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2 レンシェン:1
玲奈が結婚式の夜に姿を消してから半年が経った。
僕の心が空洞になってから、半年だ。
彼女は故郷に帰ったようだと、大賢者アイーダは言った。
だが、僕は彼女を迎えに行けない。
何故ならば、彼女は異世界から召喚された、救世の聖女だからだ。
もちろん迎えに行きたかった。だが、異世界人でない僕は、彼女の世界には行けない。たとえ魔法で移動を試みようとも『弾き返される』らしいのだ。
最近、周りの皆が『もう半年以上経ちます。レナ様には帰還の意思はおありにならないのでは?』と言い始めた。
遠回しに、新しい妃を迎えられるべきでは、などと言い出すものまで居る始末だ。
いつものようになるべく感情を見せないよう曖昧な笑顔でごまかしてはみたが、余計なお世話だという気持ちは拭えない。
最愛の人を失い、僕が傷ついていないとでもいうのか。ヘラヘラ笑いながら、新しい娘を娶るとでも思われているのだろうか。そんな事は決してあり得ないのに。
玲奈が姿を消してまだ半年と少ししか経っていない。
ようやく結んだ愛を諦めるには、半年という時間は短すぎる。
玲奈はきっと帰ってくる。帰ってこないのは……そう、きっと理由があるはずだ。
僕には感知できなかった何か重大な問題が。再び帰ってきて、僕から去った理由をきっと聞かせてくれるはずだ。彼女は公正な人間だ。僕との愛の誓いを裏切ったりはしないはず。
僕は彼女を信じている。
いや、正しくは……彼女も僕を愛していてくれたはずだ、という『妄執』に取り憑かれている。
僕の名前は、レンシェンという。
姓がないのは、僕が聖王国レファントスの王太子として生を受けた身の上だからだ。
この世界を守る代わりに、ありとあらゆる富と名声を所有することが許されたレファントス聖王家。
だが、僕は聖王家の長男として生まれながら、王族としての優雅な生活とは程遠い毎日を送ってきた。
なぜならば、十三年前……僕が十二のとき、世界が『病』を発病したからである。
僕が住むこの世界は、定期的に『病』と言うものに冒される。
その症状は、たいがい『極地』と呼ばれる聖王国の北部の農業地帯で発生するのだ。
極地の豊かな植物はじわじわと枯れ始め、病に侵された大地は豊かな土壌を失って砂礫と化し始めた。
これを放置すれば、世界は完全に砂礫の大地と化し、そこで生きる人間たちは皆、生気を吸い尽くされて死んでゆくのだ。
遠い昔、この病のせいで、世界は人類の半分近くを失った。
その悲惨な歴史をきっかけに、レファントスを中心とする王国群は、その原因を追求するために『賢者の廃園』と呼ばれる魔導組織を作り、病を防ぐ方法を必死で研究してきたのだ。
賢者と呼ばれる魔法使いたちが長い年月を掛けて分析した結果によると、病が発生する理由は、以下の様なことだった。
……この世は、虚無の広大な空間がある。そこには、無数の世界がそれぞれ己を守る障壁を持ち、球体のように浮いている。
僕達の世界も、その虚無空間に浮かぶ世界の一つなのだ。
しかし、私達が住む世界は、己を守る障壁が少し弱いらしい。
その為、他の世界と接触した際に亀裂が生じ、この世界にとって毒となる、異世界の『何か』が侵入してくるのだ。
その『何か』のせいで、僕達の世界は病に罹患するらしい。
しかし、毒となる要素があれば、薬となる要素もあるはずだ……世界の病に苦しむうちに、人々はそんな仮設にたどり着いたのだという。
賢者の理論に寄ると、虚無空間に存在する無数の世界は、全体で見れば完全に均衡している。
この世に存在するどんな天秤も、すべての世界を見渡せば、必ず釣り合う。
……つまり、毒もあれば、薬もある。
この世界を病ませる毒を洗い流すほどの『力』を持つものも、あまたある異世界の何処かにあるはずなのだ。
それを呼び出すことが出来れば、世界の病に抗する薬となる。
そこからまた、長い時間を掛けて研究は進められた。
結果、薬となる存在が見つかったのだ。その『薬』が、この世界に干渉する力を持つ、別の世界の人間だということもわかった。
賢者達は世界を『病』から救うために、異世界の人間をここに呼び出す、『召喚』という方法を編み出した。
以降、世界が病に罹患するたびに、レファントス聖王国は、異世界の人間を召喚してきた。
不思議なことに、召喚される人間は、皆若い女性だった。ゆえに、彼女たちは、この世界では『聖女』と呼ばれるようになった。
今回の病においても同じだ。
『賢者の廃園』の魔導師たちは、聖王家の命令のもと、すぐに『聖女召喚』の儀式に入った。
そして、病の侵食の始まった極地そばの砦には、王太子である僕が総督として派遣されることになった。
聖王家の血筋の中から、僕が選ばれた理由は一つ。
僕が『病』の進行を遅らせる力を持っていたからに他ならない。
病を完全に癒せるのは異世界から呼ばれる『聖女』だけだ。
しかし、病の進行を遅らせる程度の力を持つものが、聖女の子孫の中にたまに生まれることがある。
その一人が僕だ。
おそらくは、世界が病に瀕するたびに召喚された聖女達の多くが、レファントス聖王家に嫁いで子を成してきたせいだろう。
大概の聖女は、召喚されてすぐは元の世界に帰りたがると言うが、病を払った後にこの世界での使命を悟り、残りたいと申し出て下さる場合が多かったのだという。聖王家の王子たちと、聖女たちとの絢爛たる結婚絵巻は、いまでもこの国の少女たちのあこがれになっている。
聖王家の血筋である僕の体には、偉大なる過去の聖女たちの血が多少なりとも流れている。
姉よりも弟妹よりも、僕のその血は濃く、潜在的に持つ聖女の力は強かった。それゆえに、僕は極地に送られ、病の進行を食い止める役割を担う事になった。
母上は『まだ十二歳のレンシェンを極地に送るなんて』と泣いた。だが、父上は僕に『たとえ命を捨てることになろうとも、世界のために尽くしてこい。聖女の召喚に成功する日まで、お前の力で病を食い止めて見せよ』と命じられた。
聖王家の人間は、世界の危機から逃げることは許されていない。
たとえ、幼い子どもであっても……だ。
幼い僕は父王の命令を受け入れ、極寒の極地へと赴くことになった。
父王は、僕を見送る日、声を殺して涙を流していた。それほど危険な場所に送られるのだ、と、あの時僕は悟った。
崩壊の病に侵食され始めた極地は、酷い有様だった。
異常な低温、農作物の極端な不作。
それから、生気を吸われて倒れ、死んでゆく同胞たち。極め付けに、病によって得体の知れない力を得た獣が、怪物と化して近隣の村や街を襲うようになってしまったのだ。
崩壊の前線を監視する騎士たちも、数ヶ月単位での交代を余儀なくされるようなひどい土地だった。
しかし僕は、病の進行を食い止めるため、ずっとそこに留め置かれた。
僕の中に流れる過去の聖女の力はそれほど強くはなく、病の患部と呼ぶべき極地から距離を取ることは不可能だったからだ。僕は、病巣の側にいなければ、病を食い止める力を発揮できなかった。
祖先である聖女の血のお陰で、僕の体は生気を奪われる事はなかったようだ。
しかし、初めのうちは、寒さで高熱を出したり、食べなれない食事に音を上げて衰弱したりと、砦の皆にはひどく心配をかけてしまった。
まだ子供だった僕自身、暖かく清潔な聖王宮が、そして両親や兄弟がどれだけ恋しかったことだろう。
ただ、極地の総督であるアッヘンベルガー将軍は、ひ弱で情けない『王子様』の僕を実の孫のようにかわいがってくれた。彼が根気強く僕を見守り、鍛えあげてくれたおかげで、僕は随分丈夫な男に育つことが出来たと思う。
聖王宮でぬくぬくと育っていたら、僕はただの非力で優しい『王子様』のままだっただろう。
『病』による世界の崩壊をただ見つめながら、聖女が無事に召喚される日を祈り続けた日々。
生気を吸われ、苦しんで死にゆく部下の看護をしながら見送った日々。
吹雪の中、砦に入り込んで餌を貪ろうとし、隙あらば食物を求めて街を襲おうとする奴らを命がけで屠って、僕の体は傷だらけになった。
食べるものもろくになく、食料の配給を待って、雪に閉ざされた砦の中で雪を解いた水をすすっていた日々。
――いつ本格的な世界の滅亡が始まるのか。次に生気を奪われ倒れるのは誰なのか。僕なのか僕に明日は来るのか。世界に明日は来るのだろうか。
明るい夢など一度も見ないまま、僕は成人し、気づけば二十三歳になっていた。
聖女の召喚は、全く成功しないままだった。
魔法に詳しくない僕には理由は分からないが、どんなに手をつくしても、病を打ち払える聖女が見つからなかったらしい。
僕達は、灰色の地獄を見つめたまま、ただ待ち続けた。
聖女が、この世界を救ってくれる日を。
閉塞した絶望に満ちたあの日々を終わった日のことは、今でも鮮やかに思い出すことが出来る。
