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きらびやかな髪色に透き通る白い肌。全てを見通すようなミントグリーンの澄んだ瞳。
誰もがその美しい姿に目が離せなくなるもの。
けれど当の本人は他人の視線など気にかける事などありません。
王女ソフィアは銀の園庭に現れたかと思えば、真っ直ぐにアステリアの元へと急ぎ足で向かいました。そして、トリスタンとアデルの間に割り込むと、トリスタンの手をとるはずだった無防備に放置されたアステリアの手を、王女が熱く握りしめたのです。
『大丈夫ですか?』
『え?』
王女の言う“大丈夫ですか”という言葉が何を意味しているのか、アステリアには分からず首を傾げました。
『足を…痛めたのではありませんか?』
アデルの強引なダンスに足を痛めたのでしょう。元々痛みに強いというのもあり、王女に言われて初めてアステリアは足が痛い事に気づいたのです。
ドレス越しで足元は見えないはずなのに、どうして気づいたのか……
「そうなのですか!?」
『あーうん。確かにちょっと痛い…かも。』
メガネ越しでも分かるくらいトリスタンの驚いた瞳に、アステリアはハッキリと“痛い”と申告する事は出来ませんでした。
『お姉様が頑張っていらっしゃるのは存じておりますが、大事なお身体ですもの。無理はいけません。ねぇ、ナリス様?』
優しい物言いでしたが、“今日の指導は終わりにして”と意味を含んでいました。ナリスはすぐにその意味を汲み取ると“もちろん”と頭を傾げ、メイドと共にその場を下がりました。
王女の存在が空気を引き締めるを感じます。
「では、王宮医を呼んで参ります。」
『不要だ。医師が来るのを待つより、私が手当てした方が早いでしょう。』
医師を呼びに行こうとしたトリスタンを王女は言葉1つで簡単に制止しました。
王女自ら手当てすると言い出したのですから。
「っ!なりません。王女様にそのような事をさせるわけには。」
『そうです!そんなに酷いわけでもないし、大丈夫ですよっ!』
カイルの妹で聖女でもある王女に手当てされるだなんて、いろんな意味でアステリアは怖くなり必死で大丈夫だと言い続けました。
けれど.……
「手当てしくれるつってんだろ?甘えればいいじゃん。よっ…と。」
『はィッ…!』
それまで黙っていたアデルは不意を突くように、軽々とアステリアをお姫様抱っこしたのです。
乱暴に扱われる事には慣れていましたが、1人の女性として扱われるのは鳥肌ものでした。
「んで、どこに運べばいいんです?王女様?」
『……聖堂に。ここから遠くありませんから。』
『聖堂!?』
アステリアの口はパカパカとアデルに何か訴えかけておりましたが、アデルは気にもとめません。
少しだけアデルの口が動き、声には出さないものの、それがアステリアにとって余計に腹立たしくも感じました。
“ばーか”
アデルの唇はそう動いていたのです。
誰もがその美しい姿に目が離せなくなるもの。
けれど当の本人は他人の視線など気にかける事などありません。
王女ソフィアは銀の園庭に現れたかと思えば、真っ直ぐにアステリアの元へと急ぎ足で向かいました。そして、トリスタンとアデルの間に割り込むと、トリスタンの手をとるはずだった無防備に放置されたアステリアの手を、王女が熱く握りしめたのです。
『大丈夫ですか?』
『え?』
王女の言う“大丈夫ですか”という言葉が何を意味しているのか、アステリアには分からず首を傾げました。
『足を…痛めたのではありませんか?』
アデルの強引なダンスに足を痛めたのでしょう。元々痛みに強いというのもあり、王女に言われて初めてアステリアは足が痛い事に気づいたのです。
ドレス越しで足元は見えないはずなのに、どうして気づいたのか……
「そうなのですか!?」
『あーうん。確かにちょっと痛い…かも。』
メガネ越しでも分かるくらいトリスタンの驚いた瞳に、アステリアはハッキリと“痛い”と申告する事は出来ませんでした。
『お姉様が頑張っていらっしゃるのは存じておりますが、大事なお身体ですもの。無理はいけません。ねぇ、ナリス様?』
優しい物言いでしたが、“今日の指導は終わりにして”と意味を含んでいました。ナリスはすぐにその意味を汲み取ると“もちろん”と頭を傾げ、メイドと共にその場を下がりました。
王女の存在が空気を引き締めるを感じます。
「では、王宮医を呼んで参ります。」
『不要だ。医師が来るのを待つより、私が手当てした方が早いでしょう。』
医師を呼びに行こうとしたトリスタンを王女は言葉1つで簡単に制止しました。
王女自ら手当てすると言い出したのですから。
「っ!なりません。王女様にそのような事をさせるわけには。」
『そうです!そんなに酷いわけでもないし、大丈夫ですよっ!』
カイルの妹で聖女でもある王女に手当てされるだなんて、いろんな意味でアステリアは怖くなり必死で大丈夫だと言い続けました。
けれど.……
「手当てしくれるつってんだろ?甘えればいいじゃん。よっ…と。」
『はィッ…!』
それまで黙っていたアデルは不意を突くように、軽々とアステリアをお姫様抱っこしたのです。
乱暴に扱われる事には慣れていましたが、1人の女性として扱われるのは鳥肌ものでした。
「んで、どこに運べばいいんです?王女様?」
『……聖堂に。ここから遠くありませんから。』
『聖堂!?』
アステリアの口はパカパカとアデルに何か訴えかけておりましたが、アデルは気にもとめません。
少しだけアデルの口が動き、声には出さないものの、それがアステリアにとって余計に腹立たしくも感じました。
“ばーか”
アデルの唇はそう動いていたのです。
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