13 / 63
人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~
花の妖精フィオレ
しおりを挟む
壮絶な《勇者》との闘いから一日が経過しました。
たしか、連れの魔法使いのエルフがいたはずです。警戒はしていたのですが、来る気配が全く感じられません。
ですが、用心するに越したことはありません。私は次の戦いのために、《勇者》が削ってくれた地面の修復を急ぎました。
修復作業のために、村人を3人ほど【複製】します。そういえば、この3人には名前がありませんでした。
なので、順番に《ほどよい食感》、《まずい健康食》、《フォアグラ》と名付けました。
この3人には、警戒を兼ねて作業に当たらせます。飛び散った草を集め、植えなおす作業です。足りない分は他から移植します。
このTP消費50の【複製】スキルですが、消費が少ない割には便利です。【複製】した獲物は、自分で動かしたり、喋らせたり、時には命令をあたえて奴隷のように働かせることができます。
前回、スキルに対する無知のおかげでひどい目に遭いましたので、今回はこのスキルも入念に調べておきました。
私が獲物を捕まえて【食事】をすると、その獲物は複製リストに入ります。リストには最大100まで入ります。【複製】された獲物は、何度も使うことによって、強く、賢くなっていくようです。
このスキルの注意点は、リストが埋まってしまうとその後に【食事】しても、複製リストに入らない点です。うっかりリストを埋めたまま欲しい人間を食べてしまえば、除外されてしまうので気をつけなければなりません。
《羽ウサギ》などは多く食べるので、気が付くとリストが《羽ウサギ》だらけで削除するのが大変だったりします。
複製リスト登録の除外リストがあれば……改善を要求したいです。
「こんにちは~!」
突然、声が聞こえてきました。この可愛い声はいったい……。
「人間から森を守ってくれたんだね! ありがとう」
蝶の羽が生えている女の子の姿をした50センチぐらいのかわいい妖精が現れました。パタパタと羽を動かして近づいてきます。
ゲージが表示されました。(HP30/30)なので、すぐに【食事】できそうです。
私の花の上にちゃっかり止まりました。とりあえず、挨拶がわりに【捕獲】をしてみました。
「キャッ! なにするのよー」
簡単に捕まりました。体力がすぐになくなります。(HP10/30)
それでは……。
い・た・だ・き・ま・す!
────パクッ。
「イヤアアァァー!」
そのまま口の中に放り込みました。
どうしたことでしょう……味がありません。食べてる感触がありません……。
「もう! いきなりひどいことしないでよ!」
妖精は、私の腹をすり抜けて出てきました。
……おかしいです……もう一度【捕獲】してみます。
「あっ! いやーっ! もうっ……なにこのつ~るううぅぅ!」
一気に口の中に放り込みます。
────パクッ。
味わってみます。
────モグモグモグ……。
ですが、味がしません。歯ごたえもありません。しばらくすると、また腹のあたりからすり抜けて出てきました。
「私は食べ物じゃないよー!」
────天敵です……食べることができません……。
私は、対話を試みました。《マリー》を【複製】して話しかけます。
「あなた、何者ですか?」
「あー! 人間がこんなところにもー! 花さん! やっつけてよ!」
「いいえ、この体は人間ではありません。私が作り出したものです」
対話に成功したようです。
「本当に? 本当?」
「本当ですよ、それよりも……あなたは一体……」
「私はね、《フィオレ》。『花の妖精』だよ! あなたは?」
「私は…………」
名前を思い出そうとした瞬間、突如、いろいろな記憶の断片が飛んできました。そして、私のことを呼んでいるような声の記憶が私の思考に干渉します。
《オードリー・クローバー》…………その声は人間の声。なんだかとても知っている声のはずなんですが、思い出せません。
「なになにー」
「私は、《人食い花》と呼ばれています」
「えー。それ、名前じゃないよぉ。っていうか、そんな名前つけたやつ、センスないー!」
さっきの記憶の断片……《オードリー・クローバー》。それは多分、私が人間だったときの名前かもしれない…………。その名前を、今の自分の名前にすることは、なぜかわかりませんが、いけないことのような気がしました。
「じゃあ、私がつけていい?」
名前ですか……それもいいかもしれませんね。
「いいですけど、変な名前つけたら食べますよ」
「食べられないから大丈夫だもーん。んんー。……何がいいかなぁ……。そうだ!」
《フィオレ》は、自信ありげに言いました。
「えっとね…………《シュカ》!」