十一年ぶりに止んだ吹雪と、厚い鉛色の雲の切れ間から真っ青な空が久しぶりに覗いた時、僕は放心するしか出来なかった。
何が起きたのかわからなかったのだ。
僕達の閉塞した闇に、光が差したことが理解できなかったのだ。
しかし、呆然としている僕に、ついに生気を奪われ死の床に伏していたアッヘンベルガー将軍が教えてくれた。
『殿下、聖女様の召喚に成功したかも知れませぬ。過去の救済の時と同じ事象が、この極地にも起きているようです』
……そう、あの日、僕達は救われたのだ。
異世界から召喚した、一人の少女によって。
僕は聖女の召喚が成功してすぐに王都に呼び戻され、聖女の介添え役を命じられた。
母の妹の娘……僕の従姉妹にあたる『大賢者アイーダ』は、僕を介添えに選んだ理由を、非常にわかりやすく説明してくれた。
「歴代の聖女の多くは聖王家に嫁いだわ。理由はわかる? これまでの数々の王子様が手練手管の限りを尽くして、聖女をこの世界に繋ぎとめようと努力したからよ。過去の聖女たちがこの世界を選んでくれたのは、聖王家の莫大な財による後押しと、美貌の王子様たちの優しくて甘い囁きによるところが大きいの。貴方にもその義務が課せられたのよ。頑張ってね」
いつも男の子の格好をしているアイーダが、そう言って肩をすくめた。
彼女は十五歳で『賢者の廃園』に招かれ、若干十九歳にして夭折した時の大賢者の後継者に指名された、正真正銘の天才……なのである。
しかし、彼女は昔から天衣無縫というか……気ままな性格なのだ。
「まあ、今回の聖女様は、泣いてばかりでちょっと面倒な子だけど、可愛いからいいんじゃない? 口説き甲斐があるわよ、多分」
聖女に対してなんという口の利きようだろう。さすがの僕も呆れてしまった。
「泣くのは当たり前だろう、僕たちは聖女を無理矢理この世界に連れてきたんだ。何の関係もない人間を、この世界の都合で!」
僕の言葉に、アイーダは、つまらなそうに溜息をついた。
「泣いている女の子は苦手なの。私、女友達とか居ないからどうして良いのかわからなくって」
アイーダは、十一年の間失敗し続けた聖女召喚をたったの数ヶ月で成功させた、偉大な賢者にして功労者だ。
不世出の天才魔術師であることも認める。だが、このような物言いは許されるものではない。
「話を聞いてあげればいいじゃないか。何故そんな思いやりの無いことを……」
語気を荒げた僕の前で、アイーダが肩をすくめた。
「無理ね、女の子の相手なんて、退屈で出来ないわぁ」
「出来ないと投げ出すのではなく、出来るように努力したらどうだ。どうして君は昔から……」
「あ、私、用事があるの。ごめんなさーい。じゃあね!」
けろっとした表情で言いたいことだけを言うアイーダに呆れ、僕はその場を後にした。
ずっと泣き続けているという聖女殿が心配なので、愚痴くらいは聞こうと面会に赴いたのだ。
召喚されたという聖女殿は、王宮の一番奥の『聖なる広間』で、白いドレスを纏い、長椅子にちょこんと腰掛けていた。
黒い髪に黒い目をしていて、折れそうに細くて小さい。
それが、僕の第一印象だった。
「貴方は、王子様……なのですか」
驚いたようにそう言った『聖女』は、僕の予想よりも幼い顔立ちをしていた。
「私、知らない人がたくさんいる場所が苦手で……それに世界を救えと言われても、こ、怖くて……ちゃんと出来ているか分からなくて」
聖女は……玲奈は率直にそう言い、僕のまえではらはらと涙をこぼした。
大きな黒い目から溢れる涙は、僕の目には、とても美しく見えた。
誰かの涙を拭いたいと思ったのは、あの時が初めてだ。
この儚げな少女が、僕たちをあの終わりの見えない地獄から救ってくれたのだ。絶望に塗りつぶされていく毎日が終わったのは、彼女のおかげなのだ。
偉大なる聖女に対する、感謝の気持ちが、尊敬の念が、僕の心には湧くはずだった。
……だが、そうはならなかった。
僕はその瞬間、彼女を可愛いと思ってしまったのだ。
普通の少女に対して抱くような、凡庸な好意を抱いてしまった。
神にも等しい存在に抱くべき気持ちは、清らかなものであるべきだ。なのに、僕の心に生まれたのは、恋だった。
僕は常に玲奈を喜ばせたいと思っていた。
だが、僕は四つ年下の弟とは違い、王子らしい華やかな振る舞いも知らず、面白い事も言えない男だった。
十二の歳から僕を育ててくれたアッヘンベルガー将軍は、昔ながらの品行を重んじる古強者で、女性にもの柔らかに接する方法など何一つ教えてはくれなかったのだ。
