乙女ゲームか悪役令嬢転生ラノベの世界に転生?したようだが…

琳太

文字の大きさ
34 / 140
3章 ウェイシア王国に来ました

5話 朝食を3人で

しおりを挟む
 
 
 
   朝一屋台で朝食を3人分テイクアウトした。小鍋に野菜タップリポタージュスープと卵とハムのサンドイッチとマッシュポテト。途中お肉屋でソーセージを見繕い小屋に向かう。

   あれ?昨日の小屋の前でウリュ君がボロいローブにくるまり座っていた。思わず駆け寄ってしまう。

「ウリュ君、休んでなきゃだめだよ、魔法で怪我は治ったけど体力は回復しないんだから」

   前にしゃがんで目線を合わせると、ウリュ君は潤んだ目で見上げ悔しそうに唇を噛む。

「ゴメンなちゃい、オネーちゃん、貸ちてもらった毛皮も毛布もとられた…」

   よく見れば頬が赤く腫れている。そっと手を頬に当てるとウリュはピクンと震えた。親指で頬の腫れたところをさすりながら《ヒール》を唱える。ウリュ君が本来寝ているべき場所に気配がある。

「っつ」

   ウリュが変な声をあげた、あ、ヤバっ殺気黒いオーラが漏れてる、ひっひっふーひっひっふー深呼吸。

「アレクス君はどこ?」

「アレクちゅは溝掃除ちょうじに行ったの」
「もしかして毛皮をとった人って、前にウリュ君を蹴った人?」

   こくんと頷くウリュ君。この中にクソ野郎がいるのね、あ、深呼吸深呼吸。

「ウリュ君ちょっと待っててね、すぐ戻ってくるから」

   立ち上がるとウリュ君は小さな手でチュニックの裾を掴む、みるとふるふるとくびを横に振る。

「大丈夫、お姉さんこう見えて冒険者なんだから」

   ウインクをしてウリュ君の頭を撫でる。あ、耳がピクピク動いてる、かわええ。ウリュ君の手を一度キュッと握りしめてから離すとウリュ君も手を離した。では出撃と行きましょう。


   立てかけてあった戸板を、思いっきり蹴飛ばすとバキバキッと砕け散った。中には薄汚れて汚い髭面の浮浪者の様な男。

「なんだよ、テメエ」

「ここにいた子供が使ってた毛皮と毛布、とったのはあなた?」
「なんのこった、知らねえな、ここは前から俺が使ってたるんだ、ガキなんざしらねえし毛皮も毛布も見たことねえよ」

   見回すが毛皮も毛布もない、何か食べてるところをみると速攻売りやがったな、しかも酒瓶、朝っぱらから仕事もせず子供から取り上げたもので酒を買うとは、終わってるな此奴。

「そう、まあいいわ。ところでここの壁、魔法で作った壁だから。もうそろそろ魔力が切れる頃かしら、そうね3分もすれば崩れるから逃げたほうがいいわよ」

   ほんとはそんな魔法じゃないからね崩れないけど、小汚ねえオッサンにはわかるまい。私は身を翻しウリュ君の元に戻った。私の顔を見て安堵の表情見せ立ち上がり寄ってこようとしたウリュ君はふらつき、倒れそうな身体を支えようと手を伸ばした。慌てて駆け寄りウリュ君の手を掴み抱きとめる。

「オネーちゃん、よかった」

「ゴメンね、ウリュ君に心配かけちゃったね。毛皮も毛布も無くなっちゃてたけど、代わりはいくらでもあるから心配しないでね。それよりアレクス君の所に案内してくれる?」

   ウリュ君と手を繋ぎ小屋からはなれる、立ち止まらずに魔法を発動。

「《ストーンコントロール》からの《地震クエイク》」

   ズズズッズズズン!バキバキバキ!

