運命の番

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グラーツ帝国へ

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「お父様お母様、行って参ります」

出立の日、広場まで見送りに来てくれた父と母に挨拶をする。

「グラーツはイシスと違って寒いそうだから、風邪を引かないように沢山着込んでね」
「2人ともウルシュの結界から出ちゃだめだよ、特にアーシェン、外国は男性が多いから気をつけなさい。男なんて大半はロクでもないことばかり考えている危険生物だからね。近づかない、話しかけない、何より、」

父は母に止められるまで、娘に長い注意を促した。

ウルシュ国王の結界で守りやすい人数を考えて
考古学の研究者4名と、アレンとアーシェンの合計7名の少人数での出発になる。
研究者4名は全員女性で別の乗り物となる。

ウルシュ、アレン、アーシェンの身分は他の人たちにも、これから来るグラーツ軍の兵士にも明かしていないので、考古学者とその卵たちの小規模視察隊と言う名目で招待を受ける。
なので他の参加者と同様に広場に集まり、一緒に出発をした。

イシス王家から、ありがたく招待を受けると書状が届いた時は、グラーツ帝国側は驚いた。
イシスはどことも国交をしないので、てっきり断られるものとばかり思っていたからだ。

「魔女殿に頼んで、王家の投書箱に手紙を送信したのがよかったのか、それともレイドの言う通りよほどグラーツの遺跡に興味があったのか、何にせよ息子の番だ。慎重にいかねば。国境まで出迎えにあがろう」

イシスには馬がおらず、太陽光の動力で浮かぶ箱の用な乗り物で移動する。

イシスとグラーツの国境で待ち受けていたグラーツ軍の警護兵達は、この静かに動く御者も車輪もない乗り物を見て度肝を抜かれた。
そこから人間離れした美しい男女が、そろそろと静かに出てきたので、さすがは神の国だと思った。

ここでグラーツ軍の用意した、大型の馬車に乗り換えるのだが、イシスの研究者達も生まれて初めて乗る馬車や、普段見慣れない体格のいい男性陣を前にすると大層驚いていた。


「ウルシュおじ様、お尻は痛くないですか?」
「うん今のところはね。アーシェンは馬車の揺れは大丈夫かい?」
「はい。この揺れが楽しいです。でも思っていたよりも兵士の数が多くて驚いています。女性が一人もいないのですね」

アーシェンもアレンも、こんなに多くのそれも男性ばかりに囲まれたことはなかった。
兵士たちは同じ騎士服に身を包んでいるが、顔立ちも髪や目の色も様々で、金髪で中性的な顔立ちで統一感のあったイシスとは全く違うのだと、外国に来たのだと実感する。

「馬車に結界を張るから、警備は多くなくて大丈夫だと伝えたんだけどね。皇太子殿下はよほどアーシェンを丁重に迎えたいんだね」

「そう・・・なのでしょうか」

きっと助けてもらったと恩義を感じて双子達を招待してくれたのだろう。あの狼が男性になった姿を想像することができないが、お父様が言っていたような乱暴な人ではないはずだ。
狼の時は可愛くじゃれる、言いつけを守るいい子だったのだから。


グラーツの帝都までは途中の名所や大きな遺跡郡を視察観光しながら、6日間かけてたどり着く。

城に着いてからは、皇太子自らが案内をしてくれるそうだ。


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