僕は、何もかもが怖いと泣き続ける繊細な玲奈を、うまく泣きやませることは出来なかった。
彼女への恋心を押し隠し、木偶の坊のように慰めの言葉をひたすら口にする僕を、玲奈はどう思っていたのだろう。
だが日が経つにつれ、玲奈は僕に微笑みかけてくれるようになった。
初めて玲奈の笑顔を見た時、疲れきった、乾いた大地だった僕の心には花が咲いた。
あんなに甘くやわらかな気持ちになったのは、生まれて初めてだった。
同時にその日から、僕は、傍らで微笑む玲奈の横顔を見つめながら、体に湧き出すどろりとした『熱』を噛み殺す羽目になった。
玲奈が笑えば、恐怖と苦しみに倦んでいた僕も笑いたくなった。
そして夜は、頻繁に玲奈の夢を見た。王子でも何でもない僕が、聖女でも何でもない玲奈と手を繋いで歩く夢だ。
正直に言えば、僕はずっと、玲奈の柔らかそうな手に触れてみたいと思っていた。
僕は歳相応の楽しみなど何も知らぬまま、あの苦しい日々に耐え続けたのだ。
いつか、玲奈を腕に抱くくらい許されるはずだ。
……そう思いつめるようになるのに時間はかからなかった。
気を抜けば湧き上がるどろどろした気持ちに、僕は強く強く蓋をした。
玲奈は、僕を綺麗で優しい人だと言ってくれる。
だから僕は、玲奈の期待に応えて、ずっと綺麗でいたい。
死の臭いに怯え、化け物に苦戦し、寒さに震えながら身を縮めて生きてきた過去なんて彼女には見せない。もう嫌だ、助けてくれと一人啜り泣いた弱さなど知られたくない。
玲奈の前では、レファントスの王太子に相応しく、華麗に完璧に振舞いたいと思った。
切ない恋心ゆえの、愚かな決心だったと思う。本当の僕はそんなに格好良くもなく、実際に勇者でも何でもなかった、ただの男なのに。
しかし、恋に歯止めは掛けられなかった。
僕は父に何度も直談判した。
聖女をこの世界に繋ぎとめるため、ではなく、僕の意思で、僕の愛情を理由として彼女に求婚したい。だから、求婚するまで聖王家に公的に介入してほしくないのだと頼んだ。
もしレナに断られたらどうする、と初めは難しい顔をしていた父も、最後にはこう言ってくれた。
『確かに、幼い頃から、お前一人だけに辛い思いをさせすぎた。自由に恋をするのも一度くらいはいいかもしれない』と。
そして世界が救われたと判定された日、玲奈は、僕の純粋な求愛に頷いてくれた。
しかし、今になって思う。
もしかしたら玲奈が去ってしまったのは、この結婚に納得していなかったからではないか、と。
いや、そんなはずはない。
求婚した日、彼女は『私もレンシェン様をお慕いしております』と間違いなく言ってくれた。
玲奈は僕に愛想をつかして去っていったわけではないはずだ。きっと帰ってきてくれる、はずだ。
だが、新婚の一日目に妃が姿を消すなんて……愛しあう夫婦の間にそんなことがありえるのだろうか。
僕は本当は、彼女に嫌われていたのではないだろうか。
だが、ひとり虚しく葛藤する日々は、ある時急に終わりを告げた。
真っ青になって駆けつけてきた妹のフィオリーナが、僕に飛びついて叫んだからだ。
「お、お兄さま……っ! 早く、早くいらして下さいませ! 玲奈様が戻っていらっしゃいました!」
フィオリーナの言葉は本当だった。
玲奈が、広い居間で人々の介添えを受けながら、肩を震わせて泣きじゃくっている。
僕の最後の記憶とまるで変わらない姿だ。
「玲奈!」
僕は『王太子らしい振る舞い』も忘れ、玲奈を取り囲む人々を押しのけて、彼女に手を伸ばした。
君はなぜ、こんなに長い間僕から離れていたのか。
今までどこで何をしていたのか。
玲奈の体を抱き寄せ、そう問い詰めようとした僕は、すんでの所で理性を取り戻した。
……落ち着かなくては。
震えながら涙を流す玲奈のそばに膝をつき、僕は可能な限り優しい声で尋ねた。
「玲奈、急にいなくなってとても心配した。今までどこにいたんだ?」
だが、穏やかに響いたはずの僕の言葉に、玲奈はますます顔を曇らせる。
「挙式から、半年以上経っているって本当ですか」
僕はためらった末、小さく頷いてみせた。
玲奈を責めてはいけない。問い詰めてはいけない。
だが……何があったのか知りたい。
今の玲奈の気持ちを知りたい。
彼女にわからないよう小さく唇を噛んだ僕の前で、玲奈は顔を背けてぎゅっと目をつぶった。
「ごめんなさい……こんなことになると思わなくて。ごめんなさい」
僕の心が空洞になってから、半年だ。
彼女は故郷に帰ったようだと、大賢者アイーダは言った。
だが、僕は彼女を迎えに行けない。
何故ならば、彼女は異世界から召喚された、救世の聖女だからだ。
もちろん迎えに行きたかった。だが、異世界人でない僕は、彼女の世界には行けない。たとえ魔法で移動を試みようとも『弾き返される』らしいのだ。
最近、周りの皆が『もう半年以上経ちます。レナ様には帰還の意思はおありにならないのでは?』と言い始めた。
遠回しに、新しい妃を迎えられるべきでは、などと言い出すものまで居る始末だ。
いつものようになるべく感情を見せないよう曖昧な笑顔でごまかしてはみたが、余計なお世話だという気持ちは拭えない。
最愛の人を失い、僕が傷ついていないとでもいうのか。ヘラヘラ笑いながら、新しい娘を娶るとでも思われているのだろうか。そんな事は決してあり得ないのに。
玲奈が姿を消してまだ半年と少ししか経っていない。
ようやく結んだ愛を諦めるには、半年という時間は短すぎる。
玲奈はきっと帰ってくる。帰ってこないのは……そう、きっと理由があるはずだ。
僕には感知できなかった何か重大な問題が。再び帰ってきて、僕から去った理由をきっと聞かせてくれるはずだ。彼女は公正な人間だ。僕との愛の誓いを裏切ったりはしないはず。
僕は彼女を信じている。
いや、正しくは……彼女も僕を愛していてくれたはずだ、という『妄執』に取り憑かれている。
僕の名前は、レンシェンという。
姓がないのは、僕が聖王国レファントスの王太子として生を受けた身の上だからだ。
この世界を守る代わりに、ありとあらゆる富と名声を所有することが許されたレファントス聖王家。
だが、僕は聖王家の長男として生まれながら、王族としての優雅な生活とは程遠い毎日を送ってきた。
なぜならば、十三年前……僕が十二のとき、世界が『病』を発病したからである。
僕が住むこの世界は、定期的に『病』と言うものに冒される。
その症状は、たいがい『極地』と呼ばれる聖王国の北部の農業地帯で発生するのだ。
極地の豊かな植物はじわじわと枯れ始め、病に侵された大地は豊かな土壌を失って砂礫と化し始めた。
これを放置すれば、世界は完全に砂礫の大地と化し、そこで生きる人間たちは皆、生気を吸い尽くされて死んでゆくのだ。
遠い昔、この病のせいで、世界は人類の半分近くを失った。
その悲惨な歴史をきっかけに、レファントスを中心とする王国群は、その原因を追求するために『賢者の廃園』と呼ばれる魔導組織を作り、病を防ぐ方法を必死で研究してきたのだ。
賢者と呼ばれる魔法使いたちが長い年月を掛けて分析した結果によると、病が発生する理由は、以下の様なことだった。
……この世は、虚無の広大な空間がある。そこには、無数の世界がそれぞれ己を守る障壁を持ち、球体のように浮いている。
僕達の世界も、その虚無空間に浮かぶ世界の一つなのだ。
しかし、私達が住む世界は、己を守る障壁が少し弱いらしい。
その為、他の世界と接触した際に亀裂が生じ、この世界にとって毒となる、異世界の『何か』が侵入してくるのだ。
その『何か』のせいで、僕達の世界は病に罹患するらしい。
しかし、毒となる要素があれば、薬となる要素もあるはずだ……世界の病に苦しむうちに、人々はそんな仮設にたどり着いたのだという。
賢者の理論に寄ると、虚無空間に存在する無数の世界は、全体で見れば完全に均衡している。
この世に存在するどんな天秤も、すべての世界を見渡せば、必ず釣り合う。
……つまり、毒もあれば、薬もある。
この世界を病ませる毒を洗い流すほどの『力』を持つものも、あまたある異世界の何処かにあるはずなのだ。
それを呼び出すことが出来れば、世界の病に抗する薬となる。
そこからまた、長い時間を掛けて研究は進められた。
結果、薬となる存在が見つかったのだ。その『薬』が、この世界に干渉する力を持つ、別の世界の人間だということもわかった。
賢者達は世界を『病』から救うために、異世界の人間をここに呼び出す、『召喚』という方法を編み出した。
以降、世界が病に罹患するたびに、レファントス聖王国は、異世界の人間を召喚してきた。
不思議なことに、召喚される人間は、皆若い女性だった。ゆえに、彼女たちは、この世界では『聖女』と呼ばれるようになった。
今回の病においても同じだ。
