23 / 63
人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~
記憶の断片
しおりを挟む
小道の坂を下ります。ケイトはゆっくりと歩いていきます。お酒に酔っているせいでしょうか……少し、ふらついています。
途中、民家に《借金鳥》の団体様が、家の扉を激しくつついて怒鳴り声を上げていました。
「「「インノハワカッテンダー!」」」
「「「カネカエセー!」」」
鳥の群れは、扉全体をおおい、黒く染め上げています。
この家の主は、《借金鳥》からお金を借りて、返さなかったのでしょう。もう、あの扉は持ちそうにありません。家の中を荒らされた揚げ句、中の人は、身ぐるみをはがされてしまう姿が目に浮かびます。
──『借りたら返す』──それが一番です。
さて、そろそろ日が暮れます。人通りも少なくなりました。
ケイトは橋に向かって真っすぐ歩いています。
マップを確認します。私のメニューウインドウの枠が、灰色から白に戻りました。
これで、スキルが使用可能です!
複製体は(捕獲領域)の外に出てしまったせいで、消失していたようです。なので、もう一度生成します。
橋の向こうに【複製】で《魔法使い》を生成します。そして、その手前に新しいスキルの【樹液】を設置しました。
《シュカ》(HP5000/5000:TP2350/2500)
ケイトがサラに気付きました。
「あ、いたいた。サラー! ごめん! なんか……無理言った。 おわびにさ、これ、植木鉢に移しといたからさ。もし、機嫌悪かったら許してもらえるかな」
「ケイト! もう……持ってっちゃうなんて酷い。私にだって仕事はあるしぃ……。まあ、許してあげてもいいけどね。じゃあ、こっちに持ってきて」
ケイトはゆっくりとサラに近づきます。
「リックに頼んだんだけどさ、水やってないんだよ。だからさ、気をつけてね」
「そう、しょうがないわね」
ケイトは、私の本体を《魔法使い》に渡しました。ひとまず生還です。
「たまには家によってってね、子供たち喜ぶから。じゃあね」
ケイトは立ち去ります……が……。
「あ、あれ、足が……」
簡単に【樹液】に引っかかってくれました。
「なんか、ベトベトのがくっついて離れない……」
じゃあ、ちょっとだけ眠ってもらいましょう。
「【ネムール】!」
《魔法使い》は魔法を唱えました。
「な、なにするの……サラ……あ、あれ……だめだ……ねむ……い……」
私は、《勇者》を【複製】して、倒れる《シーフ》を抱えさせました。
森の奥に連れていきます。
「あれ、ここは……」
私は、安全な場所で《シーフ》を口にふくみました。HPは、寝ている間に十分減らしてあります。
《シーフ》(HP100/600:TP1200/1200)※TP テクニカルポイント
「なんで、私。こんなこころに……」
「心配しなくても大丈夫。かまれても毒の効果で痛くないはずだから」
私の口の牙には、毒があるそうです。なんでも痛みを感じなくなるものらしいです。花と葉の棘は、普通にいたい棘ですけどね……。
「え……サラ、いるの? お願い! 助けて!」
「大丈夫、すぐにスッキリするから」
アランもケイトに話しかけます。
「おまえもこいよ! こっち側に」
「あれ……アランまで……こっち側って何よ……」
「そう、俺たちは」
「私たちは」
「「シュカ様の元にいる限り、永遠だ!」」
複製体の二人は、私に食べられている《シーフ》を嬉しそうに見守っています。
「リックとアーヤが……私、まだ死ねない……!」
《シーフ》は、暴れて私から逃げようとします。ですが、足元は蔓で縛っています。
それでは、久しぶりの…………。
「いぃぃやああああぁぁぁぁ!」
い・た・だ・き・ま・す!
