年間探し求めていた男。二人だけじゃない。神殿内のプレイヤー達全員がアイツを見ていた。
バタンと扉が完全に開き、アイツの全貌が明らかになる。二年間とほぼ同じ装備。胸部の鎧や手甲など所々は変わっていて、マントだった装備は長い首巻きのような装備になっているが、背に携えられている赤黒い刀もあの時のままだ。間違いない。アイツだ。そして彼の後ろには大量のレッドバッグが落ちている。先程のチンピラ達のものだろう。
ジャックは何も言わず神殿に入り、コノハ達の前まで歩いて来てようやく口を開いた。
「よぉ」
「・・・今大会はデュオですよ?」
「知っている。もっとハンデを与えた方がいいか?」
コノハは呆れたような素振りをする。二対一でも問題ないということだろう。
「・・・はぁ、分かりました。あなただけは特別にソロでの参戦を許可します」
「そうしてくれ・・・んで、久しぶりだなお前等」
「おひさ」「お久しぶりです」「たまには会いに来なさいよ~」
ジャックは久しぶりに再開した友人達と会話をし始める。そんな彼を睨む二人。
「・・・おいジャック、俺達を覚えてるか?」
「あ?・・・さぁ、覚えてないな」
「だと思ったよ。俺も一々殺した奴の顔なんて覚えてない。だから、思い出させてやる」
「・・・楽しみにしておく」
数十分後、大会開始直前。出場者達は用意された巨大な魔法陣の上に立っていた。
「これは・・・転移の魔法陣か?これでチームをランダムな場所へ送ると言うわけか」
「送られる戦闘フィールドもニホンバレの建築勢が作ったらしいわね。ホントよくやるわ」
そんなことを話していると、床の魔法陣が光だした。
「お、始まるか」
「よ~し、全員殺す!」
次の瞬間、プレイヤー達は光に包まれ、転移の魔法を掛けられた。
ガイルとチカも転移によって戦闘フィールドに移動させられる。
「うお~チカチカするぜ」
「さっさと行くわよ」
チカはガイルの兜をペシッと叩き、敵を探しに歩き出した。
一方ジャック。
「ふむ、さて行くか」
ジャックは歩き出し、獲物を探しに行く。すると五分もせぬ間に、
「・・・」
足音が聞こえて来た。周囲を見渡すが、誰もいない。だが確実に足音が近付いてくる。
「ふぅ・・・」
ジャックは足を止め、目を閉じ、集中する。
ザス、ザス、ザスと足音が寄ってくる。そして、
ジャックは素早く振り返り、それを掴んだ。
「なっ!?」
そこにはナイフを持った盗賊風の男が一人。
「透明化の術か」
「くっ!離──」
ジャックは躊躇いなく男の首に手甲のブレードを突き刺し、男を刺し殺す。
「ぐがっ!」
「見えなくなっただけで俺が殺られるわけないだろうが」
ブレードをしまったジャックは、また歩き出そうとしたが、
「・・・おやおや」
ジャックはそれに気付き、ニヤリと笑う。
そうしてる間に男が死んで消え去り、彼が使っていたであろう術が解除された。その結果、ジャックを透明になって彼を観察していた多くのプレイヤーが現れる。
「おいお前の相方瞬殺だぞ」
「ま、予想通りさ」
「裏切んなよお前等」
「早い者勝ちだからなぁ」
デュオのバトルロイヤルのはずだが、奴等が戦い会う素振りはない。共闘してジャックを殺すつもりのようだ。
「面白いじゃないか」
ジャックは笑ってブレードを構えた。
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