   後ろから地鳴りと破壊音がするが知らん顔、ウリュ君は振り向きびっくり顔、あ、かわええの。
   ストーンコントロールで石壁を壊したあと、クエイクで揺らしてやれば朽ちかけの小屋はあっけなく倒壊した。ちゃんと注意はしたから逃げなかったのは自業自得。因果応報さ。

「さ、行こうか、朝ごはんまだでしょう。一緒に食べようと思って持ってきたの、アレクス君の仕事、どれくらいで終わるかしら」



   途中ウリュ君が疲れた様子を見せたので抱っこしようとしたら拒否られた、が~ん!まだ青白い顔をほんのり赤らめ「おんぶで」と言われると拒める筈がありましょうか。
   体力回復するまで無理はしないように話しつつ、歩くたびに手に尻尾がぽてんぽてんと触れる。
    く~っ、至福。

   しばらく歩くと街の小綺麗な地区、割と裕福層の住宅街に来た。側溝をアレクス君が泥塗れで掃除をしていた。ウリュ君が降りて(ああ、温もりが…)アレクス君に声をかける。

「ウリュ、寝てろって言ったのに、あれ、エル姉ちゃんも」

   エル姉ちゃん…ケモ耳少年から呼ばれるとまた…はっ、いかんいかん。

「一緒にご飯食べようと思ってね」
「もう終わるからちょっとまってて」

   『ご飯』ときいて眼がキランと輝くアレクス君。走って近くにいた男に声をかける。ウリュ君と二人ゆっくり後をついて言った。

   どうもアレクス君に仕事をくれたのはこの男のようだ。多分この辺の家の使用人だろう。

「お待たせ、へへ、今日は50メルも貰った」

   嬉しそうにするアレクス君、10メルでパンが一個買える、しかし1時間ほどで50メルか、子供にしても安いなと思ってたら衝撃が…

「朝から3時間も頑張ったんだぜ」

   なんですと、3時間!3時間で50メル……ショックを受けてる私に追い打ちをかけるやつが。

「おい、坊主明日は二人来れるのか?」

   返事をしようとしたアレクス君より先に私が返事をする。

「いえ、この子達が来るのは今日までです。明日からは私の手伝いをしてもらうことになっているので」

   突然声を掛けた私の方を男は驚いた顔を向ける。睨んでる私にひきつつも

「そう、か、なら他の奴に頼むさ」

   捨てセリフのようにいい、男は屋敷に入って行った。多分自分の仕事を小遣いにもならない金額で子供にさせていたんだろう。にしても安すぎる。こんな値段ではスラムの人間も引き受けないだろう。

「エル姉ちゃん…」

   仕事をなくして不満顔のアレクス君にニッコリ微笑む。

「本当よ、二人に私のお手伝いをして欲しいの。その事もあるから向こうの公園でご飯食べながらお話ししましょ」

   お手伝いは今考えついた。冴えてる私、これで二人をあんなスラムに返さずに済む。

   このあたりは富裕層の住宅街、ベンチに花壇、ちょっとした広場の公園が小川沿いにある。ベンチに座ろうとしたアレクス君が汚れた自分をみて座るのをためらった。

「オレ川で洗ってくる」


   駆け出そうとするアレクス君を呼び止め、小川の水は冷たいので魔法で綺麗にできると説明し《ピュリフィケイション》をかけた。ウリュ君にもかける。

「「うわっ」」

   ほんのり暖かい光が二人を包み汚れを浄化する。




    !!!な、なんですとぉぉっ!


「ちゅごい、綺麗になった」
「ほんとだ、オレ一年くらい風呂入ってなかったからなあ」

   目の前には輝く金髪にやや褐色かかった肌のキラッキラの美少年。茶髪は汚れだった。となると…ギギギと軋み音が聞こえて来そうな動作で横を向く。

   そこには真っ白な髪に真っ白なケモ耳、肌は透き通る、というか今は病的に白いが。瞳は濃い藍色だ。ウリュ君は鼬獣人という事だが……



   オコジョだ、オコジョ。しかも冬毛の真っ白オコジョ。中世ヨーロッパでは高貴な人の毛皮にされたという。可愛い~~っ!思わずぎゅーっと抱きしめてしまった。

「オネーちゃん、く、苦ちいでちゅ」
「ハッ、ごめんなさい、つい」

「それよりご飯、ご飯食おうよ~」

   アレクス君の言葉に少し遅めになった朝食をインベントリから出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エレーニアというより衣瑠が壊れていく…

3章は実質【ケモ耳少年達とウキウキ生活編】かもしれない…

修正:ミスってた魔法名を《ストーンコントロール》に統一
しおりを挟む
感想 222

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

処理中です...