────パクッ。
《シーフ》を飲み込みました。ちょっとアルコールの臭いが染みついています。ですが、そのおかげで肉の味が引き立ちます。臭みはありますが、まあまあの味でした。
────ザ、ザザァーッ……。
また、思考にノイズが割り込んできました。今度は一体……。
────「死ねない……死ねない……死ねない……私、まだ死ねない……!」────ガガッ……。
記憶の中の私は、夕暮れの山奥で、切り立った崖から落ちそうになり、岩を両手で必死につかんでいました。
──こんなところで、盗賊に襲われるなんて…………やり過ごせたのはいいのですが……もう、体力がもちません……。でも、この商工会ギルドの署名だけは……。
「誰か、お願いです! もし、いるのなら……!」
記憶の私は声を上げていました。なぜこんな必死に声を上げているのでしょう。
「私、まだ死ねない……! 死ねないんです!」
──ここまで……ですか……。
その時、目の前に誰かが現れ、記憶の私に手を差し伸べました。
「つかまれ!」
「は、はい!」
記憶の私は、その男に手を握られ、引き上げられました。……この方は!
「よかった。無事でしたかオードリー」
「あなたは……レイさん……助けに来てくれたのですね。でも、どうしてこんなところに……」
「い、いや……偶然だ。冒険者ギルドの依頼があって、盗賊団を追っていた。まさか、追った先でこんなことになってるなんて思ってもみなかった……」
「偶然でも、助かりました。ありがとうございます。……レイさん、胸元、服が破けています。縫いましょうか」
「いや、平気だ」
レイの首元が光りました。よく見ると、それは紋章でした。
──この襟の紋章……どこかで……。こ、これはディーバ帝国の王家の紋章! まさか……。
「レイ……さん。いえ、あなたは……《レイヤ・キンバル》第一王子なのですか!」
────ザザーッ……。
記憶の断片は、ここで途切れました。
いったい、この記憶はどこから出てくるのでしょう。忘れていた記憶? もしくは意図的に封じられているものなのでしょうか。
どちらにしろ、今の私にはあまり関係のないことのような気がしました。考えても意味が分かりません。
そういえば、「リックとアーヤが……」と、《シーフ》は名を呼んでいました。二人の子供を心配しているのですね。
もし、もう一度あの家に行くことがあったなら、私が食べておきましょう。私の体の中で一緒になれば、心配することもなくなるでしょうから。
【エナジークリスタル × 81】
途中、民家に《借金鳥》の団体様が、家の扉を激しくつついて怒鳴り声を上げていました。
「「「インノハワカッテンダー!」」」
「「「カネカエセー!」」」
鳥の群れは、扉全体をおおい、黒く染め上げています。
この家の主は、《借金鳥》からお金を借りて、返さなかったのでしょう。もう、あの扉は持ちそうにありません。家の中を荒らされた揚げ句、中の人は、身ぐるみをはがされてしまう姿が目に浮かびます。
──『借りたら返す』──それが一番です。
さて、そろそろ日が暮れます。人通りも少なくなりました。
ケイトは橋に向かって真っすぐ歩いています。
マップを確認します。私のメニューウインドウの枠が、灰色から白に戻りました。
これで、スキルが使用可能です!
