ど変態な姫騎士はガチパーティーから追放されて悦虐のソムリエを目指す

マイきぃ

文字の大きさ
13 / 31

第十三話 黄金の桃

しおりを挟む
 ロボットは、エリザの召喚魔法でダメージを受けていた。
 私も同じく、エリザの召喚魔法でダメージを受けた。

 召喚魔法の攻撃を受けた感想は、激しいの一言だ。
 体が押しつぶされる感覚は、なんとも言い難い屈辱感だ。
 踏みつぶされた蟻の気持ちがわかった気がする。

「今の、腕は……我々の世界の……」

 ロボットが何か言い始めた。だが、そんな雑談をする余裕は与えない!

「お前のドリル! ちっとも効かないぞ! 今の腕のほうが何倍も強かったぞ!」
「ぐぬぬ……おのれ……人間め……」

 ロボットは、火花を散らしながら、目を真っ赤に光らせる。
 まるで怒っているようだ。どうやら、ロボットでも感情はあるらしい。

「『エクス・デス・マキナ・レッグ』!」
 そんなくだらないやり取りの間に、エリザの二度目の召喚魔法が放たれた。
 暗雲と稲妻の中から、黄金に輝く巨大な足が勢いよく降下する。

「よし、これももらった!」
 私は、ここぞとばかりに落下地点に飛び込む。
 もちろん、ロボットの巻き添えをくらうような形で攻撃をくらう。

「ぐおおおおお!」
「はうううううっ!」

 私とロボットは、黄金の足の下敷きになる。ロボットは足のつま先の部分。私は踵の部分で踏まれた。
 威力はもちろん、私のほうが上。ロボットには悪いが、おいしいところは横取りだ。

 ロボットは悔しそうにつぶやく。
「な……なぜその力をお前たちが……」

 ロボットのダメージは大きい。破損個所が増え、動きが鈍くなってる。
 あと、一撃ぐらいで破壊できそうだ。

「お願いですから回復してください!」

 後方からエミリアのか細い叫び声が聞こえた。そういえば、私もあの召喚魔法の攻撃を受けている。
 気づけばかなりのダメージだ。
 肋骨はもう5~6本逝っている。さらに左肩は外れ、右足は明後日の方向を向いてる。
 その甲斐あってか、断続的にくる激痛が気持ちいい……いや、もし次同じようなのを食らえば、死ねるかもしれない状況だ。
 もちろん、こんなところでは死ねない。

「わかった。今もどる!」

 ロボットの動きを封じ、役目を終えた私は、一度前線を離れてエミリアに回復を受けることにした。

「次で終わりにしますわよ。異次元世界に宿りし眠る破壊の神よ、時空の壁を越え、この領域に顕現せよ。『エクス・デス・マキナ・ヘッド』!」
 エリザの三度目の召喚魔法が発動した。
 暗雲と稲妻の中から、黄金に輝く巨大な頭が勢いよく降下する。

「ぐわああああ!」
 ロボットは、その頭突きの攻撃で、腕や足を砕かれた。
 だが、まだ各々のパーツは元気に動いていた。体のコードを伸ばし、バラバラになったボディーをつないで修復を始めようとしている。

「しぶといですわね。本当にこれが最後の攻撃ですわ。この攻撃は少々威力があるので、離れでくださいまし」
「わかった。エミリア、一度引くぞ」
「はい、教官!」

 私は、エミリアを連れて後方へと下がった。

 それを確認したエリザは、無慈悲な召喚魔法を放つ。
「異次元世界に宿りし眠る破壊の神よ、時空の壁を越え、この領域に顕現せよ。最大最強の力をもって、我が敵を打ち滅ぼせ! 『エスク・デス・マキナ・ビハインド』!」

 巨大な暗雲。激しい稲妻。空間断裂。
 避けた空間から、今度は黄金に輝く巨大な桃が出現した。

 黄金の桃はロボットに向かって勢いよく降下を始める。

「ああ、あれこそは……まさか人間どもが、あの方を従えるとは……こうなれば……」
 ロボットは、その黄金の桃を見た瞬間、自らをバラバラにした。

 不思議なものを見る目でエリザがつぶやく。
「まさか、自滅したのでしょうか?」
「いや、よく見ろ! パーツが一か所に集まっていく」

 バラバラになったパーツは、磁石で吸い寄せられ、パズルのように合体し、積み重なっていく。

「やつはいったい、何をするつもりだ!」
「わかりませんわ……ただの悪あがきならよいのですが……」

 ロボットは、歓喜の声を上げた。
「エクス・デス・マキナ様! この私をどうか、あなたの力の一部に! はああああ!」
 その後、ロボットは言葉では表現できないほど美しい塔の形を形成する。
 塔の先端は、激しい光を発し、形状を見ることはできなかった。
「この体、あなたに捧げます。『フラグメント・プラグイン』!」

 すると今度は、黄金の桃が落下の速度を落とした。
 次の瞬間、黄金の桃の下部に大きな穴が開いた。

 塔は、その穴にゆっくりと自らを挿入していく。まるで合体しているかのようだ。
 塔のすべてが黄金の桃の中に収まると、桃は穴から錆びたオイルのようなものを噴射した。

 どうやら、ことが済んだようだ。
 黄金の桃は虹色の輝きを放ちながら、次元の裂け目へと帰還していった。

「この光景はいったい……なぜか涙が……」
「まるで、黄金の奇跡を見ているようですわ……」
「ちょっと卑わいですう……」

 この神々しい光景を見た私は不思議な感動を覚えた。
 なぜか、生きている喜びを感じずにはいられない。
 きっと彼らは、生命の神秘を教えてくれたのだろう。

「よし。これで、クエスト完了だ!」
「私たちの勝利ですわ」
「やったぁ~!」

 私たちは、歓喜の声を上げた。
 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。 しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。 絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。 一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。 これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!

5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる

西野歌夏
恋愛
 ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー  私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。

異世界に無一文投下!?鑑定士ナギの至福拠点作り

花垣 雷
ファンタジー
「何もないなら、創ればいい。等価交換(ルール)は俺が書き換える!」 一文無しで異世界へ放り出された日本人・ナギ。 彼が持つ唯一の武器は、万物を解析し組み替える【鑑定】と【等価交換】のスキルだった。 ナギは行き倒れ寸前で出会った、最強の女騎士エリスと出会う。現代知識とチート能力を駆使して愛する家族と仲間たちのために「至福の居場所」を築き上げる、異世界拠点ファンタジーストーリー!

処理中です...