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復讐編(後編)
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もらった金貨はすべて、アサシン系の装備、呪いの剣ブラッディーソード、そしてスキル代につぎ込み、その日の夜、私は行動に移った。
まず、ギルド宿舎を襲った。
「こいつら……ただいるだけの分際で……」
宿舎にいたギルドメンバー20人の寝込みを襲う。
アサシンの無音と気配を消すスキルは、宿舎の管理人程度では気づかない。侵入は簡単だった。
部屋に忍び込み、ブラッディーソードを彼女たちに突き立てる。
ブラッディーソードは、突き立てた者の生命力を吸い取り、命を奪う。
そうなると、ブラッディーソードは強化され、攻撃力を増すのだが、そこはやはり呪いの剣。強化した分、自分の体をも侵食していき、最後には命をも奪うという最悪の剣だ。
──別に、私の命なんて散っても構わない。それが私の復讐だから──
宿舎には、私が追放になった原因の娘が存在した。その娘を私は念入りに拷問し、屈辱を与えてブラッディーソードのエサにしてやった。これで、気分が一段階楽になった。
次に、ゼロが屋敷を与えたメンバー宅を襲う。
これも、簡単だった。
こいつらは、ゼロというものがありながら、貴族をひそかに屋敷に招いてやりたい放題。
でも、よく考えてみると、ゼロは、それを許している。ということは、おそらく貴族どもに女たちをあてがう代わりに金でも貰っていたのだろう。
まず、そんな奴らにこの私が負けるはずがない。
屋敷を渡り歩きながら、彼女たちに恐怖を与え、最後にブラッディーソードのエサにしてやった。
そうこうするうちにブラッディーソードの呪いはすでに私の右半身を奪っていた。体中に茨の蔓が侵食している。まるで化け物になった気分だ。
だが……まだ強化できる……。
最後に、ギルドの塔へと向かった。
一階層の部屋、二階層の部屋、三階層の部屋……ゆっくりと、音を立てずに、その階層に住む序列付きの娘の命を奪う。
そして、八階層、序列三位の娘をブラッディーソードのエサにする。
この時、ブラッディーソードの呪いは、左足と左腕にも侵食していた。
残りは、最上階の広間だ。
悪趣味な扉をゆっくりと開ける。するとそこには、円状の大きなベッドが置かれていた。ベッドの中央にはゼロ、その両隣にナンバー1とナンバー2の娘が寝そべっていた。3人は、事を終えて裸で幸せそうに眠っている。この3人を見ていると、無性に腹が立ってくる。
私は、体に同化したブラッディーソードの茨の蔓を伸ばし、二人の娘を縛ってゼロから引き離した。
すると、三人は目を覚まし、私の存在に気づく。
「ええ……なにこれ……ああ、クレハ……なんでここに」
「これは何のまねかしら」
ナンバー1とナンバー2は、苦しそうな声で話す。
私は、そんな不用心な姉さんたちに、今の思いを打ち明けた。
「姉さんたち……いつもそうです……あなたたちだけいい思いをして……本当に不愉快でした……だから……」
「おい、やめろクレハ! なんだ、ギルドに戻りたいのか?」
ゼロは私に気づき、止めようとして叫ぶ。でも……もう遅い……。
蔓に力を込めると無防備な二人に絡みついた茨の蔓はきつく締め上げられ、二人は血を噴きながら縛り潰れた。
その瞬間、血の雨が降り、ゼロの体が赤く染まる。
「お前……どうして!?」
「さあ、やっと二人きりになれました。あなたと共有した時間が私の心の痛みに変わったのです。その痛みをあなたにすべて返します」
強化された茨の蔓は、私の全身から伸びてゼロをきつく縛り上げた。
「や……やめてくれ……俺が……俺が悪かった……」
「ゼロ……そんな見苦しい姿……あなたらしくありません……だから、この手で気持ちよく逝かせてあげます」
「頼む! 俺はまだ死にたくない! 死にたく……」
「大丈夫です。私もついていきますから……」
私は、右腕に固定されてしまったブラッディーソードをゼロの心臓に突き立て、そのまま貫いた。
心臓を貫かれたゼロはあっけなく絶命した。
「これで、終わり……」
気分が晴れると思った。けれども、ただ虚しいだけだった。私はただ、ゼロに認めてもらいたかった。それだけだったのだ。その思いは、どうやら成就されなかったらしい。
だが、ブラッディーソードの呪いは成就した。
ブラッディーソードに全てを侵食された私は、赤くて大きな一輪の花となり、ゼロの側に添えられた。
まず、ギルド宿舎を襲った。
「こいつら……ただいるだけの分際で……」
宿舎にいたギルドメンバー20人の寝込みを襲う。
アサシンの無音と気配を消すスキルは、宿舎の管理人程度では気づかない。侵入は簡単だった。
部屋に忍び込み、ブラッディーソードを彼女たちに突き立てる。
ブラッディーソードは、突き立てた者の生命力を吸い取り、命を奪う。
そうなると、ブラッディーソードは強化され、攻撃力を増すのだが、そこはやはり呪いの剣。強化した分、自分の体をも侵食していき、最後には命をも奪うという最悪の剣だ。
──別に、私の命なんて散っても構わない。それが私の復讐だから──
宿舎には、私が追放になった原因の娘が存在した。その娘を私は念入りに拷問し、屈辱を与えてブラッディーソードのエサにしてやった。これで、気分が一段階楽になった。
次に、ゼロが屋敷を与えたメンバー宅を襲う。
これも、簡単だった。
こいつらは、ゼロというものがありながら、貴族をひそかに屋敷に招いてやりたい放題。
でも、よく考えてみると、ゼロは、それを許している。ということは、おそらく貴族どもに女たちをあてがう代わりに金でも貰っていたのだろう。
まず、そんな奴らにこの私が負けるはずがない。
屋敷を渡り歩きながら、彼女たちに恐怖を与え、最後にブラッディーソードのエサにしてやった。
そうこうするうちにブラッディーソードの呪いはすでに私の右半身を奪っていた。体中に茨の蔓が侵食している。まるで化け物になった気分だ。
だが……まだ強化できる……。
最後に、ギルドの塔へと向かった。
一階層の部屋、二階層の部屋、三階層の部屋……ゆっくりと、音を立てずに、その階層に住む序列付きの娘の命を奪う。
そして、八階層、序列三位の娘をブラッディーソードのエサにする。
この時、ブラッディーソードの呪いは、左足と左腕にも侵食していた。
残りは、最上階の広間だ。
悪趣味な扉をゆっくりと開ける。するとそこには、円状の大きなベッドが置かれていた。ベッドの中央にはゼロ、その両隣にナンバー1とナンバー2の娘が寝そべっていた。3人は、事を終えて裸で幸せそうに眠っている。この3人を見ていると、無性に腹が立ってくる。
私は、体に同化したブラッディーソードの茨の蔓を伸ばし、二人の娘を縛ってゼロから引き離した。
すると、三人は目を覚まし、私の存在に気づく。
「ええ……なにこれ……ああ、クレハ……なんでここに」
「これは何のまねかしら」
ナンバー1とナンバー2は、苦しそうな声で話す。
私は、そんな不用心な姉さんたちに、今の思いを打ち明けた。
「姉さんたち……いつもそうです……あなたたちだけいい思いをして……本当に不愉快でした……だから……」
「おい、やめろクレハ! なんだ、ギルドに戻りたいのか?」
ゼロは私に気づき、止めようとして叫ぶ。でも……もう遅い……。
蔓に力を込めると無防備な二人に絡みついた茨の蔓はきつく締め上げられ、二人は血を噴きながら縛り潰れた。
その瞬間、血の雨が降り、ゼロの体が赤く染まる。
「お前……どうして!?」
「さあ、やっと二人きりになれました。あなたと共有した時間が私の心の痛みに変わったのです。その痛みをあなたにすべて返します」
強化された茨の蔓は、私の全身から伸びてゼロをきつく縛り上げた。
「や……やめてくれ……俺が……俺が悪かった……」
「ゼロ……そんな見苦しい姿……あなたらしくありません……だから、この手で気持ちよく逝かせてあげます」
「頼む! 俺はまだ死にたくない! 死にたく……」
「大丈夫です。私もついていきますから……」
私は、右腕に固定されてしまったブラッディーソードをゼロの心臓に突き立て、そのまま貫いた。
心臓を貫かれたゼロはあっけなく絶命した。
「これで、終わり……」
気分が晴れると思った。けれども、ただ虚しいだけだった。私はただ、ゼロに認めてもらいたかった。それだけだったのだ。その思いは、どうやら成就されなかったらしい。
だが、ブラッディーソードの呪いは成就した。
ブラッディーソードに全てを侵食された私は、赤くて大きな一輪の花となり、ゼロの側に添えられた。
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感想ありがとうございます!
ほぼ、ホラーファンタジー的な話になってしまいました。
クレハさんの件ですが、大体こんな感じです。
血を吐くような必死の努力→忍耐強い、異常なほどの頑張り屋。
↓
頑張ってナンバー3になったけど、そこで理不尽な追放。
↓
これはさすがに耐えられず……というような感じなので、事が起こるまでは普通だったのです。
好きになったエピソード。確かにこれを組み込むことが出来ていれば、話に深みが出たかもしれないです。ご教授感謝!
ギルドメンバー殲滅に執着する理由はあえて異常な殺戮者ということにしたかったので、書きたくなかったのです。
殲滅する理由としては、血を吐くほど頑張ったクレハは追放されているのに、頑張っていない人たちがのうのうとギルドにいる。それが許せない。理不尽な出来事とその悔しい思いが重なった結果、クレハは暴走し、犯行に及んでしまった。
もちろん、ゼロに対しては裏切られたという直接の恨みですが……。
これが、ギルドメンバー全員を殲滅するに至った理由になります。殲滅後は、その罰を呪いで償う的な感じです。
……って、やっぱり難しいですよね……表現もっとした方がいいですよね……orz