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5章 嵐は…
18話 売ります売れます
しおりを挟むカルラとレイディを厩舎に預け、4人部屋で宿をとる。二段ベッドが二つの狭い部屋だけどここは冒険者か商人くらいしか来ないからこんなもんです。
アレクス君とウリュ君がママンを引っ張って行った。特にアレクス君が待てないみたい。夕食の準備にも早いので私は商業ギルド出張所に行くことにした。
商業ギルドに入って行くとこちらから声をかける前に受付嬢が名前を呼んできた。
「エルさん、ちょっとお待ちください。来られたら所長室に案内ように言われているんです」
受付嬢がカウンターから出てきて案内してくれる。もうすっかり顔パスだ。
「こんにちわ、コネリーさん」
「おお、エルか。戻るのは明日だったと聞いていたんだが、まあ座ってくれ」
ソファに座ると受付嬢がお茶を出してくれたのでありがたくいただく。
「5日予定していたんですが4日で10階層まで行けたので」
「相変わらずだな。しかも今回はAランク冒険者も一緒だったって聞いたぞ」
「私の身内なんです。普段はソロなんですが今回だけチームメンバーに入ってもらいました」
向こうが無理やり入ったんだけどね。
「グリフォンをテイムしている冒険者の身内がヒッポグリフをテイムしてるのか、そんなすごい一族なら冒険者として名が売れていると思うんだがな…」
情報早いな、さすが商人というところか。ママンはそんなにマメに冒険者活動してないと思うんだが。
「今回夏階層前に春階層でトレント採ってきたので2本づつ納品しようと思ったので寄ったんです」
「ありがたい、エオカの方には?」
「そっちも2本づつですね」
コネリーさんがちょっと考えてから
「前回の分はいい値がついたがそろそろ下がるかもしれんぞ」
「あ、別に構いません、ゴーレムもいくらか採ってきましたから」
「…どれくらい倒したのか、聞いていいか」
「クレイゴーレムは全部は売れないので出せるのが6体分ですね。サンドゴーレムとロックゴーレムは回収しませんでしたから無いです。マーブルゴーレムが4体分。10階層でシルバーゴーレムに全く遭遇できなくて無いのですが、中ボス部屋でジャイアントシルバーゴーレムが出ました」
ふと見るとコネリーさんがぱかんと口を開けている、シブメンが台無しですよ?
「…ジャイアント、シルバー、ゴーレム…だと?ほとんど出ないレア中のレア、しかもランクAのモンスターだぞ…倒したのか?」
そんなに高ランクだったのか。穴に埋めて身動き出来なくなった所をみんなでボコって時間としては10分かかってないんですよ、それは言わない方がいいよね。
「まあ、かなり手こずりました。そうですかランクAだったんですね」
「そ、そうか。倒したのか…で、素材は出してもらえるのか?」
「そのつもりです。半分はエオカに持って行くので100kgくらいあるんじゃないでしょうか」
「ジャイアントシルバーゴーレムの魔銀…100kg…」
いつか自分たちの装備に加工することもあるから腕1本くらいは温存しよう。
何かブツブツ言ってるコネリーさんが、ハッと顔をあげる。
「ああ、先に前回のトレントの代金を渡そう。まチェリートレントがそれぞれ8万6千、8万8千、8万4千だ。アップルトレントが10万、9万2千、ウォールナットトレントが11万4千、11万、オークトレントが11万、10万9千。
腕枝はチェリーが6本で6千、アップル4本で4千2百、ウォールナットが4本で4千3百、オークが4本で4千だ。合計91万1500メルだ。エルは3級になったんだよな。税が4万5770メルなんで86万5730メルになる」
コネリーさんは目の前に小金貨8枚、大銀貨6枚、小銀貨5枚、大銅貨7枚小銅貨3枚を積み上げた。
「今回のトレントは少し値が下がるかもしれん、お前さんが結構な数をすでに出したからな。この数日で普段の2、3年分は出回ったからな」
「でしたらギルドで買い取ってもらってもいいですが」