『賢者の廃園』の魔導師たちは、聖王家の命令のもと、すぐに『聖女召喚』の儀式に入った。
そして、病の侵食の始まった極地そばの砦には、王太子である僕が総督として派遣されることになった。
聖王家の血筋の中から、僕が選ばれた理由は一つ。
僕が『病』の進行を遅らせる力を持っていたからに他ならない。
病を完全に癒せるのは異世界から呼ばれる『聖女』だけだ。
しかし、病の進行を遅らせる程度の力を持つものが、聖女の子孫の中にたまに生まれることがある。
その一人が僕だ。
おそらくは、世界が病に瀕するたびに召喚された聖女達の多くが、レファントス聖王家に嫁いで子を成してきたせいだろう。
大概の聖女は、召喚されてすぐは元の世界に帰りたがると言うが、病を払った後にこの世界での使命を悟り、残りたいと申し出て下さる場合が多かったのだという。聖王家の王子たちと、聖女たちとの絢爛たる結婚絵巻は、いまでもこの国の少女たちのあこがれになっている。
聖王家の血筋である僕の体には、偉大なる過去の聖女たちの血が多少なりとも流れている。
姉よりも弟妹よりも、僕のその血は濃く、潜在的に持つ聖女の力は強かった。それゆえに、僕は極地に送られ、病の進行を食い止める役割を担う事になった。
母上は『まだ十二歳のレンシェンを極地に送るなんて』と泣いた。だが、父上は僕に『たとえ命を捨てることになろうとも、世界のために尽くしてこい。聖女の召喚に成功する日まで、お前の力で病を食い止めて見せよ』と命じられた。
聖王家の人間は、世界の危機から逃げることは許されていない。
たとえ、幼い子どもであっても……だ。
幼い僕は父王の命令を受け入れ、極寒の極地へと赴くことになった。
父王は、僕を見送る日、声を殺して涙を流していた。それほど危険な場所に送られるのだ、と、あの時僕は悟った。
崩壊の病に侵食され始めた極地は、酷い有様だった。
異常な低温、農作物の極端な不作。
それから、生気を吸われて倒れ、死んでゆく同胞たち。極め付けに、病によって得体の知れない力を得た獣が、怪物と化して近隣の村や街を襲うようになってしまったのだ。
崩壊の前線を監視する騎士たちも、数ヶ月単位での交代を余儀なくされるようなひどい土地だった。
しかし僕は、病の進行を食い止めるため、ずっとそこに留め置かれた。
僕の中に流れる過去の聖女の力はそれほど強くはなく、病の患部と呼ぶべき極地から距離を取ることは不可能だったからだ。僕は、病巣の側にいなければ、病を食い止める力を発揮できなかった。
祖先である聖女の血のお陰で、僕の体は生気を奪われる事はなかったようだ。
しかし、初めのうちは、寒さで高熱を出したり、食べなれない食事に音を上げて衰弱したりと、砦の皆にはひどく心配をかけてしまった。
まだ子供だった僕自身、暖かく清潔な聖王宮が、そして両親や兄弟がどれだけ恋しかったことだろう。
ただ、極地の総督であるアッヘンベルガー将軍は、ひ弱で情けない『王子様』の僕を実の孫のようにかわいがってくれた。彼が根気強く僕を見守り、鍛えあげてくれたおかげで、僕は随分丈夫な男に育つことが出来たと思う。
聖王宮でぬくぬくと育っていたら、僕はただの非力で優しい『王子様』のままだっただろう。
『病』による世界の崩壊をただ見つめながら、聖女が無事に召喚される日を祈り続けた日々。
生気を吸われ、苦しんで死にゆく部下の看護をしながら見送った日々。
吹雪の中、砦に入り込んで餌を貪ろうとし、隙あらば食物を求めて街を襲おうとする奴らを命がけで屠って、僕の体は傷だらけになった。
食べるものもろくになく、食料の配給を待って、雪に閉ざされた砦の中で雪を解いた水をすすっていた日々。
――いつ本格的な世界の滅亡が始まるのか。次に生気を奪われ倒れるのは誰なのか。僕なのか僕に明日は来るのか。世界に明日は来るのだろうか。
明るい夢など一度も見ないまま、僕は成人し、気づけば二十三歳になっていた。
聖女の召喚は、全く成功しないままだった。
魔法に詳しくない僕には理由は分からないが、どんなに手をつくしても、病を打ち払える聖女が見つからなかったらしい。
僕達は、灰色の地獄を見つめたまま、ただ待ち続けた。
聖女が、この世界を救ってくれる日を。
閉塞した絶望に満ちたあの日々を終わった日のことは、今でも鮮やかに思い出すことが出来る。
十一年ぶりに止んだ吹雪と、厚い鉛色の雲の切れ間から真っ青な空が久しぶりに覗いた時、僕は放心するしか出来なかった。
