乙女ゲームか悪役令嬢転生ラノベの世界に転生?したようだが…

琳太

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1章 どうやら転生したようだが

8話 村でお薬作りましょ

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「止まれ!」

   柵より更に50センチ程高い門の横、見張り台から声がかけられた。
イナミさんと2人で上を見る。そこには槍を持った男が1人立っていた。

「ガルフ、俺だイナミだ。薬草を採って来たんだ、門を開けてくれ」

ガルフと呼ばれた男は私をジロリと見る。

「そっちの女は何者だ」

「冒険者見習いの…えっと、そういえば名前聴いてませんでしたね」
イナミさんが振り返って尋ねてきた。

「あの、エル、エルって言います」
嘘じゃないよ、エレーニアの愛称もエルだし私の本名だよ。

「冒険者見習いのエルさんだ。ゴブリンに襲われて怪我したところを助けてもらったんだ」

「なんだって、ゴブリンが出たのか?」
ドタドタと梯子を降り門を開けたガルフ。

「早く入れ」

   そう言いながら辺りを警戒する。イナミさんと私が門をくぐると直ぐに閉め重そうな閂をかけた。よし!第一関門突破。

   領内の街や村は身分証の無い者を簡単に招き入れない。パパンの政策だ。盗賊が横行したおり、不審者を割り出せる様、旅人はギルドカードの様な身分証を求められる。冒険者ギルド、商業ギルドと色々ある。貴族も紋章入りの証明書などをうちの領内では提示を求められる。パパンは領民の生活を守っているのだ。

   そして私はギルドカードも証明書も無い。村に入るために申し訳ないがイナミさんを利用させて頂きました。

   「無事でよかったよ、イナミさん。ゴブリンはどのくらいいたんだ?」

   「2匹のだけだがエルさんがあっという間に倒してくれたんだ。すごかったよ」

   それ程でもありますが、緑色のちんまいオッさんゴブリンなど屁でもありませんわ、オホホホホ。

「いえ、運が良かったんですよ、2匹ともイナミさんを見ていて背後の私に気付いてませんでしたから」

「有難うございます、イナミさんに何かあったら、レミーちゃんやナミルさんが哀しむよ」

ガルフさんの言葉にハッとするイナミ。

「そうだ、レミー、早く帰って薬草を」

「ああ、村長には俺から報告しておく、早く帰ってやれ」

「エルさん、こっちです」

   ぺこりとガルフに頭を下げ、そそくさとイナミの後をついていく。村の中心に井戸があり、周りに共同の炊事場、洗濯場などがあった。その前を急ぎ足で通り過ぎる。数人の井戸端会議中のオバちゃんがこっち見て何か言ってるが今はスルーだ。
   小さな農村の中のイナミの家は木造一階建ての古い家はよく手入れされている様だ。よく見れば他の家も同じ様であばら家っぽいのはない。
   イナミは扉を開けて入っていく。

「ナミル、帰ったよ、レミーの様子はどうだ?」

   部屋は食堂と居間を兼ねているのか、4人がけのテーブルと暖炉の前に毛皮のラグが敷かれクッションがいくつか置かれていた。奥にドアが2つ、イナミの声が聞こえたのだろう、片方のドアを開け女性が現れた。

「あなた、良かった。熱がまた上がったみたいなの。熱冷ましの薬草は採れて?」

「ああ、こちらのエルさんが手持ちの薬草をわけてくれると言ってね、お連れしたんだ」

「始めまして、冒険者見習いのエルと申します」

「イナミの妻のナミルです、それで、あの薬草は」

「その前に娘さんを見させてもらってもよろしいですか、場合によっては他の薬草も使った方がいいかも知れません」

   私の言葉に驚き顔を見合わせる夫婦、イナミはナミルを見て深く頷く。ナミルはイナミとエレーニアちゃんを何度も見返してから奥の部屋に案内してくれた。

   部屋の中は小さめのベッドと箪笥だけの小さな部屋だった。明かりとり用の窓は開けられ生成りの布が張られている。ガラスは高級品なので農村などにはなく、寒さ対策に布窓が使われているのは良い方だ。
   ベッドには小さな女の子が眠っているが呼吸がかなり荒い。

「失礼」

   断ってから布団がわりの毛皮をめくる。熱が高い割に手先が冷たく爪先が青い。やっぱりそうだ。

「一昨日くらい川べりでクレソンを摘んで食べませんでしたか?」

   私の言葉に驚く夫婦。

「ええ、レミーと二人で摘みに行き夕食に…」

「先程私もクレソンを摘みましたが、近くによく似た毒草の『擬き草』も生えていました。レミーちゃんはクレソンと間違えて摘みながら口にしたのかも知れません」

   毛布をかけ直し部屋を出る。夫婦も付いてきた。イナミが椅子を勧めるので頷き座る。

   さっきクレソン摘んだ時近くに『擬き草』が生えていたのを見つけた。『擬き草』には種類がいっぱいあるが今回は『クレソン擬き』だろう、毒の所為で発熱しているが、毒消しも使わなければ治らない。農婦が『擬き草』を見分けられないことなど無いのだが、レミーちゃんはまだ小さい子なので気付かず口にしてしまったのだろう。

「熱冷ましだけじゃなく解毒用の薬草も入りますね、どちらもあるので今ここで調合してもよろしいですか?」

「ほ、本当に、エ、エルさんお願いしますっ」

   イナミはガバッと両手を握りしめて食い気味に頼んできた。

   マジックバックから出す振りをしてインベントリから調合用の器具を出す。エレーニアちゃんたら薬草学の成績もトップだし、調合もお手の物。ただ調合用の乳鉢と天秤秤が汚れているのがたまに傷なのだ。

「………すみません、桶に水を貰えませんか?」

「あ、はい」

   ナミルさんが桶を持って外に飛び出して行った。水瓶へやの隅にあるのになんで?あ、わざわざ井戸から綺麗な水を汲みに行ってくれたんだ。薬用と思ったのかな?ゴメンなさい。器具の洗浄の為なんです。自分一人なら魔法でチョチョチョイなんだけどね~

   ナミルさんが戻ってくるまでに大きめの薬包紙を広げ解毒草、解熱草をインベントリから出しておく。あ、戻って来た、じゃあ先ず器具の洗浄から…ホント申し訳ない。

   プチプチプチと解熱草をちぎりながら重さを計る。測ったら乳鉢に。薬の吸収を良くする為の薬草を3対1の割合になるよう計って乳鉢に入れコリコリコリ。出来たら小鉢にいれてっと。
   乳鉢と擂粉木を洗ってから次は解毒草をコリコリコリ、コレはチョーニガニガなのでサービスで蜂蜜をとろり、お水も少々、こっちは小瓶に入れて完成!

「出来ました」

「え、もう?早いですね」

   と、驚くイナミさん。薬を持ってレミーちゃんの部屋へ行く。ナミルさんがレミーちゃんに付き添っていたので二人に薬の説明をする。

「小鉢の方が解熱剤、小さい子供なのでレミーちゃんにはこのスプーン一杯を熱が下がるまで6時間毎に、小瓶が解毒剤なので半分を今、明日朝残り半分を飲ませてあげてください」

「有難うございます、なんてお礼を言ったらいいのか」

   感動するナミルとイナミ。

「いえ、お礼なんて、それより早く飲ませてあげてください」

   そう、お礼なんて必要ないの。領民を助けるのも領主の務め、パパンに代わってエレーニアちゃん頑張るっす。

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2016.11.04誤字修正しました。
2016.11.12誤字修正しました。
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