倉庫に保管して値が上がった頃に売る、商売としてはありだよね。保管にかかるコストとの兼ね合いになるけど。私はそこまで金額に拘らないし。
「いや、この出張所じゃあ保管は無理だ、ありがたいが競りをするよ。クレイゴーレムやジャイアントシルバーゴーレムも出してもらえるなら一緒に競りにかければ高く売れると思う」
「じゃあそれでお願いします。明日エオカに戻って1週間くらい向こうでいるつもりなので代金は戻って来てから受け取りに来ます。次は秋階層に行く予定なので」
「そうか、秋は食用素材が豊富で美味いものが多い、角牛もいるしな」
おお、角牛、うちのニクスキーが狂喜乱舞しそうですな。
「じゃあ倉庫に行こうか」
途中ハッシュさんと合流し第2倉庫に行って素材を出す。
チェリートレント、アップルトレント、ウォールナットトレント、オークトレントを各2本、腕枝は細い奴から各4本。クレイゴーレムの泥10kg入りの麻袋を5袋、ジャイアントシルバーゴーレムの両足と片腕分。よく見れば腕1本で100kgくらいありそうだ。ジャイアントシルバーゴーレムを見てハッシュさんが頭を抱えて座り込んだ。
「…ジャイアントシルバーゴーレムまで…どんな腕してんだよ、お前ら…、本当に冒険者に成り立てか…」
失礼な、冒険者になってまだ1ヶ月ほどですよ、嘘じゃないです。
そうだ、コネリーさんにお願いしなくちゃ。
「コネリーさん、後で洗い場お借りできませんか」
お風呂入りたいけど宿にないんだよ。部屋は狭いし。
「ああ、いいぞ。なんなら宿舎も使うか?エル達は3級で商会登録しているから格安で使用できるぞ」
なんですと、商業ギルドにそんなサービスがあるんですか?
私の顔を見てコネリーさんがスマなさそうな顔をする。
「わるい、説明してなかったか。3級以上の商会は商業ギルドの設備を格安で使えるんだ。ここ四季ダンジョン出張所では宿舎、厩舎、倉庫、荷車、荷馬車の貸し出しだな。前は宿舎と厩舎を無料で提供したし、お前には倉庫、荷車、荷馬車は必要ないからな。ちなみに4級以下なら宿と変わらん値段だ」
「もう宿をとったので次回から利用させてもらいます。今日は洗い場だけ借ります」
「おう、すまんな」
頭をボリボリ掻くコネリーさんだった。なんかどこも説明忘れが多くないか?
普通、商業ギルドにしろ冒険者ギルドにしろ登録前に事前に調べたりするものである。特に商売をしようと言うなら綿密に計画立てることもするのだ。そのあたり、行き当たりバッタリで行動しているエルの方がイレギュラーだったりするので、非はエルの方にあったりする。
商業ギルドを出た時、空は茜色に変わりつつあった。レイディ達にご飯をあげたら宿に戻ろう。
「オネーちゃん、お帰り」
「エル姉お帰り」
「遅かったのね」
私の方が遅かったようだ。ん?アレクス君あっちこっちに引っ掻き傷があるではないですか。
「あ~、うん、あの剣なかなか扱い難しいんだ」
「でも、筋はいいわ。一時間ほどで基本動作が出来るようになったし、この程度の傷で済んでるもの」
「それくらいだったらヒールポーション塗るとすぐに治るわ。ポーチに入っているの使えばいいのに。それともアレクス君作のポーション使う?」
「自分で作ったものの効果を自ら試すのもいいんじゃないかしら」
ということでアレクス君作ポーションを皿にとる。アレクス君はなぜか恐る恐るポーションを指につけて傷にぬりぬり。
「ほおぉぉ、なおった、傷治ったよ。なんか俺の作ったポーション効かないかもって思ってたんだ。よかった」
それでレナさんに渡す時、横向いてたのか。あんな場面で効かないポーション売らないよ。ママンがアレクス君の頭をナデナデ、むう、私にもあんまりさせてくれなかったのに、ヤケにママンに懐いてませんか?
するとウリュ君がチュニックをツンツンと引っ張った。おうふ、ありがとうウリュ君。耳をもふもふさせていただきます。はぁぁぁ~癒される。
「治療も終わったし食事に行きましょうか」
「「うん」」
「オレ肉、肉が食べたい」
相変わらずのニクスキーです。
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