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3章 ウェイシア王国に来ました
7話 ほのぼのします
しおりを挟む「姉ちゃん、エル姉ちゃん」
はっ、いつの間にか眠ってたようだ。外は夕暮れで赤く染まっていた。そろそろ晩御飯かな、今日はどうしよう。
ぐっぐ~
アレクス君が真っ赤になった。ふふふ、眼福眼福。
「ご飯食べにいこっか。その前にちょっと寄るところがあるから付き合ってね」
厩舎に来るとレイディが「Gyua!」と鳴いて近寄ってきた。案の定2人はかたまった。
『それ、食べていいのなのヨ?』
レイディの視線に2人の耳がピンとなり毛が逆立つ。
「ダメ、今日から一緒に暮らすの、仲間だから、家族みたいな感じ」
『仲間?家族?あたち、オネーサン、弟できたなのヨ!』
いや、レイディの方が精神年齢も実年齢も下だし。まあそれでもいいか。
「アレクス君、ウリュ君、この子は従魔のグリフォンで名前はレイディって言うの、よろしくね」
「Gyua!」
「ほら、レイディも挨拶してるから、挨拶してあげて」
「スゲー、スゲー、オレグリフォン初めて見た。オレアレクス、よろしくなっ」
アレクス君は興奮気味にぴょんぴょん跳ねる、反対にウリュ君は私の後ろにしがみつき顔だけ出して小さく呟く。
「ウリュ…よろちく」
く~~っ、どっちも可愛いなぁ。インベントリからレイディ用の器と角猪肉を出す。
「じゃあ、これをレイディにあげてくれる?」
「うん」
アレクス君は大きく頷き器を受け取るとレイディの前へ進みでて口元に差し出す、下に置いていいんだよ。レイディは「Gyuru、Gyuryu」と頭をコテン、コテンと倒してからバクンと肉を咥えた。
「エル姉ちゃん、食べたよ」
嬉しそうなアレクス君は空になった器を差し出した。受け取りもう一つ肉を置く。
「じゃあ今度はウリュ君お願い」
ひって顔をするウリュ君も可愛いけどかわいそうだから後ろからウリュくんを包むように器を持ってレイディの前へ行く。レイディは「Gyua!」と鳴いてすぐに肉を咥えた。ウリュくんがビクンとなったのが伝わってくる。頭をそっと撫でながら「お手伝いありがとう」と礼を言う。
食べ終わったレイディが『あたちもナデテなのヨ』ときたので、ウリュ君の手を持ってレイディを一緒に撫でた。アレクス君が「オレも!オレも!」ってきたのでみんなでなでる。
なんでしょう、この癒しタイム。ご褒美ありがとうございます。
夕食はアレクス君が『も~限界』って顔をしたので1階の食堂で食べました。美味しそうに食べる2人に涙がほろり。いや、不味いわけじゃあないんですよ。れで「おいひ~」って喜ぶ姿がね。オネーサン、これから毎日美味しいご飯作るから、楽しみにしててね。
では1日の締めはお風呂です。昨日風呂桶(もう風呂桶命名で)は出したままでしたので手前に衝立立てて部屋区切りました。
「ここで入るの?」
嫌そうなアレクス君。ウリュ君は嬉しそう。鼬って水遊び好きだっけ?
「いっちょに入るの?」
「え?やだぞオレ」
「オネーちゃんは?」
「オレ1人でちゃんと洗える」
2人の会話に一喜一憂する私、結局2人が一緒に入り頭を洗ってあげたり、お湯かけたりの係りでした。でも楽しい。アレクス君、耳の後ろもって人と違って頭の上にあるから問題なかったよ。弟によく「耳の後ろも洗うんだよ」って言ってたの。目を瞑って耳を両手でぺたんと抑えてるうちにお湯をかけます。ううう、仕草が可愛いすぎます。
パジャマを買うのを忘れてた。明日買いに行こう。風呂桶を《ピュリフィケイション》で1度綺麗にしてお湯を張り直す。出ると、先に寝るように言ってたのに2人は起きて待っていた。
「俺たち床で寝る」
「毛布かちてくだちゃい」
「ベッドで寝ていいんだよ」
「ココエル姉ちゃんの部屋だし、エル姉ちゃんのベッドだよ」
ガタイの大きい冒険者は多いのでベッドのサイズはダブル以上あるのだ。
「じゃ、みんなでベッドで寝よう」
理想を言えば真ん中で、ケモ耳に挟まれ、ゲフンゲフン。
ウリュ君真ん中で寝ました。
◇◇◇◇◇
朝、アレクス君は早起きです。6時の鐘の前にもう起きてます。いつも朝早く仕事を貰いに住宅街に行ってたらしい。溝掃除、ゴミ集め、庭の草むしりとかの雑用をしてパンや、お金を貰っていたようだ。今日はまだ寝てていいよと言うと二度寝した。
さて、朝はパンケーキを焼こう。昨日買ったフルーツとジャムを付けて。生クリームないから今度買っておこう。買い物リスト増えたな。サラダときっとアレクス君はお肉が欲しいだろうからソーセージも焼く。後は紅茶。そうだパン種仕込んどこう、なんだかんだで魔道オーブン使ってないんだ。
ツンツンとチュニックを引っ張られる、振り返るとウリュ君。
「お手伝い、ち事ちまちゅ」
「おはよう、じゃあ朝ごはん食べたら手伝ってもらおうかな。顔洗ったらご飯にしよう」
「ゴハン」
ベッドから飛び出すアレクス君。洗面所にタオルと桶に水を入れておいといた。2人は我先にと顔を洗い戻ってくる。この部屋テーブルはないので床に角猪の皮を引いてそこに出来上がった料理を置いていく。ピクニックみたいだね。
食後の片付けをしてくれると言うのでお願いした。バケツに食器を入れタワシでこする。水は魔法で出すので外の井戸まで汲みにいく必要はない。
「魔法、便利でちゅね、僕も使えたらな」
ぼそりと呟くウリュ君をじっと見る。獣人は魔力量が少なく、魔法を苦手とする種族だが、ウリュ君はそれなりに魔力量がありそうだ。鍛えれば初級くらいはは使えるんじゃないかな。
そう言うとウリュ君は期待に満ちた顔でふり仰ぐ。
「習いたい、魔法、勉強ちたい、僕頑張るから」
「ウリュ、魔法使いのお話し好きだもんな。『ショーカン』で暇さえあれば本読んでたし。オレ剣の方がいいや」
必死なウリュ君につい言ってしまった。
「辛くても根をあげないって約束できる?」
ぶんぶんぶんと首を縦に降る。
「ちゅる、約ちょくちまちゅ」
「じゃあ指切り」
ちょっと短めの可愛い小指を絡ませ指切りをした。
武器屋に行ってから冒険者ギルドに行くことにする。アレクス君は宣言通り剣を選ぶ。だが身体が小さいので鉄のショートソード位が精一杯だ。ウリュ君には杖では無く腕輪の発動体を進める。手が塞がってしまうのとここにある杖はあまり性能が良くなさそうだったから。杖を欲しそうに眺めるウリュ君を見てアレクス君が耳打ちをした。
「ウリュはさ、物語の魔法使いが颯爽と杖を降るシーンが大好きでさ、隠れてゴッコ遊びしてたのオレ知ってるんだ」
う、杖即買いします。あとで付加つけまくろう。
後はそれぞれ解体用のナイフと中距離用にアレクス君にはスローイングナイフ5本と、ウリュ君には小さめのクロスボウ、これは折りたたみ式なのだ。飛距離も威力も弱いけど角兎くらいなら仕留められる。昨日買った剣帯の右側にたたんだクロスボウとボルトケースをセットして左にマジックポーチをセットする。解体用ナイフは2人とも後ろにした。
アレクス君は両利きなのでどっちでもいいが左にショートソード右にポーチを持ってきてスローイングナイフを入れる。マジックポーチなので探さずとも思い浮かべると手に来るので問題ない。
あ、なんかカッコ可愛い。
ちなみにマジックポーチ&バックはぴょんぴょん飛んで喜ばれました。ふふふ。
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2016.12.05
アレクス君のセリフ一部変更しました。
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