何が起きたのかわからなかったのだ。
僕達の閉塞した闇に、光が差したことが理解できなかったのだ。
しかし、呆然としている僕に、ついに生気を奪われ死の床に伏していたアッヘンベルガー将軍が教えてくれた。
『殿下、聖女様の召喚に成功したかも知れませぬ。過去の救済の時と同じ事象が、この極地にも起きているようです』
……そう、あの日、僕達は救われたのだ。
異世界から召喚した、一人の少女によって。
僕は聖女の召喚が成功してすぐに王都に呼び戻され、聖女の介添え役を命じられた。
母の妹の娘……僕の従姉妹にあたる『大賢者アイーダ』は、僕を介添えに選んだ理由を、非常にわかりやすく説明してくれた。
「歴代の聖女の多くは聖王家に嫁いだわ。理由はわかる? これまでの数々の王子様が手練手管の限りを尽くして、聖女をこの世界に繋ぎとめようと努力したからよ。過去の聖女たちがこの世界を選んでくれたのは、聖王家の莫大な財による後押しと、美貌の王子様たちの優しくて甘い囁きによるところが大きいの。貴方にもその義務が課せられたのよ。頑張ってね」
いつも男の子の格好をしているアイーダが、そう言って肩をすくめた。
彼女は十五歳で『賢者の廃園』に招かれ、若干十九歳にして夭折した時の大賢者の後継者に指名された、正真正銘の天才……なのである。
しかし、彼女は昔から天衣無縫というか……気ままな性格なのだ。
「まあ、今回の聖女様は、泣いてばかりでちょっと面倒な子だけど、可愛いからいいんじゃない? 口説き甲斐があるわよ、多分」
聖女に対してなんという口の利きようだろう。さすがの僕も呆れてしまった。
「泣くのは当たり前だろう、僕たちは聖女を無理矢理この世界に連れてきたんだ。何の関係もない人間を、この世界の都合で!」
僕の言葉に、アイーダは、つまらなそうに溜息をついた。
「泣いている女の子は苦手なの。私、女友達とか居ないからどうして良いのかわからなくって」
アイーダは、十一年の間失敗し続けた聖女召喚をたったの数ヶ月で成功させた、偉大な賢者にして功労者だ。
不世出の天才魔術師であることも認める。だが、このような物言いは許されるものではない。
「話を聞いてあげればいいじゃないか。何故そんな思いやりの無いことを……」
語気を荒げた僕の前で、アイーダが肩をすくめた。
「無理ね、女の子の相手なんて、退屈で出来ないわぁ」
「出来ないと投げ出すのではなく、出来るように努力したらどうだ。どうして君は昔から……」
「あ、私、用事があるの。ごめんなさーい。じゃあね!」
けろっとした表情で言いたいことだけを言うアイーダに呆れ、僕はその場を後にした。
ずっと泣き続けているという聖女殿が心配なので、愚痴くらいは聞こうと面会に赴いたのだ。
召喚されたという聖女殿は、王宮の一番奥の『聖なる広間』で、白いドレスを纏い、長椅子にちょこんと腰掛けていた。
黒い髪に黒い目をしていて、折れそうに細くて小さい。
それが、僕の第一印象だった。
「貴方は、王子様……なのですか」
驚いたようにそう言った『聖女』は、僕の予想よりも幼い顔立ちをしていた。
「私、知らない人がたくさんいる場所が苦手で……それに世界を救えと言われても、こ、怖くて……ちゃんと出来ているか分からなくて」
聖女は……玲奈は率直にそう言い、僕のまえではらはらと涙をこぼした。
大きな黒い目から溢れる涙は、僕の目には、とても美しく見えた。
誰かの涙を拭いたいと思ったのは、あの時が初めてだ。
この儚げな少女が、僕たちをあの終わりの見えない地獄から救ってくれたのだ。絶望に塗りつぶされていく毎日が終わったのは、彼女のおかげなのだ。
偉大なる聖女に対する、感謝の気持ちが、尊敬の念が、僕の心には湧くはずだった。
……だが、そうはならなかった。
僕はその瞬間、彼女を可愛いと思ってしまったのだ。
普通の少女に対して抱くような、凡庸な好意を抱いてしまった。
神にも等しい存在に抱くべき気持ちは、清らかなものであるべきだ。なのに、僕の心に生まれたのは、恋だった。
僕は常に玲奈を喜ばせたいと思っていた。
だが、僕は四つ年下の弟とは違い、王子らしい華やかな振る舞いも知らず、面白い事も言えない男だった。
十二の歳から僕を育ててくれたアッヘンベルガー将軍は、昔ながらの品行を重んじる古強者で、女性にもの柔らかに接する方法など何一つ教えてはくれなかったのだ。
僕は、何もかもが怖いと泣き続ける繊細な玲奈を、うまく泣きやませることは出来なかった。
彼女への恋心を押し隠し、木偶の坊のように慰めの言葉をひたすら口にする僕を、玲奈はどう思っていたのだろう。
だが日が経つにつれ、玲奈は僕に微笑みかけてくれるようになった。
初めて玲奈の笑顔を見た時、疲れきった、乾いた大地だった僕の心には花が咲いた。
あんなに甘くやわらかな気持ちになったのは、生まれて初めてだった。
同時にその日から、僕は、傍らで微笑む玲奈の横顔を見つめながら、体に湧き出すどろりとした『熱』を噛み殺す羽目になった。
玲奈が笑えば、恐怖と苦しみに倦んでいた僕も笑いたくなった。
そして夜は、頻繁に玲奈の夢を見た。王子でも何でもない僕が、聖女でも何でもない玲奈と手を繋いで歩く夢だ。
正直に言えば、僕はずっと、玲奈の柔らかそうな手に触れてみたいと思っていた。
僕は歳相応の楽しみなど何も知らぬまま、あの苦しい日々に耐え続けたのだ。
いつか、玲奈を腕に抱くくらい許されるはずだ。
……そう思いつめるようになるのに時間はかからなかった。
気を抜けば湧き上がるどろどろした気持ちに、僕は強く強く蓋をした。
玲奈は、僕を綺麗で優しい人だと言ってくれる。
だから僕は、玲奈の期待に応えて、ずっと綺麗でいたい。
死の臭いに怯え、化け物に苦戦し、寒さに震えながら身を縮めて生きてきた過去なんて彼女には見せない。もう嫌だ、助けてくれと一人啜り泣いた弱さなど知られたくない。
玲奈の前では、レファントスの王太子に相応しく、華麗に完璧に振舞いたいと思った。
切ない恋心ゆえの、愚かな決心だったと思う。本当の僕はそんなに格好良くもなく、実際に勇者でも何でもなかった、ただの男なのに。
しかし、恋に歯止めは掛けられなかった。
僕は父に何度も直談判した。
聖女をこの世界に繋ぎとめるため、ではなく、僕の意思で、僕の愛情を理由として彼女に求婚したい。だから、求婚するまで聖王家に公的に介入してほしくないのだと頼んだ。
もしレナに断られたらどうする、と初めは難しい顔をしていた父も、最後にはこう言ってくれた。
『確かに、幼い頃から、お前一人だけに辛い思いをさせすぎた。自由に恋をするのも一度くらいはいいかもしれない』と。
そして世界が救われたと判定された日、玲奈は、僕の純粋な求愛に頷いてくれた。
しかし、今になって思う。
もしかしたら玲奈が去ってしまったのは、この結婚に納得していなかったからではないか、と。
いや、そんなはずはない。
求婚した日、彼女は『私もレンシェン様をお慕いしております』と間違いなく言ってくれた。
玲奈は僕に愛想をつかして去っていったわけではないはずだ。きっと帰ってきてくれる、はずだ。
だが、新婚の一日目に妃が姿を消すなんて……愛しあう夫婦の間にそんなことがありえるのだろうか。
僕は本当は、彼女に嫌われていたのではないだろうか。
だが、ひとり虚しく葛藤する日々は、ある時急に終わりを告げた。
真っ青になって駆けつけてきた妹のフィオリーナが、僕に飛びついて叫んだからだ。
「お、お兄さま……っ! 早く、早くいらして下さいませ! 玲奈様が戻っていらっしゃいました!」
フィオリーナの言葉は本当だった。
玲奈が、広い居間で人々の介添えを受けながら、肩を震わせて泣きじゃくっている。
僕の最後の記憶とまるで変わらない姿だ。
「玲奈!」
僕は『王太子らしい振る舞い』も忘れ、玲奈を取り囲む人々を押しのけて、彼女に手を伸ばした。
君はなぜ、こんなに長い間僕から離れていたのか。
今までどこで何をしていたのか。
玲奈の体を抱き寄せ、そう問い詰めようとした僕は、すんでの所で理性を取り戻した。
……落ち着かなくては。
震えながら涙を流す玲奈のそばに膝をつき、僕は可能な限り優しい声で尋ねた。
「玲奈、急にいなくなってとても心配した。今までどこにいたんだ?」
だが、穏やかに響いたはずの僕の言葉に、玲奈はますます顔を曇らせる。
「挙式から、半年以上経っているって本当ですか」
僕はためらった末、小さく頷いてみせた。
玲奈を責めてはいけない。問い詰めてはいけない。
だが……何があったのか知りたい。
今の玲奈の気持ちを知りたい。
彼女にわからないよう小さく唇を噛んだ僕の前で、玲奈は顔を背けてぎゅっと目をつぶった。
「ごめんなさい……こんなことになると思わなくて。ごめんなさい」
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