たしか、連れの魔法使いのエルフがいたはずです。警戒はしていたのですが、来る気配が全く感じられません。
ですが、用心するに越したことはありません。私は次の戦いのために、《勇者》が削ってくれた地面の修復を急ぎました。
修復作業のために、村人を3人ほど【複製】します。そういえば、この3人には名前がありませんでした。
なので、順番に《ほどよい食感》、《まずい健康食》、《フォアグラ》と名付けました。
この3人には、警戒を兼ねて作業に当たらせます。飛び散った草を集め、植えなおす作業です。足りない分は他から移植します。
このTP消費50の【複製】スキルですが、消費が少ない割には便利です。【複製】した獲物は、自分で動かしたり、喋らせたり、時には命令をあたえて奴隷のように働かせることができます。
前回、スキルに対する無知のおかげでひどい目に遭いましたので、今回はこのスキルも入念に調べておきました。
私が獲物を捕まえて【食事】をすると、その獲物は複製リストに入ります。リストには最大100まで入ります。【複製】された獲物は、何度も使うことによって、強く、賢くなっていくようです。
このスキルの注意点は、リストが埋まってしまうとその後に【食事】しても、複製リストに入らない点です。うっかりリストを埋めたまま欲しい人間を食べてしまえば、除外されてしまうので気をつけなければなりません。
《羽ウサギ》などは多く食べるので、気が付くとリストが《羽ウサギ》だらけで削除するのが大変だったりします。
複製リスト登録の除外リストがあれば……改善を要求したいです。
「こんにちは~!」
突然、声が聞こえてきました。この可愛い声はいったい……。
「人間から森を守ってくれたんだね! ありがとう」
蝶の羽が生えている女の子の姿をした50センチぐらいのかわいい妖精が現れました。パタパタと羽を動かして近づいてきます。
ゲージが表示されました。(HP30/30)なので、すぐに【食事】できそうです。
私の花の上にちゃっかり止まりました。とりあえず、挨拶がわりに【捕獲】をしてみました。
「キャッ! なにするのよー」
簡単に捕まりました。体力がすぐになくなります。(HP10/30)
それでは……。
い・た・だ・き・ま・す!
────パクッ。
「イヤアアァァー!」
そのまま口の中に放り込みました。
どうしたことでしょう……味がありません。食べてる感触がありません……。
「もう! いきなりひどいことしないでよ!」
妖精は、私の腹をすり抜けて出てきました。
……おかしいです……もう一度【捕獲】してみます。
「あっ! いやーっ! もうっ……なにこのつ~るううぅぅ!」
一気に口の中に放り込みます。
────パクッ。
味わってみます。
────モグモグモグ……。
ですが、味がしません。歯ごたえもありません。しばらくすると、また腹のあたりからすり抜けて出てきました。
「私は食べ物じゃないよー!」
────天敵です……食べることができません……。
私は、対話を試みました。《マリー》を【複製】して話しかけます。
「あなた、何者ですか?」
「あー! 人間がこんなところにもー! 花さん! やっつけてよ!」
「いいえ、この体は人間ではありません。私が作り出したものです」
対話に成功したようです。
「本当に? 本当?」
「本当ですよ、それよりも……あなたは一体……」
「私はね、《フィオレ》。『花の妖精』だよ! あなたは?」
「私は…………」
名前を思い出そうとした瞬間、突如、いろいろな記憶の断片が飛んできました。そして、私のことを呼んでいるような声の記憶が私の思考に干渉します。
《オードリー・クローバー》…………その声は人間の声。なんだかとても知っている声のはずなんですが、思い出せません。
「なになにー」
「私は、《人食い花》と呼ばれています」
「えー。それ、名前じゃないよぉ。っていうか、そんな名前つけたやつ、センスないー!」
さっきの記憶の断片……《オードリー・クローバー》。それは多分、私が人間だったときの名前かもしれない…………。その名前を、今の自分の名前にすることは、なぜかわかりませんが、いけないことのような気がしました。
「じゃあ、私がつけていい?」
名前ですか……それもいいかもしれませんね。
「いいですけど、変な名前つけたら食べますよ」
「食べられないから大丈夫だもーん。んんー。……何がいいかなぁ……。そうだ!」
《フィオレ》は、自信ありげに言いました。
「えっとね…………《シュカ》!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
761
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる