貴方の全てを愛してる

栢野すばる

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「はん……しょく……?」

 男同士でそんなの無理だろ、と言いかけたゲオルグのぬかるんだ裂け目にぬるりとリージェンスの長い指が沈む。

「ひっ、いやぁ!」

 女のような悲鳴をあげてしまった、と思う間もなく、まだほとんど雄を知らない柔らかな粘膜が、リージェンスの指で執拗にこすられ始めた。

 同時に硬く尖り始めた乳嘴を唇で噛まれ、吸い上げられ、ゲオルグの身体に耐え難い掻痒感が走る。

「ばか、やめろ、やめ……ああああっ!」

 身をくねらせてリージェンスの体の下から逃れようとするが、まるで自由に動けない。

 秘部を音を立てて開かれ、乳房をなめられ、幾度も繰り返し刺激されて、何故だかわからないが……身体にまるで力が入らなくなってきた。

 小鳥のような力でリージェンスの肩をぐいぐい押しのけながら、ゲオルグは懇願した。

「も、もぉやだ……っ、離して、これ嫌だ、おかしくなっちまうだろ、やめ……っ、ああああっ!」

 ゲオルグの抵抗を封じるように、ぐぷりと音を立てて二本の指が秘裂に沈み込む。

 中を指でこすられるたびに、ひくひくと粘膜が反応する。

 目から涙が滲み出し、ゲオルグはぎゅっと唇を噛み締めた。

 ――待てよ、これじゃ俺、女そのものじゃねえかよ……!

 そう思った瞬間、リージェンスの親指が蜜口の外側にある何かをぐいと押した。

 下腹が燃え上がるような強い刺激に、ゲオルグの腰が反射的に持ち上がる。

「あ、ああああっ」

「……ふふ、いますごく締まりました。もうちょっとほぐしてあげるから待って」

「な、なにし……お前、今、何し……」

 ぼろぼろと涙をこぼしながら、ゲオルグはなんとか足を閉じようと虚しい抵抗を繰り返す。

 乳房を吸うのに満足したのか、リージェンスが体位を変えて、ゲオルグの首筋に顔を埋めて何度も口づけを繰り返す。

「声もかわいい……肌もすごく甘くて美味しい……可愛いよ、班長、俺の班長……」

 甘い声に、ゲオルグの体が震えた。

 ――嫌だ、嘘だ、気持ちいいなんて嘘だ……

 女体化の禁呪は、男を心の底から全て女に変える、と聞いたことがある。

 今のゲオルグは、ゲオルグ・フォーマンという男の記憶を持つだけの、一介の少女に過ぎないのかもしれない。

 信じたくない。悪夢だ。

 それなのに今のゲオルグは、これまで抱いてきたように秘部を蜜で濡らして、リージェンスの愚行を官能を持って受け入れようとしている。

「や、やだ……いやだ……もういや……」

「すぐに良くなるよ。だってもうこんなに蕩けてひくひく言ってるから……」

「いやぁ……ん、んっ……」

 震えながらの抵抗の言葉は、リージェンスの唇に塞がれてしまった。

 舌でゲオルグの口内を、指先で蜜を溢れさせる隘路を弄りながら、リージェンスがそうっとゲオルグに体重をかけた。

 ゲオルグは、その重みを反射的に受け止める。

 ――何を唯々諾々と受け入れようとしてるんだよ……待てよ……こいつは末恐ろしい化物で、人間ですら……

 必死にかき集めた抵抗が、リージェンスのなめらかな肌の感触に溶けてゆく。

 どうでもいい、気持ちいいからこのまま流されてしまえ。心の奥からそんな声が聞こえてくる。

 リージェンスが、うっとりと閉じていた目を開けた。わすれなぐさ色の美しい瞳の奥に、小さな黒と朱の雷がひらめくのが見える。

 ――禁人って、何なんだよ……

 だが、その質問は口にはできなかった。喉が貼り付いたようになって、切れ切れの声しか漏れてこない。

 抵抗をやめたゲオルグの足が大きく開かれ、鋼の剣のように昂ぶった切っ先が、濡れた入り口に押し当てられた。

「や、やめ……」

「なんだろう。禁呪のせいかな……いまとてつもなく繁殖したいんです。班長お願い、俺の子供たくさん産んで……?」

「い、いや、いくらお前の魔法がすごくても、俺は生まれつき女じゃねえから流石に無理だろ」

 ゲオルグの反論に、リージェンスは何も答えなかった。

 意志とは裏腹にぐっしょりと濡れた部分が、リージェンスの屹立をずぶずぶと飲み込んでいく。

「あ……あぁ……っ……」

 雌の声が、ゲオルグの喉から漏れた。
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