複製体は(捕獲領域)の外に出てしまったせいで、消失していたようです。なので、もう一度生成します。
橋の向こうに【複製】で《魔法使い》を生成します。そして、その手前に新しいスキルの【樹液】を設置しました。
《シュカ》(HP5000/5000:TP2350/2500)
ケイトがサラに気付きました。
「あ、いたいた。サラー! ごめん! なんか……無理言った。 おわびにさ、これ、植木鉢に移しといたからさ。もし、機嫌悪かったら許してもらえるかな」
「ケイト! もう……持ってっちゃうなんて酷い。私にだって仕事はあるしぃ……。まあ、許してあげてもいいけどね。じゃあ、こっちに持ってきて」
ケイトはゆっくりとサラに近づきます。
「リックに頼んだんだけどさ、水やってないんだよ。だからさ、気をつけてね」
「そう、しょうがないわね」
ケイトは、私の本体を《魔法使い》に渡しました。ひとまず生還です。
「たまには家によってってね、子供たち喜ぶから。じゃあね」
ケイトは立ち去ります……が……。
「あ、あれ、足が……」
簡単に【樹液】に引っかかってくれました。
「なんか、ベトベトのがくっついて離れない……」
じゃあ、ちょっとだけ眠ってもらいましょう。
「【ネムール】!」
《魔法使い》は魔法を唱えました。
「な、なにするの……サラ……あ、あれ……だめだ……ねむ……い……」
私は、《勇者》を【複製】して、倒れる《シーフ》を抱えさせました。
森の奥に連れていきます。
「あれ、ここは……」
私は、安全な場所で《シーフ》を口にふくみました。HPは、寝ている間に十分減らしてあります。
《シーフ》(HP100/600:TP1200/1200)※TP テクニカルポイント
「なんで、私。こんなこころに……」
「心配しなくても大丈夫。かまれても毒の効果で痛くないはずだから」
私の口の牙には、毒があるそうです。なんでも痛みを感じなくなるものらしいです。花と葉の棘は、普通にいたい棘ですけどね……。
「え……サラ、いるの? お願い! 助けて!」
「大丈夫、すぐにスッキリするから」
アランもケイトに話しかけます。
「おまえもこいよ! こっち側に」
「あれ……アランまで……こっち側って何よ……」
「そう、俺たちは」
「私たちは」
「「シュカ様の元にいる限り、永遠だ!」」
複製体の二人は、私に食べられている《シーフ》を嬉しそうに見守っています。
「リックとアーヤが……私、まだ死ねない……!」
《シーフ》は、暴れて私から逃げようとします。ですが、足元は蔓で縛っています。
それでは、久しぶりの…………。
「いぃぃやああああぁぁぁぁ!」
い・た・だ・き・ま・す!
────パクッ。
《シーフ》を飲み込みました。ちょっとアルコールの臭いが染みついています。ですが、そのおかげで肉の味が引き立ちます。臭みはありますが、まあまあの味でした。
────ザ、ザザァーッ……。
また、思考にノイズが割り込んできました。今度は一体……。
────「死ねない……死ねない……死ねない……私、まだ死ねない……!」────ガガッ……。
記憶の中の私は、夕暮れの山奥で、切り立った崖から落ちそうになり、岩を両手で必死につかんでいました。
──こんなところで、盗賊に襲われるなんて…………やり過ごせたのはいいのですが……もう、体力がもちません……。でも、この商工会ギルドの署名だけは……。
「誰か、お願いです! もし、いるのなら……!」
記憶の私は声を上げていました。なぜこんな必死に声を上げているのでしょう。
「私、まだ死ねない……! 死ねないんです!」
──ここまで……ですか……。
その時、目の前に誰かが現れ、記憶の私に手を差し伸べました。
「つかまれ!」
「は、はい!」
記憶の私は、その男に手を握られ、引き上げられました。……この方は!
「よかった。無事でしたかオードリー」
「あなたは……レイさん……助けに来てくれたのですね。でも、どうしてこんなところに……」
「い、いや……偶然だ。冒険者ギルドの依頼があって、盗賊団を追っていた。まさか、追った先でこんなことになってるなんて思ってもみなかった……」
「偶然でも、助かりました。ありがとうございます。……レイさん、胸元、服が破けています。縫いましょうか」
「いや、平気だ」
レイの首元が光りました。よく見ると、それは紋章でした。
──この襟の紋章……どこかで……。こ、これはディーバ帝国の王家の紋章! まさか……。
「レイ……さん。いえ、あなたは……《レイヤ・キンバル》第一王子なのですか!」
────ザザーッ……。
記憶の断片は、ここで途切れました。
いったい、この記憶はどこから出てくるのでしょう。忘れていた記憶? もしくは意図的に封じられているものなのでしょうか。
どちらにしろ、今の私にはあまり関係のないことのような気がしました。考えても意味が分かりません。
そういえば、「リックとアーヤが……」と、《シーフ》は名を呼んでいました。二人の子供を心配しているのですね。
もし、もう一度あの家に行くことがあったなら、私が食べておきましょう。私の体の中で一緒になれば、心配することもなくなるでしょうから。
【エナジークリスタル × 81】
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる