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4章 ダンジョンに行きます
12話 商業ギルドで1泊
しおりを挟む「悪いが査定の結果明日の朝でもいいか、この量は今日で終われそうにない」
「明日朝、エオカに戻る前に一度よります。朝で大丈夫ですか」
「ああ、朝には済ませておく、こいつを渡しておこう」
ラッシュさんから8番の木札を受け取る。
「ではよろしくお願いします」
アレクス君とウリュ君に声をかける。
「お待たせ、2人とも。夕ご飯何がいいかな」
「肉、オレ肉が食べたい」
相変わらずの肉一択でした。思わずウリュ君と笑ってしまった。
「なんだよー、肉食わないと大きくなれないんだぞー」
ちょっとプリプリしてるアレクス君が可愛くて狐耳をコショコショする。
「エ、エル姉、そこダメ、こしょばいから」
おや、意外な弱点発見
「じゃあ尻尾…」
「ダメっ、もっとこしょばいから…」
ええええ~、尻尾ナデナデしたかったのに……しゅん、、、
「つーかエル姉、ずっと尻尾と耳狙ってるだろ」
「うん、いつも観てまちゅ」
ば、バレてましたか?くぅ、折角のケモ耳&ケモ尾をモフモフできないってどんな拷問。
「僕いいでちゅよ?オネエちゃんになでられるの、気持ちいいし……」
ウリュ君、マジ天使!ホント、いいのね、言質とったよ!
「ウリュく~ん、ありがと~」
思わず背後からぎゅーっと抱きしめる。
「こ、ここじゃダメでちゅ、宿に、宿に入ってから」
「うん、ナデナデは我慢するけど、抱っこは別」
「……はう……//////」
赤くなったウリュ君は格別にかわゆいです。若干アレクス君の眼が冷たい気がするがここはスルー!
「はぁ、仕方ねえな、ちょっとだけだぞ!」
呆れと諦めのため息の後にアレクスがデレた!!おうぅ、昨日に続きご褒美いただきました。
「早くご飯行こうぜ」
アレクス君が私の背中をグイグイ押します。ああ、今日は幸せがいっぱい……
「おう、遅かったな。悪いが先に残りのトレント出しても貰えるか」
「いいですよ」
商業ギルドに行くとホールでコネリーさんが待っていた。
さっき通った通路奥の査定解体所から2号倉庫に行くドアの手前のドア前でコネリーさんが説明する。
「ここが洗い場の入り口だ。ハッシュに言ってあるのでスタッフに話はついてる。自由に使ってくれ、鍵もかかる」
解体で汚れるから身体が洗えるようになってるのか。ふむふむ。
話を聴きながらそのまま第二倉庫へ行きチェリー3本、残り3種を2本づつ出す。隣に腕枝もチェリー6本、他4本づつだして置く。
「しかしあれだな、そんなけ入りゃあ輸送業でも儲けられるぜ。じゃあ売上金渡すんで俺の部屋に来てくれ」
二階の所長室に入る。応接セットがあり、3人がけのソファーにアレクス君と座り、ウリュ君を膝の上に座らせた。
「…オネエちゃん、僕普通にちゅわりたいでちゅ…」
ええ~、残念。ウリュ君は私とアレクス君の間に座った。
「……………、始めていいかな」
コネリーさんが呆れたような視線を向けるがスルーで!
「まずはチェリートレントがそれぞれ8万8千、9万、9万1千だ。アップルトレントが10万2千、ウォールナットトレントが11万7千、オークトレントが11万2千。
腕枝はチェリーが6本で6千、アップル2本で3千3百、ウォールナットが2本で3千8百、オークが2本で2千2百だ。腕枝だけ切り落としてくる冒険者はいるんでまあ価格はそれなりだ」
初値から馬鹿高くはなってないか、まあ、まだあるってわかってるからかな。
「合計615300メル、エルは5級だから税金49220引いて566080メルだ、確かめてくれ」
テーブルに小金貨5枚大銀貨6枚小銀貨6枚小銅貨8枚が並べられた。
「はい、確かに」
「明日エオカに行くんだろう、向こうで明日競りをするんでこっちのは3日後予定してるんだが、売上金渡しはその後になる」
「そうですね、夏階層が何日くらいかかるかわからないので、終わり次第顔出します」
「夏階層じゃ鉱石やゴーレム系の素材が手に入る、マーブルゴーレムなんか高値で売れるぞ」
ニヤリと笑うコネリーさん、それはとって来いという事ですね。大理石か、硬そうだな。
「取れれば持って来ますよ」
「すまんな、じゃあ部屋に案内する。三階は男、4階が女に別れてるんだが」
「同室でお願いします」
「3人部屋がなくて2人部屋だが…」
「それでお願いします」
「……お前らはいいのか?」
「いいよ、一緒で」
コネリーさんが即答するアレクス君に苦笑しつつ、私を困ったような眼で見る。ためいきをついてから立ち上がりドアを開け人を呼んだ。
やって来たのは受付けのお姉さんだった。
「彼女が部屋に案内する。エル、いい取引ができたよ、今後ともよろしくな」
「こちらこそ、宿を提供していただきありがとうございます」
握手をしてから受付けのお姉さんについて行った。
さあ、先にお風呂に入ってしまいましょう。3人で洗い場へ行き、場所を確認する。
「結構広いな」
「井戸ちかないでちゅね」
水道系の魔道具ではなく、桶の中の水を温める魔道具だった。井戸から水を汲み身体を洗うのか。排水設備のある区切られたスペースが3つあり扉が付いているが上は空いているシャワーブースなかんじだ。ギリギリ風呂桶が置けそうだ。ウリュ君も《ホットウォーター》が使えるようになったが風呂桶一杯は厳しいので私が最初は入れて置くが、足し湯、かけ湯の必要はない。それはそれでさみしい…。
「じゃあ先に入ってね。私はレイディの様子見てくるから」
「「うん」」
レイディは商業ギルドの厩舎に入ってもらってる。ちょうど馬車が出払ってて馬がいなかったのでよかった。一緒だと馬が怯えるからね。
3日間ずっと一緒だったからちょっと寂しそうなレイディに角熊肉をたっぷりあげてしばらくスキンシップ。食べ終わったら頭をスリスリして来たので嘴を拭いてやる。そのままだとこっちが汚れるからね。
「明日はエオカまで乗せてね。ダンジョンではお疲れ様、助けてくれてありがとう」
『あたち強い!オネーサンなのヨ』
グリフォンの1歳はもう大人なんだけどなあ、甘えん坊は年齢云々より性格なのか?うーん、オネーサンと思えるということは成長してるのかな。レイディにもたれてそんな事を考えてたら、湯上り美少年がやって来た。
「いた、エル姉、お風呂終わった」
「じゃあ私も入ってくるわ、鍵渡しておくね」
ウリュ君に鍵を渡して立ち上がる。アレクス君はレイディとジャレている。仲良くなったね君たち。
「アレクちゅ、行くよ」
「おう、先に戻ってて、オレもうちょっとここにいる」
「ん」
多分ウリュ君は本を読みたいのだろう、先に1人部屋に戻って行った。
「アレクス君も湯冷めして風邪ひかないよう程々にね」
「うん」
「Gyua!」
なぜかレイディも返事をする。さあ久しぶりのお風呂、ゆっくり堪能しましょう。
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