運命の番

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成人年齢

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グラーツ帝国の魔女とイシス王家の双方が持つ魔法のような投書箱のおかげで、書簡のやり取りは着々と進んでいる。

祝福の神託を受けレイドは即行動を開始した。
時が経てばまだ年若い番の気が変わるかもしれないという不安から、なるべく早く嫁いでもらう計画を立てる。

ただグラーツの成人年齢は15才に対し
イシスの成人は18才だ。

国民の体格差と学力差が大きく関係していた。

獣人は大柄で早く成熟するので結婚も早い。
30年前の成人は13才だったらしい。
特に狼は安産で頑丈なため、15才の成人以前に出産してしまう者もいる。貧しい者ほどその傾向は顕著だ。

イシスは17才までは皆学生。20才過ぎても高等教育を受けている者もおり卒業後は仕事に就くため、出産年齢は20代以降とグラーツに比べて遅い。

「アーシェンの15才の誕生日に挙式したいので、その数ヶ月前には、婚約者としてグラーツで生活を始めてほしい」

と希望を出したもののイシス側に却下されたので、困った時の魔女頼み。城の端にある離れに向かう。

アーシェンが18才になるまで5年以上ある。
そんなに待っていられるか。
こっちの気が狂ってしまう。




離れでは赤い髪の美しい魔女が、植物園から採ってきた薬草で何やら良い香りのする薬剤を作っていた。

「レイド、いらっしゃい。また手紙を送るの?」

「いえ、おばあ様に助言を賜りに参りました」

並ぶと同じ位の年齢に見える祖母と孫である。
レイドは愛しい番と明日にでも結婚したい苦しい胸の内を話す。

魔女の5年は一瞬だが、狼にとっての番に会えない5年は辛く長い。
唯一愛した狼獣人の夫と過ごした日々を思い出す。
幸せな時間はあっという間だった。

イシス一行がこの城に滞在中、ローゼは人前には出なかったが、アーシェンの姿は遠目で見ている。
孫の番がどんな少女なのか気になったのだ。

12才よりは幼く見えた。
あれではイシスの両親も嫁には出したがらないだろう。

「私も手紙を書くわ」

人の生は儚い。想い合った者同士、一緒にいられる時間は限られている。愛する相手が亡くなってから、もっと一緒にいられたら、もっと早く出会っていたらと、誰もが悲しみに暮れる。愛が深ければ深いほど、その悲しみは大きく、伴侶を失った孤独に打ちのめされる。

愛し合っているのなら、少しでも多くの時間を共に過ごすべきだ。

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